仕事やめても……いいですか……?

キュー

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黒の章

黒の子 18

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「あの…気になったのですが……ここへ来た時の質問は、何か意味があったのでしょうか?『いいえ』で答えることに…」
「意味はない。何だったら歌を歌ってもらってもよかったが。」
即座に答えて、意地悪く隊長は口角をあげる。
「ふぇぇ~」
隠された目的とか、深い意味があって、何かを試されていたのかと思って緊張したのに…と、クロードは思わず力の抜けた言葉にならない声を発し、肩をガックリと落とした。でも、歌うよりいいか……と自分をなぐさめた。
「質問に意味はないが、君の声を登録する必要があったからね。ここには魔力装具と、監視、感知装置があるから、建物内部には結界があり、登録者以外は入れない。君も入る時に違和感を感じただろう?」
そうか……あのチリチリする嫌な感じは……
「あ、はい、民家が無くなった頃から…嫌な感じがありましたね。建物に入る頃には慣れてしまいましたが…」
「民家が無くなった?ほう…?そんな離れた所から感じていたのか?……強い魔力持ちでも門を潜る辺りでようやく気付くね。君は特別敏感なのかな惑わされないとは。この地域一帯は一般人の侵入防止の障壁で覆われている。魔力が無いものは真っ直ぐ進んでいると思いながら脇道に進む。障壁の先は見えていないのだ。愉快だろう?魔力持ちが障壁をクリアしても、普通の郊外の風景が見えるように歪めてあるんだがな…第七部隊も油断すると錯覚するほどの…初めて来た者が感知できるとは……だが慣れる?聞いたことがないな。少し詳しく調べるか……うん。…そうだな…日を改めて、いや…今から調べたいがいいかな……クロード、一緒に来て…」
  隊長はぶつぶつ呟きながら立ち上がり、クロードの側まで来ると腕を掴み、歩き出そうとする。クロードが慌てて立ち上がり、隊長の顔を見つめるが、その瞳はクロードの方を向いているのに彼を見ていなかった。クロードは隊長の赤く染まった目を見ていると足が自然に前に出た。
「隊長、今日は顔合わせだけの予定でしたが?」
  透かさず、フールワンツが隊長とクロードの間に割って入った。フールワンツに腕を取られ、彼の声を聞いた瞬間、隊長の目の色が戻り、しまったな…という顔をして頭を掻いた。どうやら、隊長は熱くなると燃えて突っ走るタイプのようで、隊員はそんな隊長の扱いに慣れているのか、瞬時に鎮火する術を会得しているのだろう。部下が彼に対して諌める言動もよくある事のようで許されているのか、すまん、すまん、と手を挙げる仕草で謝っている姿は、お偉い部隊長様とはとても見えはしない。クロードもすぐに、この消火術の必要性を身をもって感じる事になるのだが、まだそれはずっと先のことである。
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