仕事やめても……いいですか……?

キュー

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黒の章

黒の子 22

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  その日、イークは部屋をノックする音で目覚めた。彼を呼ぶ声はよく知った声で、目を擦りながらドアを開けた。
「イーク、今日俺、クロードを探しに行こうと思うんだ。」
「今日は訓練があるけど…」
「で、相談なんだが……」
「いやいや、何巻き込もうとしてる?勘弁してくれよ。」
「訓練所に行く途中でな……」

  今日は訓練所へ朝から出掛ける日だ。朝食後にはクラス全員が厩舎前に集合だ。ハンスはイークと示し合わせて、途中で隊列から離れる計画だ。
  それも、これも、クロードが未だ寮に戻って来ないからだ。彼は外泊届けが出された日から、もう、五日帰っていない。寮長に彼が戻っていない事を告げに行くと、外泊届けはそのまま休学届けに変わっていて、手順通りにクロードから届けが出ているという。休学の理由を尋ねると、個人的な理由だからと、中々教えてくれなかったが、しつこく食い下がるハンスに仕方がないなあと、彼を横に待たせて、机に休学届けを広げて確認する。そのときにこっそり覗き見るのを見逃してくれた。その枠内に書かれた理由は、クロードの母親が怪我をしたため、家の手伝いに一旦家に戻った、となっていた。
  クロードがハンスに何も言わずに休学する訳はない。その上理由が変だ。ホアンに何かあって、村に帰るというならまだ納得できる。だが、母親?クロードに母親はいない。ずっと一緒に育ったハンスは知っている。クロードはそんな嘘を言わない。

「もし、休学届けがクロード本人から出されたものなら、俺に対して『気付いてくれ』のメッセージだと思う。休学届けがクロードから出されたものでないなら、それこそ、彼の意思ではない。窮地に陥っているに違いないんだ。俺が助けに行かないと!」
  ハンスの言葉はイークの心を動かすのに十分だった。


「クロード、どうだ?」
クロードは宙をぼんやりとした目でみつめていた。その目に力はなく、目の前の隊長を見ていなかった。
「………」
シルバーアールは腕組みしたままクロードを見下ろす。
  この状態が何刻も続いていた。
  シルバーアールはため息を一つついて、部屋を出ていった。
  それからしばらくして、クロードの瞳に精気が戻り、キョロキョロと周りを見回し、頭を抱えた。
「…困ったなあ…どうしよう……」
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