仕事やめても……いいですか……?

キュー

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黒の章

黒の子 26

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  ベッドが一つ、小さいテーブルが一つ。イスが2つ。タンスや棚はなく、衣装櫃に着替えは用意されていた。この殺風景なへやに監禁状態のクロードは、目の前の人を何とかしないと、現状を打破できないと思っていた。学生の自分からしたら、逆らうなんてとんでもない上司であるが、このまま閉じ込められている訳にはいかない。学校には連絡している、大丈夫と言われたが、どう考えても学生を寮に帰さず、何日も留め置くのは不自然だ。それに、職員が戻ってこないのは何故だ?フールワンツ先輩は?
「隊長、何か匂いませんか?」
魔装具を確認していた隊長を横目に、クロードがくんっと鼻を鳴らして匂いを嗅いだ。
「いや?別に?……」
それにつられて振り返るシルバーアール。
「すいません!」
視線が逸れた瞬間、謝りながら隊長を突飛ばし、ドアに向かって走った。不意を突かれたたらを踏むが、即座に体を反転させて手を伸ばす。だが、隊長は一歩出遅れて、その手は空をつかむ。
  クロードは扉を開けて廊下に飛び出し、そのまま走る。
「うぉ!?」
だが、数歩走っただけで、何故か身体に衝撃を受けた。どのように倒されたのか理解できないが、頬に廊下の床が冷たくあたる。
「甘く見られたものだな。」
クロードは背中に腕を回され、床に押し付けられていた。
「振り切ったと思ったのに…」
「鍛え方が違うよ。それに、試作の強化結界をかけているから、出入りは出来ない。君が建物の外に出ることもね……」
  クロードから顔は見えないが、隊長の目が赤く染まったのがわかった。もう、身体の自由は効かない。隊長は腕を離し、部屋に戻るように指示をした。本当に隊長の能力には敵わない。捕らわれるとどうにも抵抗できない。恐ろしい力だ。
  ノロノロと動くクロードの頭に声が響いた。

……ハンス?ハンスが来ているのか?

  友がこの障壁の向こうに来ているのを感じる。クロードは身体の奥から弾けるような力を感じた。

ピシッ!

ガラスに皹が入ったような音が響いた。


「ヒン!」
グリーンが何かに反応し、ハンスに何か伝えようと体を揺らした。
「いけるのか!?グリーン!」
ハンスはフールワンツを振り返り、同時にフールワンツも頷いた。彼もまた音を聞いて確信したのだ。
「先輩!行ける気がする!一緒に!お願いします!」

二人は同時に建物に向かって馬を走らせた。
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