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お仕事の時間ですよ 3

王宮騎士物語 第46話 プロポーズ

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「ハマー、これで良かったのよね……?私達の娘は幸せになれるのよね。」
ブリジットが夫の手を取り呟く。
「ああ。クレッセリアの話をとても信じられなかったが…今は正しい選択だったと思う。」
「ええ。クレッセリアは今は何処にいるのかしら。」
「きっと、ずっと彼女を見守っている。」
「私達の愛しい娘を。」

  今は二人の娘は王宮にいる。王女の身代わりとして。

「…私達の愛しいマリー……希人まれびと……」


  ある日彼女クレッセリアは唐突にやって来た。
「ブリジット、お願いがあるの。」
ハマーとブリジットは結婚して、男の子と女の子を授かった。庭で走り回って遊ぶ子ども達を見ながら、クレッセリアが深刻な顔で頼み事をしてきた。それは簡単には引き受けられぬ事であったが、涙を流し懇願するクレッセリアを抱きしめ頷くブリジットに、ハマーは何とも言えず、同じように頷くしかなかった。

「それで、お腹の子の父親は納得しているの?」
クレッセリアは首を横に振る。
「妊娠がわかった時に私…逃げちゃったから、知らないと思う。」
「なっ……なに?子どもができたことも伝えていないの?」
「うん。子どもとか、あり得ないでしょ?」
「いや、だからってねぇ……せっかく溶けた氷が怒りで復活してるわよ。」
「ああ、それで、ずいぶん前から姿を見ないのか……」
納得したとハマーが頷く。
「お前さんを探しまくってるんだ。きっと……」
「そもそもさあ、数年前に、あなたを探しに行くために、仕事も何もかも放り出して出ていって……冷たい捨て台詞に王が倒れたとかでさぁ、うちに匿っていないかって、家中ひっくり返されて探されてさあ……いい迷惑だったのよ?」
「お騒がせ王子よねぇ。あのバカ。」
「他人事みたいに言わないの。あなたが田舎に逃げたからでしょ。プロポーズを蹴っ飛ばして逃げたでしょ?あの時の氷結っぷりは凄かったわよ……」

  サーバスが青い薔薇の花束を抱えてクレッセリアにプロポーズしたのは三年前だった。
「ごめん、王子無理、さよなら。」
そう言って立ち去るクレッセリア。
「再考をぉぉぉ………何がダメなのかぁ……頼む待ってくれぇ…王子だからだめなのかぁぁ……」
氷のサーバスの名に……王子にふさわしくない、よく分からない台詞を呟きながら振られ男はしばらく花束を抱きしめ地に倒れていた。

「あの時は見物だったわぁ。」
「やめてよ。」
「でも、サーバが追っかけて行って、やることやったわけよね?」
クレッセリアの腹を指差す、残念ブリジット。
「ま、まあ、絆されちゃったというか…もともと、嫌いじゃなかったし……」
「そりゃ、氷を溶かす青い薔薇だもの。」
「……氷?何のこと?」
数秒みつめあうクレッセリアとブリジット。
「………えっ?」
「さっきから、氷って……」 
「うわ、もしかしてクレッセリア、氷のサーバスって、知らなかった?」
「え?氷はハマーでしょ?で、お調子者がサーバス……」
「ちがう。氷がサーバス。お調子者はハマーでうちの旦那様。」
「……そうなの…?」
「うん。自分で名乗ったりしないからね、勘違いしたのもわかるけど…」
「だって、全然冷たくない……いつも変な事言うから、てっきり『お調子者』がサーバスだと……」
「あ…それはあなたが相手だからよ。惚れた相手に緊張して上手く話せなくて…いつも頓珍漢な事を言ってたわよねぇ。あなたは逆に、サーバス意識してさ、冷たい態度とるし………」
ハマーが後ろを向いて大笑いしている。
「だって…」
「サーバスは下心満載で近寄ってくる人達にうんざりしていたのよ。そんな人達を冷笑していて………特に色仕掛けには身も凍るような目で冷たい言葉を投げつけていたわ……でもハマーが氷って……ないわぁ」
「ははは!俺もブリジットと付き合い始めてからは誤解を与えないよう他の女に対しては事務的に接していたから、冷たいと感じたのかもな。」
「え~初めて聞いた、そんな事~」
「俺の愛は、俺の可愛いお姫様にだけ向けられているんだよ」
「や~ん!姫だなんて、もう、二児の母だよ!恥ずかしぃ~」
「今でも俺の姫は君だけだよ。」

「なるほど。お調子者バカだわ。」
クレッセリアは納得……と、何度も頷いた。
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