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第二章 村のために、いろいろ頑張る!
39. 子供向けの施設も充実させよう!
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「カズキ、何か良い知恵はないか?」
「カズキさん、これはトーアル村を王都の学校へ売り込む絶好の機会なのです! 是非とも、力を貸してください!!」
朝から俺の家にやって来たのは、二人の男性。
ジェイコブさんとドレファスさんだ。
「う~ん、子供向けの施設ですよね……」
二人は、トーアル村に子供向けの施設を作るアイデアを俺に尋ねにきた。
村で医師だけでなく先生もしているジェイコブさんは、王都の学校関係者の知り合いも多い。
その同業の仲間から、「学校行事の一環として日帰りで村を訪問したいが、受け入れは可能か?」と問い合わせを受けたのだとか。
おそらく、あっちの世界で言うところの遠足みたいなものなんだろうな。
都会に住んでいる子供たちが、近場の自然豊かな田舎を訪れる。
気に入ってもらえれば、子供の話から親たちへも伝わり、今後の集客へと繋がる。
ドレファスさんの眼鏡が光り鼻息が荒くなるのも、仕方ないよね。
子供たちの受け入れは可能で、王都でも評判になっている温泉を体験してもらうことは決まっているが、それだけではダメだとジェイコブさんは言う。
「なにかこう、子供心をくすぐる遊び要素のあるものが一つでもあると良いのだが……」
たしかに、この村にある子供向けのものといえば、温泉サイダーしかない。
俺が王都で思い付いた『生け簀計画』は一つ問題があり、まだ稼働には時間がかかる。
「子供たちが来るのは、来週の温泉休業日ですよね? ということは、すぐにできるもの……」
三十人近い子供がやって来るため、一般のお客さんがいない休業日に受け入れることを決めたそうで、時間はあまりない。
生け簀用の池を確認しに行ったときに見つけたアレを使えば、子供だけでなく大人も楽しめそうなものが作れそうだが……
俺がチラリとテーブル下の足元へ目を向けると、丸くなって寝ている猫型トーラの横で、絨毯から顔だけ覗かせているアンディと目が合った。
コクコクと力強く頷いているから、この間の話をちゃんと覚えていたのだろう。
⦅それにしても、こやつは大胆不敵じゃのう。客がおるのに、堂々と顔を出しておるわい⦆
子供だから、好奇心が旺盛なんだよね。
こっちは相手に気付かれるんじゃないかと、ハラハラするけどな。
「俺がまずは試しに作ってみます。完成したらお見せしますので、意見をいただけますか?」
「カズキさんは、何を作られるおつもりですか?」
「フフフ、それはできてからのお楽しみということで」
もったいぶってしまったが、実際どんなものができるのか俺にもわからない。
ドレファスさんからは、「期待していますね!」と大プレッシャーをかけられてしまった。
◇
その日の午後、俺はトーラとアンディ(の入った壺)と共にある場所へ向かった。
「結構、広いなあ……」
ある場所とは、村の近くにあった洞窟。
もしかして、ダンジョン!?と興奮し探索してみたが、残念ながらただの洞窟で魔物などは住み着いておらず、探知魔法で確認してもこれといった鉱石も採掘できない。
中は薄気味悪くて、これじゃあお化け屋敷にくらいしかならないぞ…とため息をついたところでひらめいた。
ここを、本当にお化け屋敷にしてしまえばいいのだと。
異世界だから和風ではなく、ダンジョン風にすれば面白いよな。
ゴール地点や途中に宝箱を置いて、ちょっとしたお宝を入れておけば冒険者っぽいし。
温泉みたいに通年営業ではなく、気候の良い時期だけの期間限定営業にすれば希少価値も上がるかも。
だって、怪談といえば暑い季節が定番だもんな。
そんなことを考えていたときにアンディの封印が解け、ジェイコブさんたちから相談を受ける。
それで、より具体的にお化け屋敷計画が加速化したのだった。
「アンディ、もう出てきていいぞ」
洞窟の中はジメジメしているから、トーラを抱っこする。
片手で壺の蓋を開けると、アンディが「待ってました!」と言わんばかりに飛び出てきた。
アンディはアンデッドなのに強力な個体だからなのか、お日様の下でも活動ができる。
では、なぜ壺に入れていたのかというと、ただただ人目に付きやすいから。
貴族の恰好をした美少年は、たとえ人族に見えるとしても非常に目立つ。
特に、このトーアル村ではね。
≪これが、父上の言っていた洞窟か。ここならば、私の眷属たちも働きがいがあるというものだ≫
「どうだ、できそうか?」
≪父上の期待に、必ずや応えてみせよう≫
何とも頼もしい台詞を吐いたアンディは、さっそく眷属の召喚を始めた。
いつものようにカタカタと骨を鳴らして、スケルトンが集まってくる。
死霊騎士や、死霊王らしきやつもいるが……
「おい、あんまりたくさんいると、洞窟内が死霊で埋め尽くされるぞ」
≪問題あるまい。だが、少し中を変更してもよいか? もう少し、部屋を作りたいのだ≫
「いいけど、あんまり複雑にして迷子を出さないように。ここは、あくまでも子供向けダンジョンなんだからな」
≪もちろん、心得ている≫
⦅こやつ、本当に大丈夫かのう……⦆
まあ、完成したら俺が厳しくチェックするから、今は好きなようにやらせてみよう。
アンディは楽しそうに、あれこれ眷属たちへ指示を出している。
時々笑い声も聞こえてくるが、不敵な笑みを浮かべた顔は悪だくみを考えているようにしか見えない。
本当に、大丈夫だよな……
多少の不安を覚えたが、気のせいだと思っておく。
夜通し作業をするつもりのようで、明日迎えに来てくれと言われた。
念のため、洞窟付近を土壁で囲って『工事中のため立ち入り禁止』と書いておく。
これで、外からアンディたちの姿を見られることはないだろう。
「カズキさん、これはトーアル村を王都の学校へ売り込む絶好の機会なのです! 是非とも、力を貸してください!!」
朝から俺の家にやって来たのは、二人の男性。
ジェイコブさんとドレファスさんだ。
「う~ん、子供向けの施設ですよね……」
二人は、トーアル村に子供向けの施設を作るアイデアを俺に尋ねにきた。
村で医師だけでなく先生もしているジェイコブさんは、王都の学校関係者の知り合いも多い。
その同業の仲間から、「学校行事の一環として日帰りで村を訪問したいが、受け入れは可能か?」と問い合わせを受けたのだとか。
おそらく、あっちの世界で言うところの遠足みたいなものなんだろうな。
都会に住んでいる子供たちが、近場の自然豊かな田舎を訪れる。
気に入ってもらえれば、子供の話から親たちへも伝わり、今後の集客へと繋がる。
ドレファスさんの眼鏡が光り鼻息が荒くなるのも、仕方ないよね。
子供たちの受け入れは可能で、王都でも評判になっている温泉を体験してもらうことは決まっているが、それだけではダメだとジェイコブさんは言う。
「なにかこう、子供心をくすぐる遊び要素のあるものが一つでもあると良いのだが……」
たしかに、この村にある子供向けのものといえば、温泉サイダーしかない。
俺が王都で思い付いた『生け簀計画』は一つ問題があり、まだ稼働には時間がかかる。
「子供たちが来るのは、来週の温泉休業日ですよね? ということは、すぐにできるもの……」
三十人近い子供がやって来るため、一般のお客さんがいない休業日に受け入れることを決めたそうで、時間はあまりない。
生け簀用の池を確認しに行ったときに見つけたアレを使えば、子供だけでなく大人も楽しめそうなものが作れそうだが……
俺がチラリとテーブル下の足元へ目を向けると、丸くなって寝ている猫型トーラの横で、絨毯から顔だけ覗かせているアンディと目が合った。
コクコクと力強く頷いているから、この間の話をちゃんと覚えていたのだろう。
⦅それにしても、こやつは大胆不敵じゃのう。客がおるのに、堂々と顔を出しておるわい⦆
子供だから、好奇心が旺盛なんだよね。
こっちは相手に気付かれるんじゃないかと、ハラハラするけどな。
「俺がまずは試しに作ってみます。完成したらお見せしますので、意見をいただけますか?」
「カズキさんは、何を作られるおつもりですか?」
「フフフ、それはできてからのお楽しみということで」
もったいぶってしまったが、実際どんなものができるのか俺にもわからない。
ドレファスさんからは、「期待していますね!」と大プレッシャーをかけられてしまった。
◇
その日の午後、俺はトーラとアンディ(の入った壺)と共にある場所へ向かった。
「結構、広いなあ……」
ある場所とは、村の近くにあった洞窟。
もしかして、ダンジョン!?と興奮し探索してみたが、残念ながらただの洞窟で魔物などは住み着いておらず、探知魔法で確認してもこれといった鉱石も採掘できない。
中は薄気味悪くて、これじゃあお化け屋敷にくらいしかならないぞ…とため息をついたところでひらめいた。
ここを、本当にお化け屋敷にしてしまえばいいのだと。
異世界だから和風ではなく、ダンジョン風にすれば面白いよな。
ゴール地点や途中に宝箱を置いて、ちょっとしたお宝を入れておけば冒険者っぽいし。
温泉みたいに通年営業ではなく、気候の良い時期だけの期間限定営業にすれば希少価値も上がるかも。
だって、怪談といえば暑い季節が定番だもんな。
そんなことを考えていたときにアンディの封印が解け、ジェイコブさんたちから相談を受ける。
それで、より具体的にお化け屋敷計画が加速化したのだった。
「アンディ、もう出てきていいぞ」
洞窟の中はジメジメしているから、トーラを抱っこする。
片手で壺の蓋を開けると、アンディが「待ってました!」と言わんばかりに飛び出てきた。
アンディはアンデッドなのに強力な個体だからなのか、お日様の下でも活動ができる。
では、なぜ壺に入れていたのかというと、ただただ人目に付きやすいから。
貴族の恰好をした美少年は、たとえ人族に見えるとしても非常に目立つ。
特に、このトーアル村ではね。
≪これが、父上の言っていた洞窟か。ここならば、私の眷属たちも働きがいがあるというものだ≫
「どうだ、できそうか?」
≪父上の期待に、必ずや応えてみせよう≫
何とも頼もしい台詞を吐いたアンディは、さっそく眷属の召喚を始めた。
いつものようにカタカタと骨を鳴らして、スケルトンが集まってくる。
死霊騎士や、死霊王らしきやつもいるが……
「おい、あんまりたくさんいると、洞窟内が死霊で埋め尽くされるぞ」
≪問題あるまい。だが、少し中を変更してもよいか? もう少し、部屋を作りたいのだ≫
「いいけど、あんまり複雑にして迷子を出さないように。ここは、あくまでも子供向けダンジョンなんだからな」
≪もちろん、心得ている≫
⦅こやつ、本当に大丈夫かのう……⦆
まあ、完成したら俺が厳しくチェックするから、今は好きなようにやらせてみよう。
アンディは楽しそうに、あれこれ眷属たちへ指示を出している。
時々笑い声も聞こえてくるが、不敵な笑みを浮かべた顔は悪だくみを考えているようにしか見えない。
本当に、大丈夫だよな……
多少の不安を覚えたが、気のせいだと思っておく。
夜通し作業をするつもりのようで、明日迎えに来てくれと言われた。
念のため、洞窟付近を土壁で囲って『工事中のため立ち入り禁止』と書いておく。
これで、外からアンディたちの姿を見られることはないだろう。
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