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目指せお金持ち!
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「ガルディア様、あのご婦人たちは……」
「……私の家族だ、迷惑をかけるだろうが…よろしく頼む」
「それは……」
こらこら、聞こえてますよ兄様。
迷惑なんてかけていないでしょ。
「こんなもんでいいでしょうか母様」
「そうねえ、まあ、いいんじゃないの?」
”お主ならただ一言、消えろと言えば全て済むだろうに”
「そんなやった事も無い魔法を発動して、範囲を誤って他に被害が出たらどうするんですか」
”お主は神似者であって神ではない。神ほどの威力は発揮できまいよ”
「確かにそうですけど、消えろは勿体ないです。やはりドロップ品やお肉は大事にすべきだと思います」
私の倒したお肉などは、今騎士さんや兵隊さん達が回収中です。
心なしか、みんなウキウキしている様子です。
でも残念、お肉は食事に使ってもいいけれど、ドロップ品は我が家の借金返済に使わせて下さい。
「これだけのスタンピードのドロップ品だ、一財産になるぞ」
「そうなんですか?やりましたね母様、これならベイクドファンのケーキを食べ放題出来ますね!?」
一生に一度ぐらい、店のケーキ全種類をひとつづつ買ってみたかったんです。
多分食べきれないと思いますが(絶対無理だよ)
「凄いですね、既に湯通しが済んでいますから、臭みや余計な油分が抜けて料理しやすいですよ」
「今日は食べ放題……でいいですか?」
一人の兵隊さんが、私の方を向き、おずおずと尋ねます。
もちろんですとも、好きなだけ食べて下さい。
それでも大量に残ると思いますから、それは保存用に干し肉にでもしてくださいね。
出来上がった頃、分けてもらいに来ますから。
「一人のけが人も無く、被害も出なかった。お前のおかげだエレオノーラ。ありがとう」
「いえ、また何かあったら、絶対に呼んで下さいね」
そうすればいずれ、我が家もお金持ちになれるかもしれません。
城に帰り、シュカルフ様や隊長にも褒められ、報奨金を出そうと言われましたが、ドロップ品が有りますから十分です。
「エルちゃんありがとう!ビッグホーンバッファローって大好物なの。特にレアステーキって最高よね!!」
魔物をレアで食べて大丈夫なんですか?
まあそんなこんなで、今夜は警備の人を除き、歌え踊れの食い放題大宴会パーティーだそうです。
警備の人、ご愁傷さまです………ち~ん。
「でも兄様、傷んだ結界はそのままで大丈夫なんですか?」
「その辺は明日、魔導士に依頼するつもり………」
つんつんつん。
母様がまた嬉しそうに、兄様の裾をつんつんしています。
でもそれって、また私にやらせるつもりですよね。
「何事も経験よ!」
はいはい、分かりました。
今回は簡単でしたよ。
リンデンさんに頼まなくても現地まで行けたし、結界が何たるかを母様からレクチャーされ、兄様が指定した範囲一帯を上空から目視で結界を張りました。
増し々で。
多分これならしばらくは大丈夫でしょう。
「エレオノーラ……私達まで通り抜けられ無いのだが…」
そうですか?
私はちゃんと通り抜けられましたよ。
普通であれば道の部分には、荷馬車が通れる程度に穴を開けてあるそうです。
でも時々そこから魔物が侵入してしまうけれど、行き来が出来ないよりはましだとしているみたい。
「兄様、何でしたら魔物全てを殲滅しちゃいましょうか?」
「それをすれば、経済バランスが崩れるからやめてくれ」
そうなんですか?
そんなもんなんですねぇ。
とにかく行き来が出来るようにしましょう。
私はその辺の小石をわしづかみにし”これを持っていると通り抜けできるよ”と念じました。
そのおまじないをした後は、何の変哲も無かった石が透明になり、中心には何やら模様が入っています。
「さっ兄様これをあげます。これを持ってドーンと行てみて下さい」
兄様は怪訝な顔をしながらも、その石を一つ取り、結界のある場所に踏み出します。
そして難なく通り抜けた時、兄様がにやりと笑いました。
「なるほどな、これならこの結界はかなりの防御となる。エレオノーラよくやった」
へへへ。
「ご所望とあれば、その石もっと作っておきますよ。通行料代わりに売りさばいてもいいし、隣の国との国交にも利用できるんじゃないですか?」
「なるほどな………」
「なかなか面白そうだね。何だったら私も一肌脱ごうか?」
今まで影が薄かったシルベスタ兄様です。
「受注を受けてから魔石を作り売る。そうすればエレオノーラの負担も減るね」
売ると言う事は、お金が貰えるって事ですか?
その辺に転がっている石がお金を生む。
ぼろ儲けですね。
「もしやるなら、窓口は私に任せてくれ、店には多少のマージンを払わなければならないけれど、その辺はうまくやる。当然ここの支店にはある程度の量の魔石をストックしなければならないが、それに関しては、割高にしても買う奴は出るだろう」
「あぁ、その辺のプランはお前に任せる。しかし、この結界を抜けても魔物に襲われるリスクは今まで通りだな」
「それなら兄様、魔物除けの魔石でも作りましょうか?」
今までそれっぽい物も有ったらしいけれど、効果は100%では無く、多くの旅人は傭兵を雇ったり、それが出来ない人は魔物の嫌う草を干し、携帯していたそうだ。
それでも襲われる時は有ったとな。
でも今の私は完璧な物が作れる!……ような気がする。
何せ実験してみなければ、何とも言えませんよ。
「分かった。ならばいくつか作ってくれないか?警備の者に持たせてみよう」
「それがうまく行ったら、そっちも私の店が請け負おう。尤も軍の方も欲しがるだろうが、そちらは兄上に任せるよ」
あくまでもシルベスタ兄様は庶民向けのリーズナブルを目指すそうです。
「軍は今までの魔物の被害を考えれば、多少吹っかけても安い物だろう?その分、文句が出ない程度に付加を付ければいい。兄上なら交渉できるでしょう?」
「おぉ、またまたうちにお金が入るのですね。目指せ大金持ち」
それを聞いた兄様達が、何故か白い目で私を見ます。
だって今まであんなに貧乏だったんですよ。
それが道に転がっている石でお金が入るんですよ。
借金が完済できるんですよ。
凄いじゃないですか!!
「お前は金以上のものを持っているじゃないか。その気になれば世界………」
えっ?何でそこで黙るんですか?私、変な野望なんて持ちません。
世界征服なんてしませんて。
借金を返済して、家族そろって穏やかに暮らせればそれでいいんです。
「……私の家族だ、迷惑をかけるだろうが…よろしく頼む」
「それは……」
こらこら、聞こえてますよ兄様。
迷惑なんてかけていないでしょ。
「こんなもんでいいでしょうか母様」
「そうねえ、まあ、いいんじゃないの?」
”お主ならただ一言、消えろと言えば全て済むだろうに”
「そんなやった事も無い魔法を発動して、範囲を誤って他に被害が出たらどうするんですか」
”お主は神似者であって神ではない。神ほどの威力は発揮できまいよ”
「確かにそうですけど、消えろは勿体ないです。やはりドロップ品やお肉は大事にすべきだと思います」
私の倒したお肉などは、今騎士さんや兵隊さん達が回収中です。
心なしか、みんなウキウキしている様子です。
でも残念、お肉は食事に使ってもいいけれど、ドロップ品は我が家の借金返済に使わせて下さい。
「これだけのスタンピードのドロップ品だ、一財産になるぞ」
「そうなんですか?やりましたね母様、これならベイクドファンのケーキを食べ放題出来ますね!?」
一生に一度ぐらい、店のケーキ全種類をひとつづつ買ってみたかったんです。
多分食べきれないと思いますが(絶対無理だよ)
「凄いですね、既に湯通しが済んでいますから、臭みや余計な油分が抜けて料理しやすいですよ」
「今日は食べ放題……でいいですか?」
一人の兵隊さんが、私の方を向き、おずおずと尋ねます。
もちろんですとも、好きなだけ食べて下さい。
それでも大量に残ると思いますから、それは保存用に干し肉にでもしてくださいね。
出来上がった頃、分けてもらいに来ますから。
「一人のけが人も無く、被害も出なかった。お前のおかげだエレオノーラ。ありがとう」
「いえ、また何かあったら、絶対に呼んで下さいね」
そうすればいずれ、我が家もお金持ちになれるかもしれません。
城に帰り、シュカルフ様や隊長にも褒められ、報奨金を出そうと言われましたが、ドロップ品が有りますから十分です。
「エルちゃんありがとう!ビッグホーンバッファローって大好物なの。特にレアステーキって最高よね!!」
魔物をレアで食べて大丈夫なんですか?
まあそんなこんなで、今夜は警備の人を除き、歌え踊れの食い放題大宴会パーティーだそうです。
警備の人、ご愁傷さまです………ち~ん。
「でも兄様、傷んだ結界はそのままで大丈夫なんですか?」
「その辺は明日、魔導士に依頼するつもり………」
つんつんつん。
母様がまた嬉しそうに、兄様の裾をつんつんしています。
でもそれって、また私にやらせるつもりですよね。
「何事も経験よ!」
はいはい、分かりました。
今回は簡単でしたよ。
リンデンさんに頼まなくても現地まで行けたし、結界が何たるかを母様からレクチャーされ、兄様が指定した範囲一帯を上空から目視で結界を張りました。
増し々で。
多分これならしばらくは大丈夫でしょう。
「エレオノーラ……私達まで通り抜けられ無いのだが…」
そうですか?
私はちゃんと通り抜けられましたよ。
普通であれば道の部分には、荷馬車が通れる程度に穴を開けてあるそうです。
でも時々そこから魔物が侵入してしまうけれど、行き来が出来ないよりはましだとしているみたい。
「兄様、何でしたら魔物全てを殲滅しちゃいましょうか?」
「それをすれば、経済バランスが崩れるからやめてくれ」
そうなんですか?
そんなもんなんですねぇ。
とにかく行き来が出来るようにしましょう。
私はその辺の小石をわしづかみにし”これを持っていると通り抜けできるよ”と念じました。
そのおまじないをした後は、何の変哲も無かった石が透明になり、中心には何やら模様が入っています。
「さっ兄様これをあげます。これを持ってドーンと行てみて下さい」
兄様は怪訝な顔をしながらも、その石を一つ取り、結界のある場所に踏み出します。
そして難なく通り抜けた時、兄様がにやりと笑いました。
「なるほどな、これならこの結界はかなりの防御となる。エレオノーラよくやった」
へへへ。
「ご所望とあれば、その石もっと作っておきますよ。通行料代わりに売りさばいてもいいし、隣の国との国交にも利用できるんじゃないですか?」
「なるほどな………」
「なかなか面白そうだね。何だったら私も一肌脱ごうか?」
今まで影が薄かったシルベスタ兄様です。
「受注を受けてから魔石を作り売る。そうすればエレオノーラの負担も減るね」
売ると言う事は、お金が貰えるって事ですか?
その辺に転がっている石がお金を生む。
ぼろ儲けですね。
「もしやるなら、窓口は私に任せてくれ、店には多少のマージンを払わなければならないけれど、その辺はうまくやる。当然ここの支店にはある程度の量の魔石をストックしなければならないが、それに関しては、割高にしても買う奴は出るだろう」
「あぁ、その辺のプランはお前に任せる。しかし、この結界を抜けても魔物に襲われるリスクは今まで通りだな」
「それなら兄様、魔物除けの魔石でも作りましょうか?」
今までそれっぽい物も有ったらしいけれど、効果は100%では無く、多くの旅人は傭兵を雇ったり、それが出来ない人は魔物の嫌う草を干し、携帯していたそうだ。
それでも襲われる時は有ったとな。
でも今の私は完璧な物が作れる!……ような気がする。
何せ実験してみなければ、何とも言えませんよ。
「分かった。ならばいくつか作ってくれないか?警備の者に持たせてみよう」
「それがうまく行ったら、そっちも私の店が請け負おう。尤も軍の方も欲しがるだろうが、そちらは兄上に任せるよ」
あくまでもシルベスタ兄様は庶民向けのリーズナブルを目指すそうです。
「軍は今までの魔物の被害を考えれば、多少吹っかけても安い物だろう?その分、文句が出ない程度に付加を付ければいい。兄上なら交渉できるでしょう?」
「おぉ、またまたうちにお金が入るのですね。目指せ大金持ち」
それを聞いた兄様達が、何故か白い目で私を見ます。
だって今まであんなに貧乏だったんですよ。
それが道に転がっている石でお金が入るんですよ。
借金が完済できるんですよ。
凄いじゃないですか!!
「お前は金以上のものを持っているじゃないか。その気になれば世界………」
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