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可愛い息子
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「ガルダ、ずっと待っていてくれたんだ。
ありがとう。
でも私が復活してここに現れるって、よく分かったね。」
「あいつらが黙っている筈が無いからな。」
まあ、そうだろう。
ミンミ・フラタネンなら黙っていないだろうね。
私だって、もし誰かを失ったなら、必死になって魂を探し出すだろう。
ただ、良く見つけたもんだと感心する。
だって私の魂は異世界に有ったのだから。
「この場所に来るって知っていたの?」
「勘だ。」
うん、そうだね。
ガルダの野生の勘。
本能か。
そして私は遠慮なくガルダに跨った。
ガルダは大きな羽を広げ、空に舞い上がる。
「それで、私をどこに連れて行くの?」
「あいつらのいない所。
マイリをまた連れ去るのは許さない。」
「連れ去ったのではなく、私が付いて行ったんだけど。
でもあなたを捨てた訳では無いんだよ。」
「分かっている。」
彼は私の可愛い息子。
ただ血がつながっている訳では無い。
彼が幼生の頃、私が拾った龍だ。
そして私が息子のように育て、
そして別れた。
時期が悪かったのだ。
彼が幼期を終え成長期となった時、コルベラ山の主となった。
成獣となるまでそこを離れられない。
私もそこに一緒に留まるつもりでいた。
だが、アラル達に会った。
彼達は私の力を欲した。
世界の滅亡を阻むために。
時間が無かった。
私がガルダの下に留まると手遅れになる。
世界が滅亡するとはガルダも失われると言う事。
当時の私はそれが絶えられなかった。
「いなくならないで!」
泣きながらそう訴えるガルダを置き去り、
私はアラル達と旅に出た。
亜苦を打ち滅ぼす為に。
今回は運が良かった。
台頭したのは次位の物だったからだ。
本家本元が出ていたら、
私達だけでは滅ぼすことが出来なかっただろう。
そしてその間に私は恋をした。
愛を知った。
アラルに。
ガルダを忘れていた訳では無い。
だが、浮かれていたのかもしれない。
そしてしびれを切らしたガルダが私を迎えに来た。
「母さんを返せ!」
あの咆哮はそう言っていた。
そしてガルダは彼達に襲い掛かる。
いくら成獣になったからと言って、彼はまだ幼生だったのだ。
私に対しては、まだ幼生だった。
彼を離したのは母親だ。
それでも彼は、母親に甘えたい子供だったのだ。
鬱積していた感情を爆発させたガルダは、
その矛先をアラル向けた。
私に仲裁は無理だった。
私はどちらも選べないのだから。
その時、このエネルギーを消滅させるほどの力は、
回復途上の私には残っていなかった。
だから私は盾になるしかなかった。
二人とも救うにはそれしかなかった。
愛する二人の為ならば、私の命など惜しげもなく差し出そう。
この世界での記憶、成り行き、感情が一気に私の頭の中に溢れかえる。
「結構辛いものだね。」
頭ガガンガンする。
「どうした。」
「んーん、何でも無いよ。」
ガルダは夕焼けに向かい大きく羽ばたく。
一体私をどこに連れて行くのだろう。
いや、分かっている。
私達二人だけになれる所だ。
いいよ、一緒に行くよ。
義務なんかじゃない。
今の私はガルダと一緒に居たいのだから、
可愛い私の息子。
ガルダが行きたいところに一緒に行こう。
「着いたよマイリ。」
どこかの大きな洞穴で二人で住むのかな。
焚火を前にして二人でくつろぐ姿を想像していた私の予想は、
見事に覆された。
目の前にあるのは、大きな屋敷。
だがそれが有るのは、高いコルベラ山の山頂だった。
回りは草木も生えない過酷な場所のはずだ。
だけどなぜ、花が有る?草が有る?森が茂っている?
「思っていた通りだ。」
「何?」
「きっとマイリはこういうのが好きだって事。」
うん、よく分かったね。
ガルダが物心ついた頃は、
コルベラの殺伐とした風景しか知らなかったから。
良く私が自然が好きだと分かったね。
「マイリはよく話していたから。」
「世界には美しいものが沢山あるって、
ガルダにも知ってほしかったからね。」
ここにはきっと結界が張ってあるのだろう。
外からの冷気が全然入ってこない。
そして、私に害をなす者が入ってこれない様に。
つまり、ガルダに取ってはアラルダ達の事を言うのだろう。
「マイリが気に入ってくれて嬉しい。」
「うん、気に入ったよ。
ガルダ、頑張ったね。
ありがとう。」
へへへと照れ臭そうに笑うガルダ。
そこにはあの頃のガルダがいた。
ありがとう。
でも私が復活してここに現れるって、よく分かったね。」
「あいつらが黙っている筈が無いからな。」
まあ、そうだろう。
ミンミ・フラタネンなら黙っていないだろうね。
私だって、もし誰かを失ったなら、必死になって魂を探し出すだろう。
ただ、良く見つけたもんだと感心する。
だって私の魂は異世界に有ったのだから。
「この場所に来るって知っていたの?」
「勘だ。」
うん、そうだね。
ガルダの野生の勘。
本能か。
そして私は遠慮なくガルダに跨った。
ガルダは大きな羽を広げ、空に舞い上がる。
「それで、私をどこに連れて行くの?」
「あいつらのいない所。
マイリをまた連れ去るのは許さない。」
「連れ去ったのではなく、私が付いて行ったんだけど。
でもあなたを捨てた訳では無いんだよ。」
「分かっている。」
彼は私の可愛い息子。
ただ血がつながっている訳では無い。
彼が幼生の頃、私が拾った龍だ。
そして私が息子のように育て、
そして別れた。
時期が悪かったのだ。
彼が幼期を終え成長期となった時、コルベラ山の主となった。
成獣となるまでそこを離れられない。
私もそこに一緒に留まるつもりでいた。
だが、アラル達に会った。
彼達は私の力を欲した。
世界の滅亡を阻むために。
時間が無かった。
私がガルダの下に留まると手遅れになる。
世界が滅亡するとはガルダも失われると言う事。
当時の私はそれが絶えられなかった。
「いなくならないで!」
泣きながらそう訴えるガルダを置き去り、
私はアラル達と旅に出た。
亜苦を打ち滅ぼす為に。
今回は運が良かった。
台頭したのは次位の物だったからだ。
本家本元が出ていたら、
私達だけでは滅ぼすことが出来なかっただろう。
そしてその間に私は恋をした。
愛を知った。
アラルに。
ガルダを忘れていた訳では無い。
だが、浮かれていたのかもしれない。
そしてしびれを切らしたガルダが私を迎えに来た。
「母さんを返せ!」
あの咆哮はそう言っていた。
そしてガルダは彼達に襲い掛かる。
いくら成獣になったからと言って、彼はまだ幼生だったのだ。
私に対しては、まだ幼生だった。
彼を離したのは母親だ。
それでも彼は、母親に甘えたい子供だったのだ。
鬱積していた感情を爆発させたガルダは、
その矛先をアラル向けた。
私に仲裁は無理だった。
私はどちらも選べないのだから。
その時、このエネルギーを消滅させるほどの力は、
回復途上の私には残っていなかった。
だから私は盾になるしかなかった。
二人とも救うにはそれしかなかった。
愛する二人の為ならば、私の命など惜しげもなく差し出そう。
この世界での記憶、成り行き、感情が一気に私の頭の中に溢れかえる。
「結構辛いものだね。」
頭ガガンガンする。
「どうした。」
「んーん、何でも無いよ。」
ガルダは夕焼けに向かい大きく羽ばたく。
一体私をどこに連れて行くのだろう。
いや、分かっている。
私達二人だけになれる所だ。
いいよ、一緒に行くよ。
義務なんかじゃない。
今の私はガルダと一緒に居たいのだから、
可愛い私の息子。
ガルダが行きたいところに一緒に行こう。
「着いたよマイリ。」
どこかの大きな洞穴で二人で住むのかな。
焚火を前にして二人でくつろぐ姿を想像していた私の予想は、
見事に覆された。
目の前にあるのは、大きな屋敷。
だがそれが有るのは、高いコルベラ山の山頂だった。
回りは草木も生えない過酷な場所のはずだ。
だけどなぜ、花が有る?草が有る?森が茂っている?
「思っていた通りだ。」
「何?」
「きっとマイリはこういうのが好きだって事。」
うん、よく分かったね。
ガルダが物心ついた頃は、
コルベラの殺伐とした風景しか知らなかったから。
良く私が自然が好きだと分かったね。
「マイリはよく話していたから。」
「世界には美しいものが沢山あるって、
ガルダにも知ってほしかったからね。」
ここにはきっと結界が張ってあるのだろう。
外からの冷気が全然入ってこない。
そして、私に害をなす者が入ってこれない様に。
つまり、ガルダに取ってはアラルダ達の事を言うのだろう。
「マイリが気に入ってくれて嬉しい。」
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ガルダ、頑張ったね。
ありがとう。」
へへへと照れ臭そうに笑うガルダ。
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