緊急事態!VRMMO”久遠の大陸”に閉じ込められた俺

羽兎里

文字の大きさ
1 / 23
第一章 バグ編

嵐の前の静けさ

しおりを挟む
揺らめく木陰、涼やかな風が通り抜けていく。
何も考えずただ眼を閉じ時間の流れに身を任せる。
たまにはこんな時間ももいいものだ。



「皐月!何ボーと寝っ転がっているのよ!
忙しいんだから、暇なら買い物に行ってきて!」

チェッ、せっかくいい気分だったのに。
母親の怒鳴り声に、俺はいきなり現実に引き戻された。

俺は今、お盆で田舎のじいちゃんの家に帰省中。
先ほどやっと到着し、お気に入りの縁側を全開にして、
そこに寝そべって涼しい田舎の風にあたって一息ついていたんだけど…。

本当はラッシュに巻き込まれ、退屈な時間を過ごすぐらいなら、
たとえ一人でも家に残って、ゲームしていた方がましだと思っていたけれど、
たまにはおじいちゃん達に顔を見せなさいと無理やり連れてこられたんだ。
もっとも此処には小学校3年まで住んでいたから、全然知らない土地ではないし、
たまには幼馴染と直に顔を合わせるのもいいしな。

仕方ないから俺は母親に頼まれた買い物に行く事にした。
此処から一番近いスーパーまでは約2キロ。
ワゴン車に無理やり積んできた自転車は、これを想定していたんだろうな。
俺はエコバックと財布を持たされ、玄関に追い立てられた。

「行って来まーす。」

ガラガラと玄関の引き戸を開け、一歩踏み出した途端、俺は固まった。

「え……と。」

今の俺の目の前には、どことなく見た事の有る風景が広がっていた。
不気味な岩山がそびえ立ち、うっそうとした森が奥深く続いている。
しかしそこは、見慣れたじいちゃんちの庭では絶対ない。
いきなり嫌な汗が噴き出してきた。

「………。」

踏み出していた足をそーっと玄関の中に戻し、引き戸をゆっくり閉める。
そして安全地帯に戻ってきたような安堵感に満たされた。
玄関の壁に体を預けフ―ッと息を吐く。

「あれってさぁ…。」

誰に聞かせる訳でもないが、言葉が口をついて出る。

「絶対あそこだよな。でも俺今ログインしてたっけ?いや、そんな筈ねえし。」

するといきなり、母親の大きな声が響いた。

「やだ皐月、あんたまだ買い物に行ってなかったの?
もう!さっさと行ってきてよ、ほらほら。」

そう言って、俺を無理やり玄関の外に押し出そうとする。

「いや、やめろよ母さん。だからぁ、ちょっと待てって。」

しかし問答無用で俺は抵抗も虚しく玄関の外に追いやられてしまった。
だから、此処は危険地帯なんだってば!勘弁してくれよ。
此処に来るには、それなりの装備を整えてからじゃなきゃ危ないんだってば!
俺は思わず頭を抱えてしゃがみ込んだ。
て、何考えてるんだ俺、
リアルには、ハイポーションだとかハイサポーターの装備が存在している訳ないじゃん。
そんな物、装備できると思ってんの?
でも、いきなり危険地帯に無装備でポイされるのだけは勘弁!
なんて頭がぐちゃぐちゃになったけど、
気を取り直してそーっと周りを見渡してみると、
そこは見慣れたじいちゃんちの庭だった。

「た、助かった~。」

「何がだよ。」

「へ?」

「よう、皐月久しぶり。」

声のした方を見ると、そこには幼馴染の涼太が自転車に跨ったままこちらを見ていた。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

勇者のハーレムパーティー抜けさせてもらいます!〜やけになってワンナイトしたら溺愛されました〜

犬の下僕
恋愛
勇者に裏切られた主人公がワンナイトしたら溺愛される話です。

虚弱生産士は今日も死ぬ ―遊戯の世界で満喫中―

山田 武
ファンタジー
今よりも科学が発達した世界、そんな世界にVRMMOが登場した。 Every Holiday Online 休みを謳歌できるこのゲームを、俺たち家族全員が始めることになった。 最初のチュートリアルの時、俺は一つの願いを言った――そしたらステータスは最弱、スキルの大半はエラー状態!? ゲーム開始地点は誰もいない無人の星、あるのは求めて手に入れた生産特化のスキル――:DIY:。 はたして、俺はこのゲームで大車輪ができるのか!? (大切) 1話約1000文字です 01章――バトル無し・下準備回 02章――冒険の始まり・死に続ける 03章――『超越者』・騎士の国へ 04章――森の守護獣・イベント参加 05章――ダンジョン・未知との遭遇 06章──仙人の街・帝国の進撃 07章──強さを求めて・錬金の王 08章──魔族の侵略・魔王との邂逅 09章──匠天の証明・眠る機械龍 10章──東の果てへ・物ノ怪の巫女 11章──アンヤク・封じられし人形 12章──獣人の都・蔓延る闘争 13章──当千の試練・機械仕掛けの不死者 14章──天の集い・北の果て 15章──刀の王様・眠れる妖精 16章──腕輪祭り・悪鬼騒動 17章──幽源の世界・侵略者の侵蝕 18章──タコヤキ作り・幽魔と霊王 19章──剋服の試練・ギルド問題 20章──五州騒動・迷宮イベント 21章──VS戦乙女・就職活動 22章──休日開放・家族冒険 23章──千■万■・■■の主(予定) タイトル通りになるのは二章以降となります、予めご了承を。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! 仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。 カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収

ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。 彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。 だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。 自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。 「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」 契約解除。返還されたレベルは9999。 一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。 対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。 静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。 「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」 これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。 (本作品はAIを活用して構成・執筆しています)

処理中です...