緊急事態!VRMMO”久遠の大陸”に閉じ込められた俺

羽兎里

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第一章 バグ編

物凄い偶然

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「お…、うっす。涼太、久しぶり?」

「お前そんな所にしゃがみ込んで何してるんだよ。」

垣根の外から涼太が胡散臭そうに俺に言う。

「い、いや、別に。」

俺は目の前にあった雑草を1本引っこ抜いてから立ち上がった。
いかにも気になった草を抜いてましたーて感じで、でも騙されてくれないだろうなぁ。

「で、何やってんだよ、そのポーズってお前がピンチに陥った時の癖だろ。
何かあったか?」

「いや、別に何でもない。」

「嘘をつくなよ。俺が騙される訳ないだろう。
一体どうしたんだ。」

お前の事だから俺の今起きた事を聞いたら絶対笑う、
て言うか馬鹿にするから言わん。

「何でも無いよ。
俺は今から買い物に行かなきゃならないんだ。悪いが用が有るんだったら出直してくれ。」

「付き合う。」

そして俺たち二人はスーパーに向かって自転車を走らせた。


「2年ぶりかあ、実際会うのって。」

そうか、2年会ってなかったんだ。

ほぼ毎日のようにゲームにログインして、いつも一緒に行動しているから、
リアルでは、そんなに会っていなかったなんて思わなかった。
確かにゲーム内のアバターは全然違う容姿もしているけど、しゃべり方や癖は変わらないからな。

涼太は俺よりずいぶん背が高い。
先月計ったら180㎝を突破したそうな。
うらやましい。俺より10㎝以上高いじゃん。
顔だってなかなかいけてるし、女子がほっとかないんじゃないか?
そう思いながら、まじまじと諒太を見ていると、
それに気が付いたのか涼太は俺をじっと見つめ、それから思いっきり吹き出した。

「な!なんだよ!!」

「いや、何て言うか、そりゃ毎晩会ってるから久しぶりって感じじゃないけどさ。
でも久しぶりのリアルの姿を改めてみるとさあ、お前あっちとイメージが合いすぎ!」

「そんな訳無いだろ!
あっちのアバター、思いっ切り変えたつもりだぞ。
お前だって、暫く俺に気が付かなかったじゃないか。
それに、俺だってお前に会うって分かってたら、あのアバターにしなかったよ!
でもあのキャラでレベル大分上げてるから、変えるの惜しいし、キャラ変更するのも金欠だから無理!」

「変えるなよ。
お前を気に入ってる奴けっこういるんだから。」

かわいいのは、リアルもゲームも変わらないけどなって聞こえた気がしたけど、空耳だったとしておこう。
心が折れるから。

そう、俺たちが遊んでいるVRMMORPG
(バーチャルリアリティー大規模多人数同時参加型オンラインRPGゲーム)
そのゲームの中でも、世界的規模でトップクラスに君臨している“久遠の大陸”を、
涼太はここで14歳の時にサリューという名のアバターで始め、
俺は東京で同じく14歳の頃から紗月として始めた。
俺が始めてから半年ほどして偶然にゲーム内で知り会い,
馬が合ってフレンド登録し、
時々一緒に行動したり、共闘したりして遊んでいた。
そして話をしている内に、お互いの話の内容が、妙噛合う。

「三上郡?」

「ああ、三上郡。」

「俺も三上郡に住んでいた事あるよ。」

そうか、同じ地域に住んでいたんだ…。

そしてある日も、

「桜郷小?もしかして金辺の?」

「ああ、知ってるのか?」

「俺もそこ通っていた事がある。」

「スゲ―偶然。なあなあ、お前は何年卒業?」

「俺、途中で転校したから。」

「……そっか。」

そして、またある日、

「何と、驚きの同い年って。それは無しだろ。お前のそのアバターだと、全然同い年に見えないぞ。」

「別にいいだろ。
アバターってのは本人の好き好きなんだからな。
それにお前だって同じ年に見えないぞ。随分年を盛ってないか?」

「まあ、な。」

そう、俺たちはその時16歳になったばかりだったんだ。

「キャラ自体が好きだったから、試しに設定したんだよ、
そしたら条件の相性が良かったのか、結構強い奴が出来ちゃって、変更するには惜しくなってさ。」

「で、そのままレベルが上げたってわけか、見かけによらずけっこう強いもんなお前。」

「サンキュ。」

「て、同い年で桜郷小って、もしかして俺達会ってるかも?」

「あっ?」

「……改めて、俺サリュー。本名小手川涼太。よろしく。」

そう言ってサリューは右手を差し出した。

俺はその手をそっと握り、サリューの顔を見つめニヤッと笑った。

「久しぶり!紗月やってる鳳皐月だよ。」

そう言って掴んだ右手をぶんぶん振り回した。

「な、何だって。鳳って、皐月って。お前、鳳さんちの皐月か!?」

「おお、今更だが、懐かしいなあ。」

「なぁんだ~~。」

知らなかったとはいえ物凄い偶然だった。
俺たちは、幼稚園の頃からの幼馴染で、ずっと一緒に遊んでいたんだ。
でも、俺が小学校3年生の時、東京に引っ越しが決まって、
その時は離れたく無いと言って、抱き合って大泣きしたほどだ。
転校した後も帰省する度に、機会が有れば会いに行ったけど、
それもだんだん少なくなり、疎遠になっていった。

そんなこんなで、お互いのリアルでの素性が判明してからは、
前にも増して、ゲーム内で遊ぶようになった。
遠く離れていても毎日ガッツリ遊べるって、考えてみると凄いよな。
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