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ジークフリード偏
俺の結婚
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何がどうしてこうなったんだ?
運命の番の話は聞いたことはある。
世界中に一人だけ、自分の為の人がいると言う、あの伝説だろう?
自分に完璧に合う相手はただ一人だけっていうあれだろう?
でもこの世界に、どれほどの人間がいると思っているんだ?
この広い世界で、たった一人の人間に会うなんて、一体どれほどの確率だと思っているんだ。
そんな人に巡り合えるわけないじゃないか。
それが俺だって?
ありえね———。
だって、宝くじに当たるより、確率低いんだよ。
それが、よりにもよって、相手はあのランセル家の切れ者で有名なジークフリードさんだって。
俺でも知っている超有名人だよ。
絶対有り得ないわー。
確かにジークフリードさんに会った時、俺はどう考えてもおかしくなった。
それは認める。
彼の事しか考えられなくなって、何をされても許せる。
いや、もっとしてほしいとまで思ってしまったんだ。
今思うと、ジークフリードさんのあそこ、反応していたよな。
それって、俺に対してなのかなぁ。
それとも他に理由が有ったのかなぁ、
俺に会う直前にきれいなお姉さんを見たとか。
でも、俺は正気を取り戻した。
そう、正気だ。
だって、有り得ないだろう。
100歩譲って、俺とジークフリードさんが、そのお伽噺の主人公だとしても、
俺はまだ17歳の学生だよ。
結婚なんてあり得ないだろう。
て、そういえば、俺はあのくそ親父と結婚する予定だったんだ。
うーん、出来れば結婚は、まだしたくないなぁ。
せっかく自由の身の上になったんだ。
その勝ち取った自由をもう少しを満喫したい。
だが、その俺の願いも、1月半後には空しく崩れ去っていくのだった。
今日、18歳の誕生日を迎えた俺は、平日なのに午前中からジークフリードさんに迎えに来られ、家族に別れを告げなければならない状況に陥っていた。
父さんはこれから新しい就職先に行くことになっていて、母さんは新しい引っ越し先に業者を案内した後、弟達が明日から通う私立の学校に皆で行く事になっていると言う。
ゆっくり別れの挨拶をしている暇もないほどだ。
「では、父上、母上、アルヴィンをいただいてまいります。必ず、何が有ろうと、私の命に代えても幸せにします。ご安心下さい。」
「はいジークフリード様。アルヴィンの事、何卒よろしくお願いいたします。」
「お任せください。
では、皆さまも時間が無い事と思います。
それぞれ車を用意しましたので、お使いください。」
「何から何まで、ありがとうございます。」
そう言って父さんと母さんは深々と頭を下げた。
すると、一番下の弟が、服の裾をギュッと掴み俺をじっと見上げた。
「ねえ、兄ちゃんは僕たちと一緒に引っ越さないの?もう会えないの?」
俺は跪き、クリストファを抱きしめた。
「俺は違う家に引っ越すけど、もう会えないなんてことは無いよ。またすぐ会える。会いに行くよ。」
そう言うと“よかった”と満面の笑顔を返してくれた。
チクショウッ、寂しいよ。
やっぱりやめようかな、結婚。
すると、俺の両脇に手が差し込まれ、ふっと持ち上げられた。
「さて、今日は忙しくなる。アルヴィンそろそろ行かなくては。」
そりゃ、俺は小柄ですけど、こんな子供みたいなマネしなくてもいいと思いますよ、
ジークフリードさん。
俺はこぼれそうになる涙をぐっと我慢し、皆に手を振った。
たとえΩだろうが、長男だ。
これ位のプライドは持たなければ。
ふと頭に大きな手の平が添えられた。
見上げるとジークフリードさんが、優しい目で俺を見下ろしていた。
「アルヴィンは優しくて、可愛くて、健気だ。」
なっ、何ですか、いきなり。
どうも、ジークフリードさんの目には、俺を見る時、特別なフィルターが掛かるような気がする。
俺に向けられる言葉が、どう考えてもおかしい。
綺麗だ
優しい
可愛い
無口で控えめ
健気
「俺は普通の事をやっているだけです。
それにこの顔のどこが綺麗なんですか?可愛いですか!?」
「ずいぶん謙虚なんだな。」
………もういいです。
「とにかく、今日は忙しいのでしょう?
僕達も急いだ方がいいのでは?」
「そうだね。そろそろ出かけようか。」
そして俺は、18年間生まれ育ったアパートを後にした。
ジークフリードさんの運転する車の助手席に座り、ちらちらと彼を盗み見る。
確かに俺は、ジークフリードさんの運命の番らしい。
彼は根気よく、俺を諭すように、何度も説明してくれた。
確かにジークフリードさんの傍にいると、俺はおかしくなる。
ただこの人の事しか考えられないような状態になってしまうんだ。
他のものは何もいらない。
たとえおなかが空いても、食べ物の事すら頭が回らないほどだ。
「今日は忙しいって、俺は何をすればいいんですか?」
あぁ、もうすでに俺は彼の言葉を待ち望んでいる。
「私の望みはただ一つ。君が今日から私の妻になってくれることだ。」
「はい。それはすでに決心がつきました。
その為に、俺は一体何を……。」
「そうだね、これから向かう役所で、
君が既にサインしてくれた書類を二人で提出して、晴れて正式に夫婦となろう。
それから新居へ帰り、後は夫婦水入らずでゆっくり過ごすんだ。」
それはどう見ても、忙しそうに思えません。
でもとても魅力的な申し出ですね。
やがて、一連の作業をこなし、俺はジークフリードさんと一緒に新しい家の前に着いた。
白亜の豪邸とまではいわないが、大きくて立派なお屋敷であることに間違いはない。
「急だったからね、あまりいい物件を押さえることが出来なかった。
取り合えずここに暮らしながら、どこかいい屋敷を探そう。
それとも新しく家を建てた方がいいかな。
アルヴィンはどちらがいい?」
恐れ多くて、返事など出来ません。
「相変わらず、物静かで謙虚なんだな。
出来ればもう少しわがままを言ってほしいな。」
「あの…、ジークフリードさん。」
「なんだい?」
「その…、ジークフリードさんは、俺の事かなり勘違いしていると思います。」
「さんはいらないよ。」
「はい?」
「もう夫婦になったんだからね、そんな他人行儀な呼び方をされると悲しいな。
ジークフリードと、もしくはジークと呼んでくれないかい?」
「そ、そんな事出来ません。
俺とは住む世界が違う人を呼び捨てにするなんて。」
「アルヴィンは今日から私の妻だよね。」
「え…、あの……、そ…うです。」
「だったら住む世界が違うなんて言わないでくれ。」
「でも…、事実だから。
俺はΩだし、しがないサラリーマンの息子だし、
此処にこうやってジークフリードさんと一緒にいるってこと自体、いまだに信じられないし……。」
「………そう、だったらちゃんと信じる迄、アルヴィンが私の妻だと言う事を、その身に教えてあげなくてはね。」
ジークフリードさんは、そう言うと俺の体を抱き上げ、屋敷の奥へと足早に歩きだした。
やがて一つの扉の前で立ち止まり、それを開くと、案の定俺ドンとベッドが鎮座した部屋だった。
ここって多分、ジークフリードさんと俺の寝室……だよな。
一応覚悟はしていたけれど、こうも現実を突きつけられると、どう反応していいのか分からない。
今すぐここから飛び出して逃げたいとも思うけど、
ジークフリードさんの、その目を見ているだけで、抗いきれない何かが俺の中からドロドロと零れてくるようだ。
そっとベッドに降ろされ、いきなり貪り食い尽くされそうな勢いでキスをされた。
窓からは、まだ午前の太陽がさんさんと射している。
「や…だ……。」
明るくて恥ずかしすぎる。
「ここまで来て、私を拒否しないでくれ。」
いえ、違います。
俺だってそれなりの年齢だし、結婚すれば、夫婦は何をするのかは十分知っている。
まさかこんなにすぐに始めるとは思っていなかったけど、
俺だって、ジークフリードさんの事を考えると、大事なところがジンジンと堪らなくなるんだ。
拒否はしないよ。
ただ、明るすぎて、初めての俺には恥ずかしすぎるんだってば。
それを伝えたかったんだけど、さすがに経験のない俺とって、その事を口に出すのが恥ずかしい。
ハードルが高すぎる。
言葉にできないなら、何とかカーテンを閉めようと、目いっぱい手を伸ばしたけれど、
どうやら俺が、逃げようとしていると勘違いされてしまったみたいだ。
「ダメだよ。絶対に逃がさない。
アルヴィンは私の事が嫌いなのかい?
夫婦になった事を後悔してる?」
してません!
絶対してません!
俺の方こそ、いつ愛想をつかされるか不安でいっぱいです。
「私はアルヴィンを一生離さないよ。どんな手を使ってもね。」
「離さないでください。ずっとジークフリードさんのもので居させて下さい。」
「本心からそう思っている?」
「はい。……俺はあなたのものです。」
えーい、もう開き直ってやる。
「可愛いアルヴィン。私のアルヴィン。君の願いだったらどんな事も叶えてあげたい。
君はもっとわがままを言ってもいいんだよ。」
「本当ですか?」
「あぁ、アルヴィン、私の宝物。
私にとって一番大切なものは君だ。
私にできる事だったら、何でも叶えてあげたい。」
「だったら、一つお願いが有ります。」
「なんでも言ってごらん?」
「あまりにも明るすぎて、恥ずかしいです。
カーテンを閉めて、暗くしていただけませんか?」
ずいぶん豪華なカーテンが掛かっているから、閉めればほとんど光は入らないはずだ。
「お願いします、ジークフリードさん。」
俺は必死になって訴えた。
俺の願いだったら、何でも聞いてくれるって言ってくれたんだ。
きっとカーテンぐらい閉めてくれる。
そう思ったけれど、
「……却下…だな。
理由は二つ。
一つ目は私の呼び方へのペナルティーだ。
ジークフリードと呼んでくれと言っただろう?」
そんな、約束が違います。
俺の願いは、なんでも叶えてくれつって言ったじゃないか。
と言うか、話をそらされているような気がする…。
「二つ目、
初めての時は、君の姿をはっきりと目に焼き付けながらしたい。」
……、それって絶対閉める気有りませんよね。
よし!実力行使だ。
そう思い、ベッドから飛び出し、カーテンを閉めようとしたけれど、易々と捕まってしまいました。
そのまま、次の日の朝日が昇るまで、貪りつくされたのは言うまでも有りません。
くそ——っ。体力バカの優男。
俺も絶対筋肉付けてやる——————。
運命の番の話は聞いたことはある。
世界中に一人だけ、自分の為の人がいると言う、あの伝説だろう?
自分に完璧に合う相手はただ一人だけっていうあれだろう?
でもこの世界に、どれほどの人間がいると思っているんだ?
この広い世界で、たった一人の人間に会うなんて、一体どれほどの確率だと思っているんだ。
そんな人に巡り合えるわけないじゃないか。
それが俺だって?
ありえね———。
だって、宝くじに当たるより、確率低いんだよ。
それが、よりにもよって、相手はあのランセル家の切れ者で有名なジークフリードさんだって。
俺でも知っている超有名人だよ。
絶対有り得ないわー。
確かにジークフリードさんに会った時、俺はどう考えてもおかしくなった。
それは認める。
彼の事しか考えられなくなって、何をされても許せる。
いや、もっとしてほしいとまで思ってしまったんだ。
今思うと、ジークフリードさんのあそこ、反応していたよな。
それって、俺に対してなのかなぁ。
それとも他に理由が有ったのかなぁ、
俺に会う直前にきれいなお姉さんを見たとか。
でも、俺は正気を取り戻した。
そう、正気だ。
だって、有り得ないだろう。
100歩譲って、俺とジークフリードさんが、そのお伽噺の主人公だとしても、
俺はまだ17歳の学生だよ。
結婚なんてあり得ないだろう。
て、そういえば、俺はあのくそ親父と結婚する予定だったんだ。
うーん、出来れば結婚は、まだしたくないなぁ。
せっかく自由の身の上になったんだ。
その勝ち取った自由をもう少しを満喫したい。
だが、その俺の願いも、1月半後には空しく崩れ去っていくのだった。
今日、18歳の誕生日を迎えた俺は、平日なのに午前中からジークフリードさんに迎えに来られ、家族に別れを告げなければならない状況に陥っていた。
父さんはこれから新しい就職先に行くことになっていて、母さんは新しい引っ越し先に業者を案内した後、弟達が明日から通う私立の学校に皆で行く事になっていると言う。
ゆっくり別れの挨拶をしている暇もないほどだ。
「では、父上、母上、アルヴィンをいただいてまいります。必ず、何が有ろうと、私の命に代えても幸せにします。ご安心下さい。」
「はいジークフリード様。アルヴィンの事、何卒よろしくお願いいたします。」
「お任せください。
では、皆さまも時間が無い事と思います。
それぞれ車を用意しましたので、お使いください。」
「何から何まで、ありがとうございます。」
そう言って父さんと母さんは深々と頭を下げた。
すると、一番下の弟が、服の裾をギュッと掴み俺をじっと見上げた。
「ねえ、兄ちゃんは僕たちと一緒に引っ越さないの?もう会えないの?」
俺は跪き、クリストファを抱きしめた。
「俺は違う家に引っ越すけど、もう会えないなんてことは無いよ。またすぐ会える。会いに行くよ。」
そう言うと“よかった”と満面の笑顔を返してくれた。
チクショウッ、寂しいよ。
やっぱりやめようかな、結婚。
すると、俺の両脇に手が差し込まれ、ふっと持ち上げられた。
「さて、今日は忙しくなる。アルヴィンそろそろ行かなくては。」
そりゃ、俺は小柄ですけど、こんな子供みたいなマネしなくてもいいと思いますよ、
ジークフリードさん。
俺はこぼれそうになる涙をぐっと我慢し、皆に手を振った。
たとえΩだろうが、長男だ。
これ位のプライドは持たなければ。
ふと頭に大きな手の平が添えられた。
見上げるとジークフリードさんが、優しい目で俺を見下ろしていた。
「アルヴィンは優しくて、可愛くて、健気だ。」
なっ、何ですか、いきなり。
どうも、ジークフリードさんの目には、俺を見る時、特別なフィルターが掛かるような気がする。
俺に向けられる言葉が、どう考えてもおかしい。
綺麗だ
優しい
可愛い
無口で控えめ
健気
「俺は普通の事をやっているだけです。
それにこの顔のどこが綺麗なんですか?可愛いですか!?」
「ずいぶん謙虚なんだな。」
………もういいです。
「とにかく、今日は忙しいのでしょう?
僕達も急いだ方がいいのでは?」
「そうだね。そろそろ出かけようか。」
そして俺は、18年間生まれ育ったアパートを後にした。
ジークフリードさんの運転する車の助手席に座り、ちらちらと彼を盗み見る。
確かに俺は、ジークフリードさんの運命の番らしい。
彼は根気よく、俺を諭すように、何度も説明してくれた。
確かにジークフリードさんの傍にいると、俺はおかしくなる。
ただこの人の事しか考えられないような状態になってしまうんだ。
他のものは何もいらない。
たとえおなかが空いても、食べ物の事すら頭が回らないほどだ。
「今日は忙しいって、俺は何をすればいいんですか?」
あぁ、もうすでに俺は彼の言葉を待ち望んでいる。
「私の望みはただ一つ。君が今日から私の妻になってくれることだ。」
「はい。それはすでに決心がつきました。
その為に、俺は一体何を……。」
「そうだね、これから向かう役所で、
君が既にサインしてくれた書類を二人で提出して、晴れて正式に夫婦となろう。
それから新居へ帰り、後は夫婦水入らずでゆっくり過ごすんだ。」
それはどう見ても、忙しそうに思えません。
でもとても魅力的な申し出ですね。
やがて、一連の作業をこなし、俺はジークフリードさんと一緒に新しい家の前に着いた。
白亜の豪邸とまではいわないが、大きくて立派なお屋敷であることに間違いはない。
「急だったからね、あまりいい物件を押さえることが出来なかった。
取り合えずここに暮らしながら、どこかいい屋敷を探そう。
それとも新しく家を建てた方がいいかな。
アルヴィンはどちらがいい?」
恐れ多くて、返事など出来ません。
「相変わらず、物静かで謙虚なんだな。
出来ればもう少しわがままを言ってほしいな。」
「あの…、ジークフリードさん。」
「なんだい?」
「その…、ジークフリードさんは、俺の事かなり勘違いしていると思います。」
「さんはいらないよ。」
「はい?」
「もう夫婦になったんだからね、そんな他人行儀な呼び方をされると悲しいな。
ジークフリードと、もしくはジークと呼んでくれないかい?」
「そ、そんな事出来ません。
俺とは住む世界が違う人を呼び捨てにするなんて。」
「アルヴィンは今日から私の妻だよね。」
「え…、あの……、そ…うです。」
「だったら住む世界が違うなんて言わないでくれ。」
「でも…、事実だから。
俺はΩだし、しがないサラリーマンの息子だし、
此処にこうやってジークフリードさんと一緒にいるってこと自体、いまだに信じられないし……。」
「………そう、だったらちゃんと信じる迄、アルヴィンが私の妻だと言う事を、その身に教えてあげなくてはね。」
ジークフリードさんは、そう言うと俺の体を抱き上げ、屋敷の奥へと足早に歩きだした。
やがて一つの扉の前で立ち止まり、それを開くと、案の定俺ドンとベッドが鎮座した部屋だった。
ここって多分、ジークフリードさんと俺の寝室……だよな。
一応覚悟はしていたけれど、こうも現実を突きつけられると、どう反応していいのか分からない。
今すぐここから飛び出して逃げたいとも思うけど、
ジークフリードさんの、その目を見ているだけで、抗いきれない何かが俺の中からドロドロと零れてくるようだ。
そっとベッドに降ろされ、いきなり貪り食い尽くされそうな勢いでキスをされた。
窓からは、まだ午前の太陽がさんさんと射している。
「や…だ……。」
明るくて恥ずかしすぎる。
「ここまで来て、私を拒否しないでくれ。」
いえ、違います。
俺だってそれなりの年齢だし、結婚すれば、夫婦は何をするのかは十分知っている。
まさかこんなにすぐに始めるとは思っていなかったけど、
俺だって、ジークフリードさんの事を考えると、大事なところがジンジンと堪らなくなるんだ。
拒否はしないよ。
ただ、明るすぎて、初めての俺には恥ずかしすぎるんだってば。
それを伝えたかったんだけど、さすがに経験のない俺とって、その事を口に出すのが恥ずかしい。
ハードルが高すぎる。
言葉にできないなら、何とかカーテンを閉めようと、目いっぱい手を伸ばしたけれど、
どうやら俺が、逃げようとしていると勘違いされてしまったみたいだ。
「ダメだよ。絶対に逃がさない。
アルヴィンは私の事が嫌いなのかい?
夫婦になった事を後悔してる?」
してません!
絶対してません!
俺の方こそ、いつ愛想をつかされるか不安でいっぱいです。
「私はアルヴィンを一生離さないよ。どんな手を使ってもね。」
「離さないでください。ずっとジークフリードさんのもので居させて下さい。」
「本心からそう思っている?」
「はい。……俺はあなたのものです。」
えーい、もう開き直ってやる。
「可愛いアルヴィン。私のアルヴィン。君の願いだったらどんな事も叶えてあげたい。
君はもっとわがままを言ってもいいんだよ。」
「本当ですか?」
「あぁ、アルヴィン、私の宝物。
私にとって一番大切なものは君だ。
私にできる事だったら、何でも叶えてあげたい。」
「だったら、一つお願いが有ります。」
「なんでも言ってごらん?」
「あまりにも明るすぎて、恥ずかしいです。
カーテンを閉めて、暗くしていただけませんか?」
ずいぶん豪華なカーテンが掛かっているから、閉めればほとんど光は入らないはずだ。
「お願いします、ジークフリードさん。」
俺は必死になって訴えた。
俺の願いだったら、何でも聞いてくれるって言ってくれたんだ。
きっとカーテンぐらい閉めてくれる。
そう思ったけれど、
「……却下…だな。
理由は二つ。
一つ目は私の呼び方へのペナルティーだ。
ジークフリードと呼んでくれと言っただろう?」
そんな、約束が違います。
俺の願いは、なんでも叶えてくれつって言ったじゃないか。
と言うか、話をそらされているような気がする…。
「二つ目、
初めての時は、君の姿をはっきりと目に焼き付けながらしたい。」
……、それって絶対閉める気有りませんよね。
よし!実力行使だ。
そう思い、ベッドから飛び出し、カーテンを閉めようとしたけれど、易々と捕まってしまいました。
そのまま、次の日の朝日が昇るまで、貪りつくされたのは言うまでも有りません。
くそ——っ。体力バカの優男。
俺も絶対筋肉付けてやる——————。
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