【完結】無関心アルファと偽りの番関係を結んだら、抱かれないうちに壊れ始めました

紬木莉音

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番外編⑹クリスマスデート

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 煌びやかに彩られた街路樹の下を歩く。何度も歩いたことのある道のはずなのに、それだけで気分が高揚する。

「どんな感じ?」
「いやー、なんか光ってんなって」
「ふは、なにそれ。全然色気ねえな」

 隣で藤城に笑われて、確かに、と未紘もつられて笑った。イルミネーションを見たって感動をするような年齢ではない。
 それでもいつもはただの景色の一つだったそれが、藤城が隣にいるだけで、なんとなく特別なもののような気がしてしまう。

「近い」
「我慢して」
「歩きにくいんだよばか」

 さっきからやたらと肩を寄せてくる藤城に文句を垂れるが、取り合ってくれる気はないらしい。
 自分より背の高い藤城が未紘の歩行を妨害するかのように横からもたれかかってくるので、未紘はとうとう前に進むことを諦めた。

「藤城さあ、イルミネーションみてる?」
「おまえしかみてない」
「だろうな」

 ちょっかいばかり掛けられるのでそんなことだろうと思ってはいたが、予想通りの返答に呆れてしまった。

「てかせっかくきたんだし、記念に写真でも撮ろうよ」 

 藤城はそう言うと、未紘の手を握っているのとは反対側の手でスマホを取り出した。

「……マジか。藤城の口からそんな言葉が出てくるとは」
「だよね、俺も自分でびっくりしてる」

 苦笑しながら、藤城が目の前にカメラを掲げた。画面には二人の姿と、背後にある金色に彩られた街路樹が映し出されている。

「こんな感じ?」
「え、これポーズの指定とかある?」
「ないよ」

 未紘の質問がおかしかったのか、藤城が肩を震わせて笑う。突然のことに動揺した未紘は、棒立ちのまま目に力を入れてカメラのレンズをじっと見つめた。

「ねえおまえの顔……っはは、全然楽しそうじゃないんだけど」
「カメラ苦手なんだよ。どんな顔していいかわかんねえ」
「だからって威嚇すんなよ。ホラーだろこれ」
「あーもう、笑うな……!」

 画面に映し出されていたのは、こちらを睨み付けている治安の悪い自分の顔だった。恥ずかしくなって写真を消すように頼んだが、おそらくその要望は叶えてはもらえないのだろう。
 藤城はもう一度カメラアプリを起動して、スマホを目の前に掲げた。繋がれている手が、藤城の方にぐっと引き寄せられる。

「ほらもっとくっついて」
「うわっ……!

 勢い余って藤城の肩に顎を乗せるような体勢になってしまった。
 カメラ見て、と言われて大人しくその通りにすると、カシャッとシャッターが切られる。

「……うん、可愛い。よくできました」

 撮影された写真を眺めた藤城は、満足そうな様子で未紘の頭を撫でてきた。
 さっきよりも自然な表情の自分が、優しげに微笑む藤城のそばに寄り添っているその写真は、確かに上手に撮れている。
 まるでいつもの日常を切り取ったみたいだ。
 あとでそれ送って、と声を掛ければ、藤城は嬉しそうに頷いてくれた。


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