2 / 13
身体測定をしよう
しおりを挟む
「それで、お主は誰じゃ?」
「……はい?」
一瞬だけ意識が飛んでいたんだろうか。言われたことがちょっと理解できない。魂召喚の儀式とやらで俺を呼んだのは爺さんじゃなかったのか。……あぁ、それで孫娘の魂を召喚できずに失敗したんだったか。
「わずかでも可能性にかけてアフィーの魂が召喚できればと思っとったが、一番確率が高いのが死んだばかりの者の魂じゃからの。まぁいきなり暴れたりする人物じゃなくてよかったわい」
「えーと、俺はその……、名前は田中拓哉。日本という国出身の、男です」
「……は?」
こんなに簡単に……かどうかは見てないのでわからんが、魂の召喚とやらをやってしまう爺さんがいる世界だ。きっと俺以外にも異世界召喚された人物がいることだろう。テンプレだと隠しておいたほうがいいとかあるが、召喚者本人にそうそう隠せるもんでもないだろう。
「いやだから、日本出身の――」
「そこはどうでもいいわい。……男、じゃと?」
「はい。男です」
どうでもいいんかいと心の中でツッコミつつ、男だと聞かれて頷き返す。
爺さんが『男……』とブツブツ呟きながらプルプルと震え、おもむろに俺を指さすと。
「男……じゃと!? 今すぐアフィーから出ていけ!」
口から泡を飛ばしながら叫びだした。
「はぁっ!?」
いきなり出ていけと言われてはいそうですかとなるわけがない。というか出て行く方法なんて知らないし。そもそも――
「じゃあ魂の召喚なんぞするんじゃねえよ!」
「うぐっ……!」
俺のツッコミに見事言葉に詰まるハワード爺さん。孫娘にどこの誰とも知らん男が入り込んだなんぞなんとも嫌な感じしかしないが、それは自業自得というやつだろう。
「ま、まぁ、予想していなかったわけでもないからのぅ……」
明後日の方向へ視線を逸らすと、あっさりとさっきまでの怒りが嘘のように影を潜めた。そこまで孫娘に傾倒していたというわけでもないのか。何が何でも孫娘を復活させたいというより、あくまでも技術者としてホムンクルスを作ったというところか?
「それに、普通にホムンクルスを造ったところでつまらんではないか」
「……どういうこと?」
普通のホムンクルスと俺の魂が入り込んだホムンクルスは違うのか。
「一般的なホムンクルスはお主のように意思疎通はできんからの。こっちの言っていることは理解しているようじゃが……」
しゃべらないからこそ魔術の詠唱もできず、魔術領域に焼き込んだ魔術しか使えないとか。
「……魔術うんぬんはよくわからんが、普通じゃないことはわかった」
なんかもう一回盛大にツッコんだからか、敬語を使う気も失せたな。
にしても魔術か……。仕事が忙しくて最近手を出してなかったけど、ラノベはよく読んだ身としてはちょっと期待してしまう。最初は爺さんのサイコパス具合にドン引きだったけど、それはそれこれはこれというもんだ。
「魔術がよくわからんとはどこの田舎の出なんじゃい。使える素養は誰でも持っとるから、平民でも使える人間はいるわい」
「そうなのか」
出身国は伝えたと思ったけど聞いてなかったのか。それならそれでいいか……。
「とはいえじゃ。ここで生まれたホムンクルスとしての仕事はしてもらうぞ」
「えっ……」
そりゃそうだよな。仕事しないと食べていけないもんな。いきなり誰もいない森の中で目を覚ますとかいうパターンに比べればマシというもんだ。……たぶん。ラノベの中じゃなんだかんだ言いつつもしっかり生活できてたりするが、あれはラノベだからだ。現実で異世界転移とかやって、生き残れるとは思えない。
「何をすればいいんでしょう」
思わずちょっとだけ丁寧な言葉遣いに戻ってしまう。
「ふむ……。ホムンクルスを雇うと金がかかるからのぅ。平民は知らずともしょうがない。しかしまぁそれはおいおいだのぅ。まずは使えるように訓練するから励むように」
「……はい?」
ちょっと待っとれと一言告げると、ハワードはそのまま部屋を出て行った。てっきり説明してくれるのかと思ったらとんだ肩透かしだ。しかし雇うってなんだろう。傭兵みたいなもんなのかな。
「はぁ……」
まったく、とんでもないところに来てしまった。あのままブラック会社で終わるとも知れないプログラムを組み続けることを思えば、抜け出せてよかったと思わないでもないが。親孝行ができなくなったのが心残りではあるが、こうなってしまったからにはしょうがない。
「待たせたの」
感傷に浸ろうと思ったところでハワードが帰ってきた。なんかでっかい犬を連れて。
「な……、なんですかそれ……」
俺自身、足のつかない台の上に座っているわけだが、それでも見上げないと犬の顔が見えない。下手すると体高二メートルくらいあるんじゃなかろうか。漆黒の毛並みは見事としか言いようがなく、その赤い瞳は俺にまっすぐ向けられていてちょっと怖い。
「ウルフタイプのホムンクルスじゃ。まずはお主――アフィーの身体能力を測ってみんといかんからの」
そう言ってニヤリと笑うハワードに、嫌な予感が膨らんだ。
「……はい?」
一瞬だけ意識が飛んでいたんだろうか。言われたことがちょっと理解できない。魂召喚の儀式とやらで俺を呼んだのは爺さんじゃなかったのか。……あぁ、それで孫娘の魂を召喚できずに失敗したんだったか。
「わずかでも可能性にかけてアフィーの魂が召喚できればと思っとったが、一番確率が高いのが死んだばかりの者の魂じゃからの。まぁいきなり暴れたりする人物じゃなくてよかったわい」
「えーと、俺はその……、名前は田中拓哉。日本という国出身の、男です」
「……は?」
こんなに簡単に……かどうかは見てないのでわからんが、魂の召喚とやらをやってしまう爺さんがいる世界だ。きっと俺以外にも異世界召喚された人物がいることだろう。テンプレだと隠しておいたほうがいいとかあるが、召喚者本人にそうそう隠せるもんでもないだろう。
「いやだから、日本出身の――」
「そこはどうでもいいわい。……男、じゃと?」
「はい。男です」
どうでもいいんかいと心の中でツッコミつつ、男だと聞かれて頷き返す。
爺さんが『男……』とブツブツ呟きながらプルプルと震え、おもむろに俺を指さすと。
「男……じゃと!? 今すぐアフィーから出ていけ!」
口から泡を飛ばしながら叫びだした。
「はぁっ!?」
いきなり出ていけと言われてはいそうですかとなるわけがない。というか出て行く方法なんて知らないし。そもそも――
「じゃあ魂の召喚なんぞするんじゃねえよ!」
「うぐっ……!」
俺のツッコミに見事言葉に詰まるハワード爺さん。孫娘にどこの誰とも知らん男が入り込んだなんぞなんとも嫌な感じしかしないが、それは自業自得というやつだろう。
「ま、まぁ、予想していなかったわけでもないからのぅ……」
明後日の方向へ視線を逸らすと、あっさりとさっきまでの怒りが嘘のように影を潜めた。そこまで孫娘に傾倒していたというわけでもないのか。何が何でも孫娘を復活させたいというより、あくまでも技術者としてホムンクルスを作ったというところか?
「それに、普通にホムンクルスを造ったところでつまらんではないか」
「……どういうこと?」
普通のホムンクルスと俺の魂が入り込んだホムンクルスは違うのか。
「一般的なホムンクルスはお主のように意思疎通はできんからの。こっちの言っていることは理解しているようじゃが……」
しゃべらないからこそ魔術の詠唱もできず、魔術領域に焼き込んだ魔術しか使えないとか。
「……魔術うんぬんはよくわからんが、普通じゃないことはわかった」
なんかもう一回盛大にツッコんだからか、敬語を使う気も失せたな。
にしても魔術か……。仕事が忙しくて最近手を出してなかったけど、ラノベはよく読んだ身としてはちょっと期待してしまう。最初は爺さんのサイコパス具合にドン引きだったけど、それはそれこれはこれというもんだ。
「魔術がよくわからんとはどこの田舎の出なんじゃい。使える素養は誰でも持っとるから、平民でも使える人間はいるわい」
「そうなのか」
出身国は伝えたと思ったけど聞いてなかったのか。それならそれでいいか……。
「とはいえじゃ。ここで生まれたホムンクルスとしての仕事はしてもらうぞ」
「えっ……」
そりゃそうだよな。仕事しないと食べていけないもんな。いきなり誰もいない森の中で目を覚ますとかいうパターンに比べればマシというもんだ。……たぶん。ラノベの中じゃなんだかんだ言いつつもしっかり生活できてたりするが、あれはラノベだからだ。現実で異世界転移とかやって、生き残れるとは思えない。
「何をすればいいんでしょう」
思わずちょっとだけ丁寧な言葉遣いに戻ってしまう。
「ふむ……。ホムンクルスを雇うと金がかかるからのぅ。平民は知らずともしょうがない。しかしまぁそれはおいおいだのぅ。まずは使えるように訓練するから励むように」
「……はい?」
ちょっと待っとれと一言告げると、ハワードはそのまま部屋を出て行った。てっきり説明してくれるのかと思ったらとんだ肩透かしだ。しかし雇うってなんだろう。傭兵みたいなもんなのかな。
「はぁ……」
まったく、とんでもないところに来てしまった。あのままブラック会社で終わるとも知れないプログラムを組み続けることを思えば、抜け出せてよかったと思わないでもないが。親孝行ができなくなったのが心残りではあるが、こうなってしまったからにはしょうがない。
「待たせたの」
感傷に浸ろうと思ったところでハワードが帰ってきた。なんかでっかい犬を連れて。
「な……、なんですかそれ……」
俺自身、足のつかない台の上に座っているわけだが、それでも見上げないと犬の顔が見えない。下手すると体高二メートルくらいあるんじゃなかろうか。漆黒の毛並みは見事としか言いようがなく、その赤い瞳は俺にまっすぐ向けられていてちょっと怖い。
「ウルフタイプのホムンクルスじゃ。まずはお主――アフィーの身体能力を測ってみんといかんからの」
そう言ってニヤリと笑うハワードに、嫌な予感が膨らんだ。
0
あなたにおすすめの小説
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
転生幼女の攻略法〜最強チートの異世界日記〜
みおな
ファンタジー
私の名前は、瀬尾あかり。
37歳、日本人。性別、女。職業は一般事務員。容姿は10人並み。趣味は、物語を書くこと。
そう!私は、今流行りのラノベをスマホで書くことを趣味にしている、ごくごく普通のOLである。
今日も、いつも通りに仕事を終え、いつも通りに帰りにスーパーで惣菜を買って、いつも通りに1人で食事をする予定だった。
それなのに、どうして私は道路に倒れているんだろう?後ろからぶつかってきた男に刺されたと気付いたのは、もう意識がなくなる寸前だった。
そして、目覚めた時ー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる