本からはじまる異世界旅行記

m-kawa

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第二章

物語1 -特別な力-

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「おお、さすが勇者殿だ。素晴らしい!」

 明が手を乗せた石板には多数のスキルが羅列されているようだ。確か一般人では二つ三つほどらしいんだっけか? うろ覚えの記憶だが、だいたいこの手の小説での平均値は一つとか二つが多いし。
 後ろからのぞき込むと、確かに多数のスキルが記載されていた。――日本語で。
 やっぱりこの小説の中も、日本で書かれた物語だからということだろうか。過去に入り込んだゲーム内世界の言語もすべて日本語だったので、特に驚きはない。

 まあ、そのスキルを上から順に見ていくとしよう。

 ――――――――――――――――――
 【剣術】
 【短剣術】
 【槍術】
 【格闘術】
 【投擲術】
 【火魔法】
 【光魔法】
 【癒魔法】
 【補助魔法】
 ――――――――――――――――――

 どうやら石板にはステータスのようなものは表示されず、触れた人物のスキルのみ表示されるようだ。
 表示されたスキルの数を見ても確かに多いのだが、自分のステータスを表示したときにあるスキルとはまた違うようだ。
 自分で発動することのできる必殺技みたいなものと、いわゆる才能といった違いなのだろうか。

 そういえば深く考えていなかったが、スキル欄と特殊スキルもそういった違いで分けられているのかもしれない。
 スキルはMP消費するけど、特殊スキルはMP消費不要だしね。

「へぇ……」

 明の口の端がわずかに持ち上がる。
 なんだかんだ言ってこういったものに憧れはあったのだろうか。男の子だもんね。その気持ちはよくわかる!

「次は私ね!」

 ここにきて穂乃果のテンションは最高潮に達している。
 明を押しのけるようにして石板の前に立つと、躊躇なく手のひらを石板に押し付ける。

 ――――――――――――――――――
 【杖術】
 【火魔法】
 【水魔法】
 【風魔法】
 【土魔法】
 【雷魔法】
 【闇魔法】
 【癒魔法】
 【補助魔法】
 ――――――――――――――――――

 そこには明と同じ数のスキルが浮かび上がっていた。

「ふ……、ふふふふふっ」

 石板から穂乃果へと視線を向けるが、そこにはニヤニヤと微妙に気持ち悪い笑顔が張り付いている。
 うわー、これちょっとひくわー。黙って大人しくしてれば可愛いのに……。

「次は私ね」

 王女様が名乗り出ると、穂乃果はニヤニヤしながら横にずれる。
 わくわくした表情の王女様がそっと手を乗せると再び石板にスキル表示される。

 ――――――――――――――――――
 【水魔法】
 【風魔法】
 【癒魔法】
 【補助魔法】
 【神聖魔法】
 ――――――――――――――――――

 おお、よかった。二人よりは少ないけど、ちゃんと表示された。一般人よりも多いし、召喚された勇者として疑われはしないだろう。

「ふふっ、次はマコト様ですよ」

 ニッコリと天使のような笑顔でこちらを振り返る王女様。ああもう、可愛いなあ。
 【神聖魔法】って何? とか、様付けで呼ばれた事とかもさっぱり消え失せてしまうがしょうがないよね。
 高校生二人組に微妙な視線を向けられているのも気づかずに、俺は石板の前へと歩を進める。

「ふー」

 俺は深呼吸をひとつすると、ゆっくりと右手を石板へと置いた。

 ――――――――――――――――――
 【剣術】
 【短剣術】
 【槍術】
 【斧術】
 【弓術】
 【盾術】
 【格闘術】
 【投擲術】
 【鞭術】
 【杖術】
 【火魔法】
 【水魔法】
 【風魔法】
 【土魔法】
 【雷魔法】
 【光魔法】
 【闇魔法】
 【癒魔法】
 【補助魔法】
 【時魔法】
 【空間魔法】
 【召喚魔法】
 【料理】
 【調教】
 【隠密】
 ――――――――――――――――――

 そこに並ぶスキルの数を見て思わず石板から顔を逸らす。王女様の結果から半ば予想していたが、どうやら当たってしまったようだ。
 自分の持っている職業やスキルに関するものがわらわらと羅列されているのを見て、若干顔が引きつっているのを自覚する。

「おおおお……、これは、素晴らしい……」

「まったくですな。……我が国の未来もそう悲観したものでもなさそうですな」

 国王と神官長が顔を見合わせて頷いている。

「さすがマコト様です!」

 合わせた両手を胸の前にかざして王女様は得意顔である。そんな彼女を見るたびに表情が険しくなっていく高校生二人組。
 なんだよ……、そんな目で俺を見るんじゃない。というかフィアリーシス王女も俺の事を様付けで呼ばないでくれ。なんかよくわからんけど二人に誤解されてる気がする。

「……で、何かいろいろスキル? みたいなものがみんなに出ましたが、これが出るとどうなんです?」

 話題を逸らすかのように国王に顔を向けると、他の三人も気になったのかそちらに顔を向けている。

「うむ。簡単に言うと、才能があるということじゃな。一般人で一つ、たまに二つ持ちが現れるが、三つともなると一万人に一人とも言われとるな」

「ただ、才能があると言っても習熟速度に差があるのが当たり前なのですが、勇者召喚で現れたあなた方はその速度が異常だという言い伝えがあるのです」

 国王のセリフをついで、そう神官長のジョゼが告げるのだった。
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