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第三章
探求の魔道具
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というわけでさっそく探し物のための魔道具を使ってみよう。そういえば道具の名前もあったけど忘れたな。探求の魔道具でいいか。
さっとアイテムボックスから取り出すと、まずは猫の写真へと向ける。
魔道具の形状としては、平べったい正方形の銀色をした金属板の上に、中心だけが白い透明な球がくっついた形をしている。球体は握りこぶしくらいだろうか。中心の白い部分は小指の先ほどだ。
ツルツルとしたクリスタルガラスのような球体が、金属板に少しだけめり込む形ではまり込んでいる。
球体部分を持ち上げて魔力を注ぎ込むと、金属板の底が薄っすらと発光する。その光を猫の写真にかざすと、中心から球体の外壁へ向かってプラズマボールのごとく白い光がまっすぐに伸びた。
どうやらこの白い光の先に、探し猫がいるということらしい。
一方向に強く白い光が伸びているが、他の方向にも数本だけ弱い光が伸びている。似たような猫でも補足したのだろうか。
「うーん。こりゃすげーな」
事務所の近所に住むおばあちゃんの家の猫らしい。飼い猫であれば遠くても半径1km以内にはいるだろうとのことで、さっそく探求の魔道具が指し示す方向に向かってフィアと二人で歩いているところだ。
しかしあれだな、宝物庫で埃をかぶってただけあって燃費が悪いな……。
中心から出る光が安定するまで五秒ほど、そして自分を鑑定する限りでは秒間100くらいMPが減っている。これでは間隔を空けて瞬間的に発動するといった使い方もできまい。
もちろん秒間100と言った魔力消費は自分自身で調節が可能だ。だが弱めると探求の魔道具が発する光も弱くなり、昼間では視認が難しかった。これくらいの魔力を籠めるのが妥当だろうか。
「あ、だんだん左に向いてますよ」
まっすぐ歩いていると光が指し示す方向が徐々に左側へと傾いている。
「じゃあ次の角を曲がるか」
「はい」
といったことを繰り返すこと数回。
行き止まりに当たることもなく、とある住宅の壁の隙間から延びる猫じゃらしと格闘する、写真そっくりの猫を見つけるのだった。
「まさか二十分で見つけるとは……」
ここは先ほどまでいた小太郎の事務所である。
いったん戻った俺たちは仕事が完了したことを、ソファで向かい合う小太郎に報告していた。
そして依頼主に猫は引き渡し済みである。
「じゃあ次は家出娘だな……」
「ああ、白川さんのお宅はここからだと車で一時間くらいかな」
「ふむ。……じゃあ探しながら向かうか」
幸いなことに自宅から事務所へは車で来ているので問題ない。
「よそ見運転はするんじゃないぞ」
探求の魔道具の使い方を目の前で見ていた小太郎がありがたい忠告をくれた。
「わかってるよ」
「私がくるまを運転できればよかったですね……」
助手席から車の操作をいくらか見ていたフィアが、魔道具を使いながらの運転に危機感を察知してかそんなことを言い出した。
「役割分担にはそれが一番だが、さすがに車の免許は持ってないだろう」
小太郎が苦笑と共に漏らす。そりゃまあこっちにきたばっかりの異世界人が車の免許なんぞ持ってるはずもない。
「あ……、免許がいるんですね……」
あからさまに落胆がわかるくらいに大きく肩を落としてしょんぼりするフィア。
車に乗ると最初は珍しそうに流れる景色を見ていたが、気が付けば助手席で落ち着かなげにずっとこっちを見てくるようになっていた。
もしかして運転したかったんだろうか……。
「でも、それなら……!」
セリフと共に俯いていた顔を上げると、拳を握って真剣な表情で何かを決意する。
しかし問題はそこじゃない。
「フィアはまだ十七歳だろ。免許は十八にならないと取れないぞ」
「……なんだって!?」
愕然とした表情は二人ともだが、即座に反応したのは小太郎だった。
「そ、そんな……!」
「……じゅう、なな? だと?」
フィアが絶望感たっぷりに慄き、小太郎はフィアをチラ見した後にこちらに蔑む視線を送ってきた。
んんー? なんだね、小太郎君?
「くっ……、この犯罪者め……!」
やっぱりね! そう言うと思ったよ! 思ったけど突っ込まずにはいられない。
「なんでそうなる!?」
「フィアちゃん、こいつにひどいことされそうになったら言ってくれ。オレがぶっ飛ばしてやるから」
呼び方がちゃん付けに変わってるし。しかもひどいことってなんだよ? ぶっ飛ばせるもんならぶっ飛ばしてみろ!
――あ、いや、ひどいことはしませんよ? もちろん。
「え? あ……、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。マコトは優しいですから」
小太郎からの言葉に、落ち込みから一気に復活したフィアが微笑みながら答えると、ふいっと小太郎が目を逸らした。
フィアの笑顔は破壊力抜群だからな。ましてや小太郎が耐えられるはずもなかろう。
「うぐ……、まあいい、それよりもさっさと探しに行ってこい。もし誘拐なんてことになってたら大変だ」
「そう思ったんなら先に猫探しに行った俺を止めろよ!」
こうして俺たちは小太郎に追い出されるようにして事務所を出るのだった。
さっとアイテムボックスから取り出すと、まずは猫の写真へと向ける。
魔道具の形状としては、平べったい正方形の銀色をした金属板の上に、中心だけが白い透明な球がくっついた形をしている。球体は握りこぶしくらいだろうか。中心の白い部分は小指の先ほどだ。
ツルツルとしたクリスタルガラスのような球体が、金属板に少しだけめり込む形ではまり込んでいる。
球体部分を持ち上げて魔力を注ぎ込むと、金属板の底が薄っすらと発光する。その光を猫の写真にかざすと、中心から球体の外壁へ向かってプラズマボールのごとく白い光がまっすぐに伸びた。
どうやらこの白い光の先に、探し猫がいるということらしい。
一方向に強く白い光が伸びているが、他の方向にも数本だけ弱い光が伸びている。似たような猫でも補足したのだろうか。
「うーん。こりゃすげーな」
事務所の近所に住むおばあちゃんの家の猫らしい。飼い猫であれば遠くても半径1km以内にはいるだろうとのことで、さっそく探求の魔道具が指し示す方向に向かってフィアと二人で歩いているところだ。
しかしあれだな、宝物庫で埃をかぶってただけあって燃費が悪いな……。
中心から出る光が安定するまで五秒ほど、そして自分を鑑定する限りでは秒間100くらいMPが減っている。これでは間隔を空けて瞬間的に発動するといった使い方もできまい。
もちろん秒間100と言った魔力消費は自分自身で調節が可能だ。だが弱めると探求の魔道具が発する光も弱くなり、昼間では視認が難しかった。これくらいの魔力を籠めるのが妥当だろうか。
「あ、だんだん左に向いてますよ」
まっすぐ歩いていると光が指し示す方向が徐々に左側へと傾いている。
「じゃあ次の角を曲がるか」
「はい」
といったことを繰り返すこと数回。
行き止まりに当たることもなく、とある住宅の壁の隙間から延びる猫じゃらしと格闘する、写真そっくりの猫を見つけるのだった。
「まさか二十分で見つけるとは……」
ここは先ほどまでいた小太郎の事務所である。
いったん戻った俺たちは仕事が完了したことを、ソファで向かい合う小太郎に報告していた。
そして依頼主に猫は引き渡し済みである。
「じゃあ次は家出娘だな……」
「ああ、白川さんのお宅はここからだと車で一時間くらいかな」
「ふむ。……じゃあ探しながら向かうか」
幸いなことに自宅から事務所へは車で来ているので問題ない。
「よそ見運転はするんじゃないぞ」
探求の魔道具の使い方を目の前で見ていた小太郎がありがたい忠告をくれた。
「わかってるよ」
「私がくるまを運転できればよかったですね……」
助手席から車の操作をいくらか見ていたフィアが、魔道具を使いながらの運転に危機感を察知してかそんなことを言い出した。
「役割分担にはそれが一番だが、さすがに車の免許は持ってないだろう」
小太郎が苦笑と共に漏らす。そりゃまあこっちにきたばっかりの異世界人が車の免許なんぞ持ってるはずもない。
「あ……、免許がいるんですね……」
あからさまに落胆がわかるくらいに大きく肩を落としてしょんぼりするフィア。
車に乗ると最初は珍しそうに流れる景色を見ていたが、気が付けば助手席で落ち着かなげにずっとこっちを見てくるようになっていた。
もしかして運転したかったんだろうか……。
「でも、それなら……!」
セリフと共に俯いていた顔を上げると、拳を握って真剣な表情で何かを決意する。
しかし問題はそこじゃない。
「フィアはまだ十七歳だろ。免許は十八にならないと取れないぞ」
「……なんだって!?」
愕然とした表情は二人ともだが、即座に反応したのは小太郎だった。
「そ、そんな……!」
「……じゅう、なな? だと?」
フィアが絶望感たっぷりに慄き、小太郎はフィアをチラ見した後にこちらに蔑む視線を送ってきた。
んんー? なんだね、小太郎君?
「くっ……、この犯罪者め……!」
やっぱりね! そう言うと思ったよ! 思ったけど突っ込まずにはいられない。
「なんでそうなる!?」
「フィアちゃん、こいつにひどいことされそうになったら言ってくれ。オレがぶっ飛ばしてやるから」
呼び方がちゃん付けに変わってるし。しかもひどいことってなんだよ? ぶっ飛ばせるもんならぶっ飛ばしてみろ!
――あ、いや、ひどいことはしませんよ? もちろん。
「え? あ……、ありがとうございます。でも大丈夫ですよ。マコトは優しいですから」
小太郎からの言葉に、落ち込みから一気に復活したフィアが微笑みながら答えると、ふいっと小太郎が目を逸らした。
フィアの笑顔は破壊力抜群だからな。ましてや小太郎が耐えられるはずもなかろう。
「うぐ……、まあいい、それよりもさっさと探しに行ってこい。もし誘拐なんてことになってたら大変だ」
「そう思ったんなら先に猫探しに行った俺を止めろよ!」
こうして俺たちは小太郎に追い出されるようにして事務所を出るのだった。
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