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第四章
転生者は異世界で何を見る? -電池-
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「……なんだい? これは……」
カウンターに置いたソーラー式LEDライトを手に取り、しげしげと眺める受付のお姉さん。
この人がどれだけの権限を持ってるのかは知らないが、とりあえず今は見せる相手はこの人物しかいない。
「照明の道具だな。……そこのボタンを押せば光るぞ」
簡単に説明してやると、お姉さんもすぐに使えるようになっている。
「ほぅ……、こんなに小さいのに大したもんだな。……で?」
さっぱり大したことなさそうな口調でこっちに話を戻してくる。
もちろんそれくらいわかってるさ。照明の魔道具なんてこの世界ならいっぱいあるんだろうよ。
だけどそれも、エネルギー源の魔力だったか? が切れたら終わりだろ。交換しないとな。
「そこの黒い部分があるだろ?」
俺はソーラーパネル部分を指さす。
「もし光らなくなっても、その黒い部分に太陽の光を五時間程度あてておけば復活するんだぜ」
「――なにっ?」
「小さいだけあって連続点灯時間は短いが……、太陽光を当てれば復活するんだよ」
俺の言葉にお姉さんの表情が一瞬にして引き締まる。手元のライトを見つめてなにか考えているようだが……。
「……それは今ここで証明できるのかい?」
あー、そういうことね。ハッタリにしても本当のことだとしても、この場ですぐ証明なんてできるはずがない。
光らなくなるまで点灯させていてもある程度時間がかかるし、それを充電する時間もある程度必要だ。
「それは無理だな」
俺の言葉にどこか優越感を取り戻したかのような表情になるお姉さん。
「だからそれはあんたにやるよ」
「――は?」
予想外の言葉だったのか、呆けた表情を浮かべている。
仮に俺の言葉が本当だとすれば、激しくレアな道具ということになるだろう。
だというのにそれを譲ると言っているのだ。軽い感じで。
彼女からするとわけがわからないと言った感情なのだろうか。
「だから、それはやるよ。こっちはそれほど急いでるわけでもないからな。……じっくり検証するといいぞ?」
それだけ言うと俺たちはザニー工房を後にした。
「あはは! あのお姉さんの顔面白かったね」
工房を出てすぐに瑞樹がそう言って笑う。
「あの人すごく自信ありそうだったもんね」
フィアもどことなく満足気だ。
あんなLEDライトでよかったらいくらでも進呈してあげます。
にしても……、どれくらいで反応があるかな? こっちはとくに名乗らなかったけど、向こうから接触してくることはあるかな?
まぁいいか。ちょっと様子見でもするか。今はとりあえずこの街について調べないとな。
魔工都市っていうくらいだから、面白いものが他にもあることを期待しながら街見物だ。
石造りの建物と、鈍色に光る金属っぽい色の建物とが続く通りを歩く。
武器や防具と言ったお店は以前いた街とそう変わることがなかった。が、たまに金属製の銃のようなものを置いている店はあった。
聞いてみると『魔導ガン』と言うらしく、魔力の籠った魔石をエネルギー源として弾を発射できるものらしい。
ここに来るときの馬車に積んでいた装備と同じやつだった。
だけど話に聞いていた通りに燃費が悪いとのこと。値段も高いし、俺たちには不要という結論になったのだ。
そして本命の魔導具屋。
まさに衝撃的だった。
「えっ? 電気って、あれですよね。……要するに雷のエネルギーってことですよね?」
「おうそうだぞ。あんちゃんよく知ってるな。……最近開発されたのが、その電気で動く道具だよ」
懐中電灯のようなものを手に取る。値段が書いてあるのかわからないが、とにかく桁が多いということはわかる。
しかしなんだこの大きさは。直径十センチに長さ五十センチくらいあるじゃねーか。
スイッチみたいな突起があるけど……。
店のおっちゃんを見ると、「どうぞ」と言われたので押してみる。
「あ、光った」
「……でも大きさの割にあんまり明るくないですね」
フィアと瑞樹の言葉が続く。
「はは……、これでも大発明だったんだがね……」
予想外の反応をする俺たちにおっちゃんは苦笑いだ。
なるほど。これはまさに日本製品を売り込むチャンスじゃなかろうか。
そのためには市場調査を進めねばなるまい。
「おっちゃん。他にこの『電気』で動作する道具ってある?」
「ん? おお、あるぞー。ちょっと待ってろ」
そう言っておっちゃんが奥に引っ込んでいくと、三十センチ四方の四角い箱を持ってきた。
というかまぁまぁ重そうだな。……巨大懐中電灯もそれなりに重かったけど。
なんにしろ、これにもスイッチがついている。
「ほれ」
地面に箱を置いたおっちゃんが、そのスイッチを入れる。
その様子を俺たち三人は眺めているが、特に見た目では何かが起こっているようには見えない。
しばらく待ってみるも変化なしだ。
「……なんなの、これ?」
しびれを切らした瑞樹がおっちゃんに問いかける。
「もういいかな? 触ってみればわかるぞ」
ニヤッとした表情で言うおっちゃんに従い、地面に置かれた箱に触れてみると。
……あったかい。
「寒いときには重宝するぜー」
カイロかよっ!?
カウンターに置いたソーラー式LEDライトを手に取り、しげしげと眺める受付のお姉さん。
この人がどれだけの権限を持ってるのかは知らないが、とりあえず今は見せる相手はこの人物しかいない。
「照明の道具だな。……そこのボタンを押せば光るぞ」
簡単に説明してやると、お姉さんもすぐに使えるようになっている。
「ほぅ……、こんなに小さいのに大したもんだな。……で?」
さっぱり大したことなさそうな口調でこっちに話を戻してくる。
もちろんそれくらいわかってるさ。照明の魔道具なんてこの世界ならいっぱいあるんだろうよ。
だけどそれも、エネルギー源の魔力だったか? が切れたら終わりだろ。交換しないとな。
「そこの黒い部分があるだろ?」
俺はソーラーパネル部分を指さす。
「もし光らなくなっても、その黒い部分に太陽の光を五時間程度あてておけば復活するんだぜ」
「――なにっ?」
「小さいだけあって連続点灯時間は短いが……、太陽光を当てれば復活するんだよ」
俺の言葉にお姉さんの表情が一瞬にして引き締まる。手元のライトを見つめてなにか考えているようだが……。
「……それは今ここで証明できるのかい?」
あー、そういうことね。ハッタリにしても本当のことだとしても、この場ですぐ証明なんてできるはずがない。
光らなくなるまで点灯させていてもある程度時間がかかるし、それを充電する時間もある程度必要だ。
「それは無理だな」
俺の言葉にどこか優越感を取り戻したかのような表情になるお姉さん。
「だからそれはあんたにやるよ」
「――は?」
予想外の言葉だったのか、呆けた表情を浮かべている。
仮に俺の言葉が本当だとすれば、激しくレアな道具ということになるだろう。
だというのにそれを譲ると言っているのだ。軽い感じで。
彼女からするとわけがわからないと言った感情なのだろうか。
「だから、それはやるよ。こっちはそれほど急いでるわけでもないからな。……じっくり検証するといいぞ?」
それだけ言うと俺たちはザニー工房を後にした。
「あはは! あのお姉さんの顔面白かったね」
工房を出てすぐに瑞樹がそう言って笑う。
「あの人すごく自信ありそうだったもんね」
フィアもどことなく満足気だ。
あんなLEDライトでよかったらいくらでも進呈してあげます。
にしても……、どれくらいで反応があるかな? こっちはとくに名乗らなかったけど、向こうから接触してくることはあるかな?
まぁいいか。ちょっと様子見でもするか。今はとりあえずこの街について調べないとな。
魔工都市っていうくらいだから、面白いものが他にもあることを期待しながら街見物だ。
石造りの建物と、鈍色に光る金属っぽい色の建物とが続く通りを歩く。
武器や防具と言ったお店は以前いた街とそう変わることがなかった。が、たまに金属製の銃のようなものを置いている店はあった。
聞いてみると『魔導ガン』と言うらしく、魔力の籠った魔石をエネルギー源として弾を発射できるものらしい。
ここに来るときの馬車に積んでいた装備と同じやつだった。
だけど話に聞いていた通りに燃費が悪いとのこと。値段も高いし、俺たちには不要という結論になったのだ。
そして本命の魔導具屋。
まさに衝撃的だった。
「えっ? 電気って、あれですよね。……要するに雷のエネルギーってことですよね?」
「おうそうだぞ。あんちゃんよく知ってるな。……最近開発されたのが、その電気で動く道具だよ」
懐中電灯のようなものを手に取る。値段が書いてあるのかわからないが、とにかく桁が多いということはわかる。
しかしなんだこの大きさは。直径十センチに長さ五十センチくらいあるじゃねーか。
スイッチみたいな突起があるけど……。
店のおっちゃんを見ると、「どうぞ」と言われたので押してみる。
「あ、光った」
「……でも大きさの割にあんまり明るくないですね」
フィアと瑞樹の言葉が続く。
「はは……、これでも大発明だったんだがね……」
予想外の反応をする俺たちにおっちゃんは苦笑いだ。
なるほど。これはまさに日本製品を売り込むチャンスじゃなかろうか。
そのためには市場調査を進めねばなるまい。
「おっちゃん。他にこの『電気』で動作する道具ってある?」
「ん? おお、あるぞー。ちょっと待ってろ」
そう言っておっちゃんが奥に引っ込んでいくと、三十センチ四方の四角い箱を持ってきた。
というかまぁまぁ重そうだな。……巨大懐中電灯もそれなりに重かったけど。
なんにしろ、これにもスイッチがついている。
「ほれ」
地面に箱を置いたおっちゃんが、そのスイッチを入れる。
その様子を俺たち三人は眺めているが、特に見た目では何かが起こっているようには見えない。
しばらく待ってみるも変化なしだ。
「……なんなの、これ?」
しびれを切らした瑞樹がおっちゃんに問いかける。
「もういいかな? 触ってみればわかるぞ」
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