DD!~ドーテイ刑事(デカ)の事件簿~

藤崎岳

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第3章 憧れの人

3話②

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「お前はバカか! バカなのか?!」 

 無理やり穂積の前から連れ去られ、そのままホテルを出ると、晃司はやっと手を離して大輔を怒鳴りつけた。 

 ポカンとした後、大輔もようやく今の事態を把握する。 

「なにするんですか! 管理官に失礼ですよ!」 

 せっかくいい雰囲気だったのに――と口を滑らしそうになったが、晃司の剣幕に押し黙る。 

「あいつには気をつけろって言っただろ?! お前みたいな童貞が、あの性悪女狐……男だけど! に食われたら、骨までズブズブにされちまうぞ!」 

 晃司がなにを怒っているのかわからない大輔は、激しく混乱した。 そもそも、自分は晃司に怒鳴られることをしたのだろうか。 

「だから! 小野寺さんはなにを怒ってるんですか?! 俺が穂積管理官とどんな付き合いしようと……関係ないじゃないですか!」 

「関係あるわ! お前に先に唾吐けたのは俺だぞ! に横からかっさらわれるのは我慢できねぇんだよ!」 

「なっ!」 

 大輔は言葉を失い――我が耳を疑った。 

 晃司が穂積を――香と呼んだ。 

 そのことに晃司は気づいていない。 

 大輔は確信した。 

 晃司と穂積は、ただの高校の先輩後輩なんかではない。もっと特別な関係だった。 

 二人には、大輔の知らない過去がある。 

 そして、その二人の過去に自分が巻き込まれている、と気づかされた。 

 悔し涙がこみ上げてきた。 

 甘く蕩けるような穂積のキス。乱暴で危険な晃司のキス。 

 それらは全部――大輔の問題ではなかった。 

 二人の問題だったのだ。 

 大輔は涙が滲んだ瞳で、晃司を睨みつけた。 

「穂積管理官となにがあったか知りませんけど……俺を巻き込まないでください」 

 晃司がわずかに怯む。 

「は? 俺と穂積がなんだよ? いいか! お前はもう絶対に、あいつと二人きりになるな!」 

「なりませんよ! なりたくもない! 穂積管理官とも……あんたとも!」 

 大輔は、泣き出しそうだった。それを誤魔化したくて怒鳴った。 

 晃司は、大輔の涙に気づいていたのだろうか。だから大輔が呼ばわりしても、ただ驚いて、少し悲しそうな顔をしたのだろうか。 

 大輔は晃司に背を向け、そのまま逃げるように立ち去った。 

 晃司の前で泣きたくなかった。 

 どうしてこんなに腹が立って泣きたくなるのか――よくわからないけれど、晃司の前で涙を零すことだけはしたくなかった。 

 晃司には――晃司にだけは、二度と涙を見せたくなかった。 
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