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出会い
第三話 欲にのまれる
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ルクシスが視界に捉えていた空の色は、すでに彼にとって意味を持たなかった。光と静寂に満ちた天界の一角、その真昼のような明るさの中で、身体だけが、剥き出しの感情と熱に喘いでいた。
強引に押し開けられた唇が、彼の思考のすべてを飲み込んでいく。口内を這い回るヨクの舌は、有無を言わせぬ暴力性を持ちながら、同時にどうしようもないほどの甘美さを伴ってルクシスの理性を根こそぎ奪い取る。
「ん……ッ、は、ぁ……」
嘘を嫌悪する己の喉が、今、嘘偽りなく快楽を求める声を上げているという事実が、ルクシスの真理の神としての矜持をズタズタに引き裂いていく。しかし抵抗の意思は、その情けない声と共に溶かされ、間の抜けた鼻声を止めることはできなかった。
下腹部で蠢くヨクの手つきは、常であれば真理を司る神の不快感を最大限に煽るはずだった。しかし、ルクシスの内側は、不愉快の代わりにどろりとした期待を要求する。もっと強く、もっと深く、その指の先が魂の奥底まで探りを入れて欲しいと、本能が叫んでいた。
ヨクは、目尻に涙を浮かべ、甘い声で喘ぐルクシスをただ満足げに見つめていた。その細められた瞳には、困惑する獲物への純粋な愉悦だけが揺れている。
「キミは、素質があるね」
喉の奥で笑いを噛み殺したような声が、吐息混じりに耳を滑り抜けた。その言葉が、ルクシスにとってどれほどの屈辱であるか、ヨクはまるで理解していない。ただ、目の前の肉体の反応と、そこから溢れる「欲」の熱量だけを見ていた。
「さて、ここからが本番だよ。どこまで耐えられるかな?」
「ま、て……っ、この、ピンク頭……やめ、ろ……」
必死の抵抗は、もはや蚊の鳴くような震える声にしかならない。
ヨクはそれ以上、ルクシスの言葉を聞くつもりはなく、遠慮なくルクシスの内側へと突き入れる。それは、まるで皮膚の内側を撫でるように滑らかで、痛みはどこにもなかった。あるのは、ただ、ひたすらに脳を焼くような快楽の奔流。
「──アァ゛っッッッ!!!!」
真理の神の口から、雷鳴のような絶叫が迸る。それはこの痛みを伴わない行為への、最後の抗議と抵抗の形であった。
快楽だけを伴って胎を掻き回す異物に、なすすべもなく溺れていくという事実を否定するかのように。
しかし、真理の神として、偽りなく己の感情を裁定するならば、この快楽は紛れもない真実だった。この男に、この欲望に、魂ごと呑み込まれている。
ルクシスは、ヨクの背に回した指先に力を込めることしかできなかった。それは抵抗なのか、しがみついているだけなのか、自分自身にも判別がつかない。
この男に、この『欲』に、自分のすべてが飲み込まれていく。その事実に打ちのめされながらも、ルクシスの身体は、彼自身の意思に反して、奥深くまで貫くヨクの熱情に、甘く、熱く、応え始めるのだった。
強引に押し開けられた唇が、彼の思考のすべてを飲み込んでいく。口内を這い回るヨクの舌は、有無を言わせぬ暴力性を持ちながら、同時にどうしようもないほどの甘美さを伴ってルクシスの理性を根こそぎ奪い取る。
「ん……ッ、は、ぁ……」
嘘を嫌悪する己の喉が、今、嘘偽りなく快楽を求める声を上げているという事実が、ルクシスの真理の神としての矜持をズタズタに引き裂いていく。しかし抵抗の意思は、その情けない声と共に溶かされ、間の抜けた鼻声を止めることはできなかった。
下腹部で蠢くヨクの手つきは、常であれば真理を司る神の不快感を最大限に煽るはずだった。しかし、ルクシスの内側は、不愉快の代わりにどろりとした期待を要求する。もっと強く、もっと深く、その指の先が魂の奥底まで探りを入れて欲しいと、本能が叫んでいた。
ヨクは、目尻に涙を浮かべ、甘い声で喘ぐルクシスをただ満足げに見つめていた。その細められた瞳には、困惑する獲物への純粋な愉悦だけが揺れている。
「キミは、素質があるね」
喉の奥で笑いを噛み殺したような声が、吐息混じりに耳を滑り抜けた。その言葉が、ルクシスにとってどれほどの屈辱であるか、ヨクはまるで理解していない。ただ、目の前の肉体の反応と、そこから溢れる「欲」の熱量だけを見ていた。
「さて、ここからが本番だよ。どこまで耐えられるかな?」
「ま、て……っ、この、ピンク頭……やめ、ろ……」
必死の抵抗は、もはや蚊の鳴くような震える声にしかならない。
ヨクはそれ以上、ルクシスの言葉を聞くつもりはなく、遠慮なくルクシスの内側へと突き入れる。それは、まるで皮膚の内側を撫でるように滑らかで、痛みはどこにもなかった。あるのは、ただ、ひたすらに脳を焼くような快楽の奔流。
「──アァ゛っッッッ!!!!」
真理の神の口から、雷鳴のような絶叫が迸る。それはこの痛みを伴わない行為への、最後の抗議と抵抗の形であった。
快楽だけを伴って胎を掻き回す異物に、なすすべもなく溺れていくという事実を否定するかのように。
しかし、真理の神として、偽りなく己の感情を裁定するならば、この快楽は紛れもない真実だった。この男に、この欲望に、魂ごと呑み込まれている。
ルクシスは、ヨクの背に回した指先に力を込めることしかできなかった。それは抵抗なのか、しがみついているだけなのか、自分自身にも判別がつかない。
この男に、この『欲』に、自分のすべてが飲み込まれていく。その事実に打ちのめされながらも、ルクシスの身体は、彼自身の意思に反して、奥深くまで貫くヨクの熱情に、甘く、熱く、応え始めるのだった。
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