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人生を破壊する存在との出会い
1話 クリスマスイブ
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俺の名は太田太一《おおたたいち》18才。
名前に太いが重複してるけど特に太ってはいない。
そんな俺、この度住み込みで冬のリゾートバイトって奴をすることにした。
就職活動は8月で内定が決まったから暇なんだ。
†††††
今日は12月24日。
明日から冬休み。
しかし、聖なる夜を楽しんでる暇は俺にはない。
「いいなあお兄ちゃん。私も遊びがてらバイト行きたい」
妹の太恵《たえ》が羨ましそうにつぶやく。
ちなみにコイツも名字と名前に太いが重複してるけど特に太ってはいない。
「あのなあ。俺は働きに行くんだよ」
「でも〇〇県の〇〇でしょ? スキーで有名なとこじゃん」
「俺あんまそういうの興味ないんだよね。あ、ケーキ俺のぶん食っていいぞ」
「本当? やった」
適当にあしらった。
可愛い妹だが、今はコイツをかまってる暇はない。
1月5日までの短期バイトとはいえ、支度はいろいろあるんだ。
もう俺たち兄妹もクリスマスパーティーを楽しむ年でもない。
食卓にはいつもよりささやかながら豪華な夕食の痕があるだけ。
クラッカーやら飾り付けは一切ない。
「太恵、悪いけど夜中までガタガタするからな」
「別にいいよ。多分今夜は遅くまで起きてるし」
「そうか」
「ま、父さんと母さんが帰ってくるまで後片付けやっとくからさ、準備始めなよ」
「そう? 悪いな」
「そのかわりお土産よろしくね」
「はいはい」
「あとそういうのは前日やるもんじゃないよ」
「・・・・・・はいはい」
こちらを見もしないでテレビを見ながら生意気な事を語る妹。
ちょっとイラついたが、まあ旅に出る直前くらいはケンカは控えよう。
そう、俺は今夜ここを発つ。
20万で買ってもらった中古の軽自動車と共に。
†††††
準備はわりと早く終わった。
出発予定時間にはまだ早い。
居間でしばらくくつろぐ事にした。
コーヒーの香りが俺を落ち着かせる。
「ん? お兄ちゃんもう終わったの?」
「ああ」
「ふーん。あ、父さんと母さん帰ってきた」
外から車庫のシャッターが開く音がした。
「ふー、疲れた」
「お帰り。お風呂わかしといたよ」
「ああ、ありがとう」
どこにでもいそうな中年の夫婦が居間に入った来た。
二人とも同じ職場に勤めてる。
大手で安定供給してるが夜勤が多いのがたまに傷。
来年の春からは俺もそこで働くんだが・・・・・・。
「太一、〇〇県本当に行くのか? 少し雪降ってるぞ」
帰ってそうそう冷蔵庫からビールを取り出しながら、父さんがそう告げてきた。
「今さら取り消しできないだろ?」
「まあなあ」
「みんな大げさなんだ。10日間の住み込みバイトなんて社会見学みたいなもんだろ」
「わかったわかった。気を付けてな」
「太一、向こうに着いたらメールしなさいよ」
「はいはい」
「お兄ちゃんいいなあ」
家族は適当にあしらうことにした。
正直ワクワク感が止まらない。
ちょっとした冒険に出るようなものだしな。
名前に太いが重複してるけど特に太ってはいない。
そんな俺、この度住み込みで冬のリゾートバイトって奴をすることにした。
就職活動は8月で内定が決まったから暇なんだ。
†††††
今日は12月24日。
明日から冬休み。
しかし、聖なる夜を楽しんでる暇は俺にはない。
「いいなあお兄ちゃん。私も遊びがてらバイト行きたい」
妹の太恵《たえ》が羨ましそうにつぶやく。
ちなみにコイツも名字と名前に太いが重複してるけど特に太ってはいない。
「あのなあ。俺は働きに行くんだよ」
「でも〇〇県の〇〇でしょ? スキーで有名なとこじゃん」
「俺あんまそういうの興味ないんだよね。あ、ケーキ俺のぶん食っていいぞ」
「本当? やった」
適当にあしらった。
可愛い妹だが、今はコイツをかまってる暇はない。
1月5日までの短期バイトとはいえ、支度はいろいろあるんだ。
もう俺たち兄妹もクリスマスパーティーを楽しむ年でもない。
食卓にはいつもよりささやかながら豪華な夕食の痕があるだけ。
クラッカーやら飾り付けは一切ない。
「太恵、悪いけど夜中までガタガタするからな」
「別にいいよ。多分今夜は遅くまで起きてるし」
「そうか」
「ま、父さんと母さんが帰ってくるまで後片付けやっとくからさ、準備始めなよ」
「そう? 悪いな」
「そのかわりお土産よろしくね」
「はいはい」
「あとそういうのは前日やるもんじゃないよ」
「・・・・・・はいはい」
こちらを見もしないでテレビを見ながら生意気な事を語る妹。
ちょっとイラついたが、まあ旅に出る直前くらいはケンカは控えよう。
そう、俺は今夜ここを発つ。
20万で買ってもらった中古の軽自動車と共に。
†††††
準備はわりと早く終わった。
出発予定時間にはまだ早い。
居間でしばらくくつろぐ事にした。
コーヒーの香りが俺を落ち着かせる。
「ん? お兄ちゃんもう終わったの?」
「ああ」
「ふーん。あ、父さんと母さん帰ってきた」
外から車庫のシャッターが開く音がした。
「ふー、疲れた」
「お帰り。お風呂わかしといたよ」
「ああ、ありがとう」
どこにでもいそうな中年の夫婦が居間に入った来た。
二人とも同じ職場に勤めてる。
大手で安定供給してるが夜勤が多いのがたまに傷。
来年の春からは俺もそこで働くんだが・・・・・・。
「太一、〇〇県本当に行くのか? 少し雪降ってるぞ」
帰ってそうそう冷蔵庫からビールを取り出しながら、父さんがそう告げてきた。
「今さら取り消しできないだろ?」
「まあなあ」
「みんな大げさなんだ。10日間の住み込みバイトなんて社会見学みたいなもんだろ」
「わかったわかった。気を付けてな」
「太一、向こうに着いたらメールしなさいよ」
「はいはい」
「お兄ちゃんいいなあ」
家族は適当にあしらうことにした。
正直ワクワク感が止まらない。
ちょっとした冒険に出るようなものだしな。
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