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人生を破壊する存在との出会い
5話 3人目の同居人
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そのまま俺が泊まる部屋に通される。
「太一、ごめんね。エアコンとかテレビはないの。まあ大広間はガンガン暖めとくから寒くはないけどね」
キャバ嬢のような容姿の美人、明子さんはそう説明する。
「いえ、10日前後くらいスマホあればなんとか」
「そう。それでコンセントここね」
改めて部屋を見てみる。
細長い畳三畳分くらいの間取り。
本当寝るだけの場所か。
しばらく眺めていた。
まあ、たこ部屋とかに比べたらましか。
「あ、そうだ」
「はい?」
「この寮のルールを説明する前に1番重要なこと」
「・・・・・・はい」
なんだか改まった感じだ。
これは相当大切な事項かも。
「太一も若い男の子だし。溜まったら抜いても構わないけど、そんときはここの個室でね」
「・・・・・・」
真面目に聞いて損した。
ジョークか?
「風呂場やトイレではやめてね。あと出勤前は軽くシャワー浴びること!」
「・・・・・・はい」
これはつっこまなきゃいけないところなんだろうか?
わからないから普通に肯定しといた。
「ほな、ご飯たべよ。朝ごはんまだでしょ?」
「あ、はい」
「待っててね。私が自慢料理ご馳走するわ」
そういえば、今回のアルバイトは食事付き。
もしかしてこんな美人が手料理を振る舞ってくれるのか。
「ん、そんじゃ太一はキャベツ洗って千切りにして。そのあとザルに入れてもっかい洗ってね」
「・・・・・・はい」
俺も手伝うのか。
†††††
今度は台所に通された。
さっきは気づかなかったが、玄関に入ってすぐの大広間ってとこの隅にそれはあった。
さすがにここは昔ながらの水道設備とかではなく、けっこう最新のものに見える。
そこで指示通りまな板と包丁を出してキャベツを切り始める。
「お、太一。なかなか手つきいいね」
明子さんが後ろから俺の仕事ぶりを観察する。
「本当ですか?」
「うん。まあウチのアルバイトってほとんどこういう仕事やな。あとは掃除」
「はあ」
「しかし・・・・・・本当切るの上手いし早いね」
「うちは両親が共働きで夜勤とか多かったんで、俺と妹は自分たちで飯作ること多かったんですよね」
「ふーん。妹さんいるの」
「はい・・・・・・って、うわあ」
なんとなく振り返って驚く。
明子さん、いつの間にか毛皮のコートを脱いでいた。
そのインナーが・・・・・・かなり際どい服だ。
今にも胸が弾け飛びそうなデザイン。
多分ノーブラ。
しかもこの人細身なのにかなり巨乳だ。
「・・・・・・」
「なんや? 凝視するくらいかまわないよ。私キャバ嬢なんだし」
慌てて視線をそらしたが、そんなことを言われる。
目のやり場に困るのわかっててそんな恰好してるのか。
「あ、でも私って彼氏いるから」
「・・・・・・」
「見るだけね」
「・・・・・・」
笑ってる。
さっきの抜くとかの発言といい、このオーナーはいたいけな少年のアルバイトをからかっているのか。
「あ、キャベツもう少し多めに切ってね」
突然仕事モードになる。
なんのなのか。
「え? これ2人分には多くないですか?」
「もう一人来る」
「あ、そうなんですか」
「でももう約束の時間なんだけどね。電話も来ないなあ」
明子さんはそういってスマホを見ている。
もう一人来るということは、約10日間の同居人になるのか。
いい人だといいが。
†††††
もう一人が来ないので食事をすることになった。
豚のショウガ焼きと野菜の味噌汁だった。
少し意外。
「朝からこういうの重い? これからそういうときは言ってね」
「いえ、全然」
テーブルと座布団を出して、明子さんと食事を始めた。
得意料理というだけある。
本当に美味い。
「おいしいです」
「そうか、良かった」
俺は夢中で食べる。
「・・・・・・」
明子さんはどこか上の空だ。
突然つぶやきだした。
「令菜《れな》。バックれかも」
「レナ・・・・・・さん?」
「はあ、トリプル狙ってたんだけど」
「トリプル?」
本当、何を言ってるかわからない。
「ほら、私は名前と名字で漢字の明が重複するでしょ?」
「はあ」
2枚目のショウガ焼きを口にしながら適当に聞いてた。
どうせしょうもない内容な気がする。
「そんで、あなたは太田太一。太が重複してるでしょ?」
「・・・・・・」
「これから来る予定だった子は、仁令令奈。令が重複してるの」
明子さんはご丁寧にテーブルにおいてたメモに漢字を書いて説明してくれてる。
「まさか、そんな理由でアルバイトを採用したんですか?」
「そうよ。今回けっこう応募してきた子多かっただけどね。書類審査でピピッって来てさ」
「・・・・・・そうですか」
深く考えないことにした。
食事を続ける。
しばらく沢庵を噛む音などだけが響いた。
明子さんは食事が俺より少し前に終わり、スマホを見ている。
「ダメね」
「・・・・・・」
「こうなったら太一には倍頑張ってもらうで」
「はい」
少しプレッシャーがかかる。
大丈夫だろうか?
そんなことを思っていると・・・・・・。
「あれ? 明子さん。何か外から聞こえませんか?」
「ん?」
玄関のほうから何か聞こえて来る気がした。
咀嚼をやめて耳をすます。
「・・・めん・・・ください」
「あ、誰か来てるね。令奈かな?」
「ごめんください」
「あっ」
今度ははっきり聞こえた。
・・・・・・どこかで聞いたような声だ。
明子さんは立ち上がる。
俺もなんとなく立ち上がる。
「はーい。ちょっと待っててね」
二人で玄関まで移動した。
この家は廊下はないのですぐだ。
中から引き戸を開ける。
「ごめんください。あの、ここはレストランランプの事務所でしょうか?」
「あっ」
そこには見覚えのある少女が立っていた。
黒髪で三つ編みで小柄な可愛い顔立ちの少女。
早朝、ドライブインのトイレでぶつかった人だ。
「あっ」
向こうも俺に気づいた。
軽く会釈する。
もしかして・・・・・・冬休みに一種にアルバイトをするのはこの子か。
そういえば、ドライブインでもレナと呼ばれていたような。
「太一、ごめんね。エアコンとかテレビはないの。まあ大広間はガンガン暖めとくから寒くはないけどね」
キャバ嬢のような容姿の美人、明子さんはそう説明する。
「いえ、10日前後くらいスマホあればなんとか」
「そう。それでコンセントここね」
改めて部屋を見てみる。
細長い畳三畳分くらいの間取り。
本当寝るだけの場所か。
しばらく眺めていた。
まあ、たこ部屋とかに比べたらましか。
「あ、そうだ」
「はい?」
「この寮のルールを説明する前に1番重要なこと」
「・・・・・・はい」
なんだか改まった感じだ。
これは相当大切な事項かも。
「太一も若い男の子だし。溜まったら抜いても構わないけど、そんときはここの個室でね」
「・・・・・・」
真面目に聞いて損した。
ジョークか?
「風呂場やトイレではやめてね。あと出勤前は軽くシャワー浴びること!」
「・・・・・・はい」
これはつっこまなきゃいけないところなんだろうか?
わからないから普通に肯定しといた。
「ほな、ご飯たべよ。朝ごはんまだでしょ?」
「あ、はい」
「待っててね。私が自慢料理ご馳走するわ」
そういえば、今回のアルバイトは食事付き。
もしかしてこんな美人が手料理を振る舞ってくれるのか。
「ん、そんじゃ太一はキャベツ洗って千切りにして。そのあとザルに入れてもっかい洗ってね」
「・・・・・・はい」
俺も手伝うのか。
†††††
今度は台所に通された。
さっきは気づかなかったが、玄関に入ってすぐの大広間ってとこの隅にそれはあった。
さすがにここは昔ながらの水道設備とかではなく、けっこう最新のものに見える。
そこで指示通りまな板と包丁を出してキャベツを切り始める。
「お、太一。なかなか手つきいいね」
明子さんが後ろから俺の仕事ぶりを観察する。
「本当ですか?」
「うん。まあウチのアルバイトってほとんどこういう仕事やな。あとは掃除」
「はあ」
「しかし・・・・・・本当切るの上手いし早いね」
「うちは両親が共働きで夜勤とか多かったんで、俺と妹は自分たちで飯作ること多かったんですよね」
「ふーん。妹さんいるの」
「はい・・・・・・って、うわあ」
なんとなく振り返って驚く。
明子さん、いつの間にか毛皮のコートを脱いでいた。
そのインナーが・・・・・・かなり際どい服だ。
今にも胸が弾け飛びそうなデザイン。
多分ノーブラ。
しかもこの人細身なのにかなり巨乳だ。
「・・・・・・」
「なんや? 凝視するくらいかまわないよ。私キャバ嬢なんだし」
慌てて視線をそらしたが、そんなことを言われる。
目のやり場に困るのわかっててそんな恰好してるのか。
「あ、でも私って彼氏いるから」
「・・・・・・」
「見るだけね」
「・・・・・・」
笑ってる。
さっきの抜くとかの発言といい、このオーナーはいたいけな少年のアルバイトをからかっているのか。
「あ、キャベツもう少し多めに切ってね」
突然仕事モードになる。
なんのなのか。
「え? これ2人分には多くないですか?」
「もう一人来る」
「あ、そうなんですか」
「でももう約束の時間なんだけどね。電話も来ないなあ」
明子さんはそういってスマホを見ている。
もう一人来るということは、約10日間の同居人になるのか。
いい人だといいが。
†††††
もう一人が来ないので食事をすることになった。
豚のショウガ焼きと野菜の味噌汁だった。
少し意外。
「朝からこういうの重い? これからそういうときは言ってね」
「いえ、全然」
テーブルと座布団を出して、明子さんと食事を始めた。
得意料理というだけある。
本当に美味い。
「おいしいです」
「そうか、良かった」
俺は夢中で食べる。
「・・・・・・」
明子さんはどこか上の空だ。
突然つぶやきだした。
「令菜《れな》。バックれかも」
「レナ・・・・・・さん?」
「はあ、トリプル狙ってたんだけど」
「トリプル?」
本当、何を言ってるかわからない。
「ほら、私は名前と名字で漢字の明が重複するでしょ?」
「はあ」
2枚目のショウガ焼きを口にしながら適当に聞いてた。
どうせしょうもない内容な気がする。
「そんで、あなたは太田太一。太が重複してるでしょ?」
「・・・・・・」
「これから来る予定だった子は、仁令令奈。令が重複してるの」
明子さんはご丁寧にテーブルにおいてたメモに漢字を書いて説明してくれてる。
「まさか、そんな理由でアルバイトを採用したんですか?」
「そうよ。今回けっこう応募してきた子多かっただけどね。書類審査でピピッって来てさ」
「・・・・・・そうですか」
深く考えないことにした。
食事を続ける。
しばらく沢庵を噛む音などだけが響いた。
明子さんは食事が俺より少し前に終わり、スマホを見ている。
「ダメね」
「・・・・・・」
「こうなったら太一には倍頑張ってもらうで」
「はい」
少しプレッシャーがかかる。
大丈夫だろうか?
そんなことを思っていると・・・・・・。
「あれ? 明子さん。何か外から聞こえませんか?」
「ん?」
玄関のほうから何か聞こえて来る気がした。
咀嚼をやめて耳をすます。
「・・・めん・・・ください」
「あ、誰か来てるね。令奈かな?」
「ごめんください」
「あっ」
今度ははっきり聞こえた。
・・・・・・どこかで聞いたような声だ。
明子さんは立ち上がる。
俺もなんとなく立ち上がる。
「はーい。ちょっと待っててね」
二人で玄関まで移動した。
この家は廊下はないのですぐだ。
中から引き戸を開ける。
「ごめんください。あの、ここはレストランランプの事務所でしょうか?」
「あっ」
そこには見覚えのある少女が立っていた。
黒髪で三つ編みで小柄な可愛い顔立ちの少女。
早朝、ドライブインのトイレでぶつかった人だ。
「あっ」
向こうも俺に気づいた。
軽く会釈する。
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