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憑依魔法習得
7話 地下ダンジョン
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目の前にオレンジ色の光がちらつく。
古代ヨーロッパの建物の地下を思わせるむき出しの壁に所々木枠組み。
魔女の館の地下に戻ってきた。
「ん?」
目の前には大正時代の衣装に大きな弓を背負った長身の美少女が。
「マリモ、もしかして待った?」
「全然。まだ約束の8時になったばかりだし」
「そう」
マリモは屈伸運動をしてる。
もしかしたら仮眠を取ってきたのかも。
「じゃあ、攻略始めようか! ・・・・・・次郎」
「・・・・・・」
にやついた顔で本名を呼ばれた。
「お前、俺の素性調べてきた?」
「うん、驚いたわ。あんたさ、命尾グループの古武術護身術部門で現在ランキング3位じゃん。顔写真付きで載ってたよ」
「え? どこに?」
「命尾学園のサイト」
「・・・・・・?」
本当だろうか?
「命尾学園のサイトに? 何で? 俺って近所の道場で習い事してるだけの高校生だぞ?」
「ま、そのうちわかるよ。とにかく行こ行こ」
背中を押される。
これは今日は教えてもらえないパターンだ。
「じゃあ、行くか」
あきらめて、二人で目の前の魔方陣の中央に立つ。
「どうせ広大なマップに繋がってるんだろうね」
「この先のプレイ動画は公開されてないんだよなあ」
「さて、何が出るかな」
喋っているうちに、目の前のマリモの姿が半透明になっていく。
ゲーム内の別の空間に飛ばされる。
†††††
新しい景色が広がる。
が、今までと大して変わらない。
等間隔に松明がかけられた地面をくりぬいたような・・・・・・通路。
「ダンジョンって奴ね。マッパーの島田くん抜けたのは痛いなあ」
マリモが歩き出しながらぼやく。
「島田くん? ああ、さっきのテールイーターって名乗ってた奴か」
「うん。ちなみに彼のことも調べたけどあんまり情報ないなあ」
「へえ」
「わかってるのは私と同じ学校の同級生ってことと・・・・・・命尾プリンセスと組んで、このゲームしてるってことだけ」
「命尾プリンセス?」
よくわからない単語が出てきた。
「なにそれ?」
「九右衛門の腹違いの妹。命尾学園じゃ有名人」
「あ、興味ねえわ」
お金持ちにありがちな隠し子とかそんなんだろうか?
本当に興味ない。
「あっそう。とにかく進もう」
「ああ」
マリモは相変わらず、タンクの俺の前を歩く。
†††††
しばらく地下ダンジョン内を歩いた。
もう時計は深夜0時、再ログインしてからかれこれ四時間もさ迷ってる。
「マリモ! また大ネズミが来るぞ!」
「はいはいっと」
「今回は多いぞ」
何度だろうか。
巨大なネズミの群れに襲われる。
体長約1メートル。
体表はは現実のネズミと違い、明るい灰色。
耳や牙は誇張されて大きくて・・・・・・。
姿形はゲーム初心者が狩る大ネズミによく似ているが、ここに出るのは知能や素早さが段違いの奴らだ。
「ち、また集まって一斉に来るな」
「うーん。ウチら集団には弱いよね」
「パラライズ!」
けっこう長めに詠唱した。
風で範囲を広げた毒魔法をぶっ放す。
「マリモ! マヒ時間は多分10秒!」
「了解!」
目の前の約20匹の大ネズミがひっくり返る。
これを動かないうちに全部狩るのは大変だ。
「ああ、今度こそゲームオーバーかな?」
「かもなあ」
集中力が落ちてきてる。
俺の素手での攻撃じゃ、多分10秒以内に倒せるのは1匹だけ。
弓使いのマリモは問題なく伸びてるネズミを一撃で倒せるけど、そんなんに短時間で弓を何回も引けない。
「やば、動き出す」
まだ5匹くらいしか倒してない。
「シュトー。もっかいパラライズ行ける?」
「ごめん無理。疲れた」
「そう、仕方ないわね」
詠唱は疲れる、さすがに短時間に何度もやるのは無理だ。
「逃げる?」
「すぐ囲まれるんだよなあ。こいつら見かけと違って知能高い上級モンスターだし、逃げられなそう」
「はあ。ネズミごときに初敗北かあ」
マリモがガッカリした言葉を漏らしたとき・・・・・・。
「タナからボタモチデース」
「ん?」
辿々しい言葉使いのやたら甲高い男の声が聞こえてきた。
「こ、黒人?」
「他プレーヤーのパーティーか。接近に気づかなかったな」
「え? ネズミ狩ってくれるの?」
「ハハハ」
数人の黒人はあっという間に伸びているネズミたちをロングソードで狩っていく。
・・・・・・どうでもいいけどみんなラッパーみたいな衣装でファンタジー感が一切ない。
「あ、倒し終わった」
「一人こっち来るぞ」
黒人の一人がこっちに来た。
何か交渉するようだ。
辿々し日本語で話しかけてきた。
「ココのネズミ、激レアデース。アナタたちがパラライズかけてくれたから倒せマシタ」
「は、はあ」
「ダカラ! 報酬をワリカンにしまセンカ?」
「う、うーん」
よく見たら、向こうのマッパーらしき人がすでに散らばったコインやドロップアイテムを回収してる。
マリモと顔を見合わす。
「うーん。アナタたちが助けてくれないとね、私たちどうせゲームオーバーだったし」
「助けたわけじゃアリマセン。横取りデース」
「あ、ああ。とにかく報酬はいいや。そのかわり情報くれよ」
「あ、できれば英語でやり取りしたいわ。見たところあなたたちアメリカ人かな?」
「そ、そうデスカ」
黒人のプレーヤーは最後のマリモの発言に悲しそうな顔をした。
このまま辿々しい日本語でやり取りを続けたかったのか。
†††††
マリモがしばらく英語で黒人のグループと会話していた。
俺はメニューの翻訳機能を使ってなんとか彼らの会話内容についていこうと試みる。
「シュトー。話聞き終わったよ」
「マジ?」
「グッバイ、ビューティホーガール・・・・・・アンド忍者ボーイ」
「あ、はい。どうも」
陽気な黒人たちは去っていく。
とりあえず手を振っておいた。
「それでなんて?」
内容が気になる。
とにかく聞いてみた。
「んー。残念な情報とそこそこ良い情報が」
「・・・・・・ゲームにありがちだな」
「えっとね、悪いほうから」
レーダーを見る限り、近くにモンスターはいない。
マリモは近くに落ちてた酒樽を立てて座り込む。
俺も同じように座った。
「まずね。強力な憑依魔法を覚えるなら、この先の坑道を抜けて地下の街を抜けて神殿のボスを倒さなきゃいけないって」
「うわあ。それにかかる時間は?」
「まだ達成した人いないって。さっきの人たち、エーテルランドストーリーの世界ランキング1000位台のA級プレーヤーの集まりだけど・・・・・・」
「うん」
「3か月かけてまだ神殿までたどり着けてないって」
「じょ、冗談じゃねえ。九右衛門が出した条件は夏休み中に他のミッションクリアだぞ」
「そうねえ」
マリモはそう言って、酒樽の上で足を組む。
「それを狙うのは現実的じゃないわね」
「ああ、それで良い情報のほうは?」
「えっとね。低レベルの憑依魔法なら・・・・・・この魔女の館の地下に潜むゴーストとかフェアリーとかとも出来るって」
「へえ」
数秒間、考えこんだ。
「本命のミッションに参加する条件って、何でもいいから憑依魔法を習得してればいいんだよな?」
「うん。その代わり、下位の憑依魔法なんてほとんど意味不明な効果しか出せないみたいだけど」
「・・・・・・背に腹はかえられないな。俺たちは現実のほうでの免許皆伝が目的なわけだし」
「そうね。フェアリー探しに切り替えね」
話はまとまった。
「・・・・・・」
時計をチラリと見た。
いつの間にか午前1時。
朝までにフェアリーを見つけられるだろうか。
古代ヨーロッパの建物の地下を思わせるむき出しの壁に所々木枠組み。
魔女の館の地下に戻ってきた。
「ん?」
目の前には大正時代の衣装に大きな弓を背負った長身の美少女が。
「マリモ、もしかして待った?」
「全然。まだ約束の8時になったばかりだし」
「そう」
マリモは屈伸運動をしてる。
もしかしたら仮眠を取ってきたのかも。
「じゃあ、攻略始めようか! ・・・・・・次郎」
「・・・・・・」
にやついた顔で本名を呼ばれた。
「お前、俺の素性調べてきた?」
「うん、驚いたわ。あんたさ、命尾グループの古武術護身術部門で現在ランキング3位じゃん。顔写真付きで載ってたよ」
「え? どこに?」
「命尾学園のサイト」
「・・・・・・?」
本当だろうか?
「命尾学園のサイトに? 何で? 俺って近所の道場で習い事してるだけの高校生だぞ?」
「ま、そのうちわかるよ。とにかく行こ行こ」
背中を押される。
これは今日は教えてもらえないパターンだ。
「じゃあ、行くか」
あきらめて、二人で目の前の魔方陣の中央に立つ。
「どうせ広大なマップに繋がってるんだろうね」
「この先のプレイ動画は公開されてないんだよなあ」
「さて、何が出るかな」
喋っているうちに、目の前のマリモの姿が半透明になっていく。
ゲーム内の別の空間に飛ばされる。
†††††
新しい景色が広がる。
が、今までと大して変わらない。
等間隔に松明がかけられた地面をくりぬいたような・・・・・・通路。
「ダンジョンって奴ね。マッパーの島田くん抜けたのは痛いなあ」
マリモが歩き出しながらぼやく。
「島田くん? ああ、さっきのテールイーターって名乗ってた奴か」
「うん。ちなみに彼のことも調べたけどあんまり情報ないなあ」
「へえ」
「わかってるのは私と同じ学校の同級生ってことと・・・・・・命尾プリンセスと組んで、このゲームしてるってことだけ」
「命尾プリンセス?」
よくわからない単語が出てきた。
「なにそれ?」
「九右衛門の腹違いの妹。命尾学園じゃ有名人」
「あ、興味ねえわ」
お金持ちにありがちな隠し子とかそんなんだろうか?
本当に興味ない。
「あっそう。とにかく進もう」
「ああ」
マリモは相変わらず、タンクの俺の前を歩く。
†††††
しばらく地下ダンジョン内を歩いた。
もう時計は深夜0時、再ログインしてからかれこれ四時間もさ迷ってる。
「マリモ! また大ネズミが来るぞ!」
「はいはいっと」
「今回は多いぞ」
何度だろうか。
巨大なネズミの群れに襲われる。
体長約1メートル。
体表はは現実のネズミと違い、明るい灰色。
耳や牙は誇張されて大きくて・・・・・・。
姿形はゲーム初心者が狩る大ネズミによく似ているが、ここに出るのは知能や素早さが段違いの奴らだ。
「ち、また集まって一斉に来るな」
「うーん。ウチら集団には弱いよね」
「パラライズ!」
けっこう長めに詠唱した。
風で範囲を広げた毒魔法をぶっ放す。
「マリモ! マヒ時間は多分10秒!」
「了解!」
目の前の約20匹の大ネズミがひっくり返る。
これを動かないうちに全部狩るのは大変だ。
「ああ、今度こそゲームオーバーかな?」
「かもなあ」
集中力が落ちてきてる。
俺の素手での攻撃じゃ、多分10秒以内に倒せるのは1匹だけ。
弓使いのマリモは問題なく伸びてるネズミを一撃で倒せるけど、そんなんに短時間で弓を何回も引けない。
「やば、動き出す」
まだ5匹くらいしか倒してない。
「シュトー。もっかいパラライズ行ける?」
「ごめん無理。疲れた」
「そう、仕方ないわね」
詠唱は疲れる、さすがに短時間に何度もやるのは無理だ。
「逃げる?」
「すぐ囲まれるんだよなあ。こいつら見かけと違って知能高い上級モンスターだし、逃げられなそう」
「はあ。ネズミごときに初敗北かあ」
マリモがガッカリした言葉を漏らしたとき・・・・・・。
「タナからボタモチデース」
「ん?」
辿々しい言葉使いのやたら甲高い男の声が聞こえてきた。
「こ、黒人?」
「他プレーヤーのパーティーか。接近に気づかなかったな」
「え? ネズミ狩ってくれるの?」
「ハハハ」
数人の黒人はあっという間に伸びているネズミたちをロングソードで狩っていく。
・・・・・・どうでもいいけどみんなラッパーみたいな衣装でファンタジー感が一切ない。
「あ、倒し終わった」
「一人こっち来るぞ」
黒人の一人がこっちに来た。
何か交渉するようだ。
辿々し日本語で話しかけてきた。
「ココのネズミ、激レアデース。アナタたちがパラライズかけてくれたから倒せマシタ」
「は、はあ」
「ダカラ! 報酬をワリカンにしまセンカ?」
「う、うーん」
よく見たら、向こうのマッパーらしき人がすでに散らばったコインやドロップアイテムを回収してる。
マリモと顔を見合わす。
「うーん。アナタたちが助けてくれないとね、私たちどうせゲームオーバーだったし」
「助けたわけじゃアリマセン。横取りデース」
「あ、ああ。とにかく報酬はいいや。そのかわり情報くれよ」
「あ、できれば英語でやり取りしたいわ。見たところあなたたちアメリカ人かな?」
「そ、そうデスカ」
黒人のプレーヤーは最後のマリモの発言に悲しそうな顔をした。
このまま辿々しい日本語でやり取りを続けたかったのか。
†††††
マリモがしばらく英語で黒人のグループと会話していた。
俺はメニューの翻訳機能を使ってなんとか彼らの会話内容についていこうと試みる。
「シュトー。話聞き終わったよ」
「マジ?」
「グッバイ、ビューティホーガール・・・・・・アンド忍者ボーイ」
「あ、はい。どうも」
陽気な黒人たちは去っていく。
とりあえず手を振っておいた。
「それでなんて?」
内容が気になる。
とにかく聞いてみた。
「んー。残念な情報とそこそこ良い情報が」
「・・・・・・ゲームにありがちだな」
「えっとね、悪いほうから」
レーダーを見る限り、近くにモンスターはいない。
マリモは近くに落ちてた酒樽を立てて座り込む。
俺も同じように座った。
「まずね。強力な憑依魔法を覚えるなら、この先の坑道を抜けて地下の街を抜けて神殿のボスを倒さなきゃいけないって」
「うわあ。それにかかる時間は?」
「まだ達成した人いないって。さっきの人たち、エーテルランドストーリーの世界ランキング1000位台のA級プレーヤーの集まりだけど・・・・・・」
「うん」
「3か月かけてまだ神殿までたどり着けてないって」
「じょ、冗談じゃねえ。九右衛門が出した条件は夏休み中に他のミッションクリアだぞ」
「そうねえ」
マリモはそう言って、酒樽の上で足を組む。
「それを狙うのは現実的じゃないわね」
「ああ、それで良い情報のほうは?」
「えっとね。低レベルの憑依魔法なら・・・・・・この魔女の館の地下に潜むゴーストとかフェアリーとかとも出来るって」
「へえ」
数秒間、考えこんだ。
「本命のミッションに参加する条件って、何でもいいから憑依魔法を習得してればいいんだよな?」
「うん。その代わり、下位の憑依魔法なんてほとんど意味不明な効果しか出せないみたいだけど」
「・・・・・・背に腹はかえられないな。俺たちは現実のほうでの免許皆伝が目的なわけだし」
「そうね。フェアリー探しに切り替えね」
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