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王都の怪人
10話 元伯爵令嬢に殴られていた悪友
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トレイシーの語るケイト様の裏の顔。
とても気になる。
「よっと」
もう完全に寝る気は無くなった。
起き上がって簡易的な釜戸に行き、火を付けた。
「少し待っててくれ、咽が渇いた」
「ああ」
「お茶、お前も飲むだろ?」
「コーヒーがいい。ミルクと砂糖たっぷりでな」
「はいはい」
言われたとおりに準備する。
お湯が沸くまでの間、これから話題に上るケイト様の事を頭に思い浮かべていた。
ショートカットのプラチナブロンドの美しい髪。
小柄ながら、気品溢れる顔立ち。
暴力的でガサツながらも、生命力と若さにあふれる立ち振る舞い。
やはりベアトリクス様に負けず劣らず魅力的な女性だ。
「ほらよ」
「ありがとう。これ飲んだら眠れなくなる。お前のせいだ」
「……」
礼なんだか悪態なんだかわからない言葉を聞きながら、簡易的なベッドに腰掛けた。
トレイシーも起き上がり、似たように向かいのベッドに腰掛け、熱々のコーヒーにフーフーと息をかけ始める。
「それで? ケイト様の裏の顔とは?」
「アハハ、お前楽しそうだな。相変わらずだ」
「そりゃあ使用人として、主の一家が人格者である必要はないし」
「自分に危害を加えて来ないなら、多少壊れてるほうが見てて面白いか」
「そんなとこ」
話が脱線しそうだが、構わず聞いた。
紅茶の香りを楽しみながら耳を傾ける。
「わからんでもないな。俺も大旦那様の女好きのおこぼれもらったりしてるし」
「へえ」
「あの爺さん、女に飽きると口止めの意味もこめて使用人にまわすんだよ」
「……へえ」
話題に上った老人、なんとなく私と気が合いそうな気がする。
「それでな、ケイト・カミラ・クルックの裏の顔の話だ」
「ああ」
「あの子な、普段は少しお転婆程度だけどな……興奮すると人を殴る」
「……」
「驚いたか?」
「……」
別の意味で驚いた。
よく知っている事だった。
さんざん引っ張ってそれか。
「そんなの知ってるよ。少し前にあの子が大暴れするのを見た。その時ベアトリクス様を殴ったし」
「な、なにぃ?」
「はあ、期待して損した」
少し温くなった紅茶を飲み干す。
だいたい日常会話のオチなんてそんなものか。
「ベアトリクス様、殴られたりしてるのか」
「まあ本人がちょいちょいケイト様を挑発するんだがな」
「自業自得? それも意外だな。でも俺の場合はなぜあのお嬢様に殴られたかわからないよ」
「……ケイト様に殴られたの、お前かよ」
考えを変えた。
そのエピソードは笑い話として面白そうだ。
†††††
ガッシリした体格の高い鼻の青年、トレイシーとの会話は続く。
話の流れは、彼が去年の射撃大会でケイト様と得点争いをしていた時の事に……。
「あの子射撃の腕はまさに天賦の才を持った者のそれだった」
「へえ、お前がそこまで言うなんてな」
そう、私の認識では目の前のトレイシーこそがその分野において天才なのだが。
「てっきり大人の男に混じって貴族の少女が混じってる。そのシチュエーションが面白くて、多少は周囲が持ち上げたのかと思っていた」
「逆だ逆。ケイトは少し不利な状況だった。みんな大人げない腕自慢だったからな」
「お前も?」
「もちろん。精神的にプレッシャーをかけて失敗するように仕向けてた」
「……お前も殴られたのは自業自得なんじゃ」
悪友の性格を忘れてた。
自己紹介通り、大人げない腕自慢。
その化身みたいた男だった。
「いやあ、彼女。その件は楽しんでる風に見えたなあ」
「楽しんでる……だと?」
「ああ、むしろ嬉々とした顔で大人たちと渡り合ってた。まるで自分が一人前と扱われるのが嬉しいかのような……」
「……」
流れで、自分の一番の目的を思い出す。
未だつかめないあの美少女の、かけて欲しい言葉と禁句。
もしかしてこのエピソードは核心を付けるものではないだろうか。
「詳しく話せ」
「な、なんだよ? 急に鼻息を荒くして」
「いいから!」
「わ、わかったよ」
私の態度に戸惑いながらも、そのエピソードの続きが語られる。
「ほら、射撃大会ってけっこう時間かかるだろ?」
「いや、知らんが」
「……とにかく時間かかるもんなんだよ」
「それで?」
「ケイトは昼飯食ってるときも、移動中も、大人と対等に話してた」
「……へえ」
「俺なんかいつの間にか、身分の差とか年齢差とか、男女の垣根を超えて彼女をライバルと認めてた」
「……」
何かに没頭してる奴は周囲の人間とそうなる事があるが……。
問題はケイト様のその時の表情や発言だ。
「ケイト様、その時楽しそうだったんだよな?」
「ん? ああ」
「子供がはしゃぐ感じだったか?」
「んん? 変なことを気にする奴だな」
「いいから教えてくれよ」
「そう言われるとそうかな? 周りが見えなくなってた気がする」
「……」
これは、ケイト様攻略の糸口が見えてきた気がする。
大人たちに一人前と扱われる事?
それとも身分を超えてフレンドリーな態度を取られること?
はたまた単に自分と同等のスキルを持つ者との競技が楽しかった?
とにかく本人にカマをかけるべき材料が増えた。
「でもなあ。急に発狂するんだもんな」
「……ほう」
「そこで俺も、彼女がわがままな貴族のお嬢様だって思いだした感じだった」
「それも……詳しく教えてくれ」
これは、彼女の禁句を知る手がかりになるかもしれない。
それは攻略中は好感度を下げるのを防ぐため。
飽きてからは向こうから後腐れなく身を引かせるために必要な要素。
トレイシーの言葉を聞きのがさないように集中する。
「ああ、ケイトは競技中に突然……無意味に猿の親子を撃ち始めた。笑いながら」
「……え?」
「周りは当然それを咎めた。紳士の狩りはあくまで狩猟がテーマだからな。虐殺はいけない」
……ケイト様の意外な一面を聞いた。
そう、それこそ凶暴や感情の起伏が激しいとか、そんなことよりずっと驚くネタだ。
あの天真爛漫なイメージのケイト様が、笑いながら無意味な虐殺をした?
「そこでケイト様はお前に殴りかかったのか?」
「違う。その時はケイトは顔が真っ青になって震えだしてな。いろいろ言い訳をし始めた」
「……言い訳?」
「ああ。誤射だとか、あの猿の親子は作物を荒らす害獣だから撃っても構わなかったとか」
「へえ」
「まあ、子供のやったことだからな。射撃大会に参加していた面子はそれ以上何も言わなかった」
「……ならケイト様はなぜお前に殴りかかったんだ?」
「それはな……」
ツバを飲み込む。
夜通し話して得た情報の核が、次の言葉で得られた気がする。
「今思えば失言だった。俺は彼女に、まあ人間に近い動物を殺す快感はわからないでもないが、って告げたんだ」
「……おいおい。それを当時十五の小娘に言ったのか?」
「俺もハイになってた。反省してる」
「それで?」
「次の瞬間ケイトは豹変した。違う! 違う! と叫びながら私に殴りかかってきた」
「……」
違うと叫んでいた?
つまり否定が彼女の暴れる原動力なのか。
他の事も気になる。
「投げ技は?」
「なんだ知ってるのか。パンチをすべて受け止めたら今度は投げ技を仕掛けて来たなあ」
「……お前、もしかして無傷だったのか?」
「そりゃそうだ。これでも護身術には心得がある」
「なるほど」
「でもあの動きの鋭さ。一般人は大の男もやられるぞ」
「ああ、同僚がケイト様に投げられるのを見た」
「うへえ。お前の職場は刺激的なんだな」
そのあとも悪友との話は弾んだ。
しかしかなりの収穫だ。
ケイト様への禁句のほうもある程度あたりがついた。
とても気になる。
「よっと」
もう完全に寝る気は無くなった。
起き上がって簡易的な釜戸に行き、火を付けた。
「少し待っててくれ、咽が渇いた」
「ああ」
「お茶、お前も飲むだろ?」
「コーヒーがいい。ミルクと砂糖たっぷりでな」
「はいはい」
言われたとおりに準備する。
お湯が沸くまでの間、これから話題に上るケイト様の事を頭に思い浮かべていた。
ショートカットのプラチナブロンドの美しい髪。
小柄ながら、気品溢れる顔立ち。
暴力的でガサツながらも、生命力と若さにあふれる立ち振る舞い。
やはりベアトリクス様に負けず劣らず魅力的な女性だ。
「ほらよ」
「ありがとう。これ飲んだら眠れなくなる。お前のせいだ」
「……」
礼なんだか悪態なんだかわからない言葉を聞きながら、簡易的なベッドに腰掛けた。
トレイシーも起き上がり、似たように向かいのベッドに腰掛け、熱々のコーヒーにフーフーと息をかけ始める。
「それで? ケイト様の裏の顔とは?」
「アハハ、お前楽しそうだな。相変わらずだ」
「そりゃあ使用人として、主の一家が人格者である必要はないし」
「自分に危害を加えて来ないなら、多少壊れてるほうが見てて面白いか」
「そんなとこ」
話が脱線しそうだが、構わず聞いた。
紅茶の香りを楽しみながら耳を傾ける。
「わからんでもないな。俺も大旦那様の女好きのおこぼれもらったりしてるし」
「へえ」
「あの爺さん、女に飽きると口止めの意味もこめて使用人にまわすんだよ」
「……へえ」
話題に上った老人、なんとなく私と気が合いそうな気がする。
「それでな、ケイト・カミラ・クルックの裏の顔の話だ」
「ああ」
「あの子な、普段は少しお転婆程度だけどな……興奮すると人を殴る」
「……」
「驚いたか?」
「……」
別の意味で驚いた。
よく知っている事だった。
さんざん引っ張ってそれか。
「そんなの知ってるよ。少し前にあの子が大暴れするのを見た。その時ベアトリクス様を殴ったし」
「な、なにぃ?」
「はあ、期待して損した」
少し温くなった紅茶を飲み干す。
だいたい日常会話のオチなんてそんなものか。
「ベアトリクス様、殴られたりしてるのか」
「まあ本人がちょいちょいケイト様を挑発するんだがな」
「自業自得? それも意外だな。でも俺の場合はなぜあのお嬢様に殴られたかわからないよ」
「……ケイト様に殴られたの、お前かよ」
考えを変えた。
そのエピソードは笑い話として面白そうだ。
†††††
ガッシリした体格の高い鼻の青年、トレイシーとの会話は続く。
話の流れは、彼が去年の射撃大会でケイト様と得点争いをしていた時の事に……。
「あの子射撃の腕はまさに天賦の才を持った者のそれだった」
「へえ、お前がそこまで言うなんてな」
そう、私の認識では目の前のトレイシーこそがその分野において天才なのだが。
「てっきり大人の男に混じって貴族の少女が混じってる。そのシチュエーションが面白くて、多少は周囲が持ち上げたのかと思っていた」
「逆だ逆。ケイトは少し不利な状況だった。みんな大人げない腕自慢だったからな」
「お前も?」
「もちろん。精神的にプレッシャーをかけて失敗するように仕向けてた」
「……お前も殴られたのは自業自得なんじゃ」
悪友の性格を忘れてた。
自己紹介通り、大人げない腕自慢。
その化身みたいた男だった。
「いやあ、彼女。その件は楽しんでる風に見えたなあ」
「楽しんでる……だと?」
「ああ、むしろ嬉々とした顔で大人たちと渡り合ってた。まるで自分が一人前と扱われるのが嬉しいかのような……」
「……」
流れで、自分の一番の目的を思い出す。
未だつかめないあの美少女の、かけて欲しい言葉と禁句。
もしかしてこのエピソードは核心を付けるものではないだろうか。
「詳しく話せ」
「な、なんだよ? 急に鼻息を荒くして」
「いいから!」
「わ、わかったよ」
私の態度に戸惑いながらも、そのエピソードの続きが語られる。
「ほら、射撃大会ってけっこう時間かかるだろ?」
「いや、知らんが」
「……とにかく時間かかるもんなんだよ」
「それで?」
「ケイトは昼飯食ってるときも、移動中も、大人と対等に話してた」
「……へえ」
「俺なんかいつの間にか、身分の差とか年齢差とか、男女の垣根を超えて彼女をライバルと認めてた」
「……」
何かに没頭してる奴は周囲の人間とそうなる事があるが……。
問題はケイト様のその時の表情や発言だ。
「ケイト様、その時楽しそうだったんだよな?」
「ん? ああ」
「子供がはしゃぐ感じだったか?」
「んん? 変なことを気にする奴だな」
「いいから教えてくれよ」
「そう言われるとそうかな? 周りが見えなくなってた気がする」
「……」
これは、ケイト様攻略の糸口が見えてきた気がする。
大人たちに一人前と扱われる事?
それとも身分を超えてフレンドリーな態度を取られること?
はたまた単に自分と同等のスキルを持つ者との競技が楽しかった?
とにかく本人にカマをかけるべき材料が増えた。
「でもなあ。急に発狂するんだもんな」
「……ほう」
「そこで俺も、彼女がわがままな貴族のお嬢様だって思いだした感じだった」
「それも……詳しく教えてくれ」
これは、彼女の禁句を知る手がかりになるかもしれない。
それは攻略中は好感度を下げるのを防ぐため。
飽きてからは向こうから後腐れなく身を引かせるために必要な要素。
トレイシーの言葉を聞きのがさないように集中する。
「ああ、ケイトは競技中に突然……無意味に猿の親子を撃ち始めた。笑いながら」
「……え?」
「周りは当然それを咎めた。紳士の狩りはあくまで狩猟がテーマだからな。虐殺はいけない」
……ケイト様の意外な一面を聞いた。
そう、それこそ凶暴や感情の起伏が激しいとか、そんなことよりずっと驚くネタだ。
あの天真爛漫なイメージのケイト様が、笑いながら無意味な虐殺をした?
「そこでケイト様はお前に殴りかかったのか?」
「違う。その時はケイトは顔が真っ青になって震えだしてな。いろいろ言い訳をし始めた」
「……言い訳?」
「ああ。誤射だとか、あの猿の親子は作物を荒らす害獣だから撃っても構わなかったとか」
「へえ」
「まあ、子供のやったことだからな。射撃大会に参加していた面子はそれ以上何も言わなかった」
「……ならケイト様はなぜお前に殴りかかったんだ?」
「それはな……」
ツバを飲み込む。
夜通し話して得た情報の核が、次の言葉で得られた気がする。
「今思えば失言だった。俺は彼女に、まあ人間に近い動物を殺す快感はわからないでもないが、って告げたんだ」
「……おいおい。それを当時十五の小娘に言ったのか?」
「俺もハイになってた。反省してる」
「それで?」
「次の瞬間ケイトは豹変した。違う! 違う! と叫びながら私に殴りかかってきた」
「……」
違うと叫んでいた?
つまり否定が彼女の暴れる原動力なのか。
他の事も気になる。
「投げ技は?」
「なんだ知ってるのか。パンチをすべて受け止めたら今度は投げ技を仕掛けて来たなあ」
「……お前、もしかして無傷だったのか?」
「そりゃそうだ。これでも護身術には心得がある」
「なるほど」
「でもあの動きの鋭さ。一般人は大の男もやられるぞ」
「ああ、同僚がケイト様に投げられるのを見た」
「うへえ。お前の職場は刺激的なんだな」
そのあとも悪友との話は弾んだ。
しかしかなりの収穫だ。
ケイト様への禁句のほうもある程度あたりがついた。
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