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24.※ 欲情の光

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触れただけの唇は、ゆっくりと、離れていった。


「・・・・・・マコ・・ト・・・・」


オレの口から、掠れた声がこぼれる。




今、自分の身に起こったことが理解できない。




オレ、マコトに、キス、された・・・・?




ぼーっとしてマコトを見つめるオレの視線の先で、マコトはきゅって、眉根を寄せた。




無言のままオレの腕を掴むと、ぐいって引っぱる。

「え、ちょ・・・・・っ」

マコトは強い力でオレの腕を引いて歩いて行き、オレは転びそうになりながら何とかマコトについていく。


「マコトッ・・・?」


マコトは店の脇の、狭い路地へと入っていく。



ぐいぐいオレを引っ張って行くマコトに、オレはどうすることもできなくて無言のまま。


人の多い通りからある程度離れると、マコトは壁にオレの背中を押し付けた。


オレの両側の壁にマコトは手をついて、オレのことを囲う。



「マ、コト。 どうしたんだよ・・・・?」

オレの口から出た声は、やっぱり掠れていて。


マコトの眼鏡の奥の瞳は、熱を持っていた。



「・・・・・言っただろ。 ・・・・・レイキのコト、好きかもって」



マコトが、もう一度オレにカオを寄せてくる。


「やめろっ・・・・!」


オレはカオを背けようとするが、マコトの両手がオレのカオを包んで、避けられないようにした。




「んっ・・・・・・」



さっきとは違って、深く、唇が重なる。



薄く開いていた唇の間から、マコトのアツイ舌が入ってきた。



「んんっ・・・・!」



オレの舌が絡め取られる。



ぞくって、腰に、しびれが走った。




オレはマコトの腕を掴んで放させようとするが、うまく力が入らない。



「んっ・・・・・ふ・・・・・」



しばらく舌を絡められて。


マコトはゆっくりと、唇を離した。


2人の唇の間を、銀糸が伝う。




「マコト・・・・ なに、やってんだ・・・・!」


睨みつけると、マコトは熱に浮かされた表情をしていた。



マコトのこんな表情、初めて、見る・・・・・・



「レイキ・・・・・! お前、やばい・・・・!」


マコトはオレの首筋に唇を寄せる。


ちゅって、そこにキスをされて。




「んんっ・・・・!」


ぞくって、快感が走って、オレは思わず身をよじる。



「レイキ・・・・・!」


マコトの瞳には、欲情の光。


「その反応、反則、だろ・・・・・!」



だ、って、

ぞくぞくして。

声、が。


マコトはオレの耳を舐めてきた。



ぴちゃっ。



「んっ・・・・・!」


頭に響く水音に、また、カラダが反応する。



ど、うしよ。

カラダが熱くなってくる・・・・・!



「レイキ・・・・・こういうことされるの、慣れてるのか・・・・・?」



マコトが、オレの首筋を舐めながら聞いてくる。 そして手は、オレの服の裾から中に入ってきた。

つっと、オレの肌を撫でる。



「んなこと、ねー・・・・・っ・・・・・んっ」



オレは自分の手を口元に当てて、声が漏れるのを防ごうとする。

でも、オレのカラダは、マコトの舌が、手が、オレの肌を滑るたびに、ぴくぴく、反応してしまってて。



「も、マコト、やめて・・・・」

オレは涙目になりながら訴える。


だって、これ、まずい。


マコトはオレを見て、ニッて口角を持ち上げた。


「だから、その反応、反則だって」




ぐって、マコトが腰をオレに押し付けてきた。


カタチを変えたモノを、服越しに感じる。



マコト・・・・こんなに・・・・・・

オレに、欲情してる・・・・のか・・・・・?



「マコト・・・・オレ、男、だぜ・・・?」


「・・・・・分かってる」


「さ、酒のせいだろ・・・・ マコトでも、そんな酔うんだな・・・・・」


「ちがう」



マコトはまっすぐにオレを見る。



「・・・・・こんなことしてんのは、酒の勢いかも。 でも」



服の中のマコトの手は上にあがってきて、


「んッ・・・や」


オレの胸の突起を刺激した。



「こういうことしてみたいって、酒、飲んでなくても考えてたから」



え?

前から、考えてたって、ことか・・・・?



「レイキ・・・・・・」



マコトの手が、オレの下腹部へ降りていく。



「だ、ダメ・・・・・!」



力が入らない手で、マコトの肩をぐって押した。

でもマコトはびくともしない。



片方の手はオレの股間へ伸びて、もう片方はオレの唇をそっとなぞった。



マコトの瞳には、欲情の光が揺れている。 そしてその表情には、とても色気があった。



思わず、マコトの表情に見入ってしまう。


やっぱ、カッコいい・・・・・

もちろん、あきらほどじゃない、けど。



ダメだ・・・・・・


このままじゃ、快感に、流される・・・・・!




オレは口を開けて、唇をなぞっているマコトの親指を舐めた。

マコトが口角を持ち上げて、オレの口の中に、指を入れてくる。





その、指を。



「いっ・・・・て・・・・!!」



容赦なく、オレは噛んだ。





マコトのカオが、苦痛にゆがむ。


その隙に、オレはマコトのことを押しのけて、マコトから離れた。





マコトと距離を取って、オレは自分のカラダをぎゅって抱きしめる。




マコトは、なんで・・・・・こんなこと・・・・・・・?


でも、オレ、マコトのこと好きだし。 もちろん、友達として。

気も合うし、これからも仲良くしていきたい・・・・・・のに・・・・・




「・・・・・レイキ」


びくっ。


静かにかけられた声に、カラダが震える。


マコトの方が、見れない。




「・・・・・ゴメン・・・・・」


マコトは小さく呟いて、オレに一歩、近づいた。

オレはそれを感じて、一歩、退がる。



狭い路地だから、オレの背中はまたすぐに壁に当たった。



「・・・急に、こんなことして、ゴメン。 ・・・・怖かった、よな・・・・・・?」


優しい声色で話すマコト。

でもオレは返事が出来ず、うつむいたまま。



「オレ・・・・・やっぱ、レイキのコト、好きみたいだ」



マコトの言葉に、オレはカオを上げた。




マコトが、オレを、好き・・・・・・?




マコトはきゅって眉根を寄せて、でも口角を少し持ち上げていた。



「・・・・・こんなコト言われても、困るよな。 ゴメン・・・・・」



マコトに、オレは何も返せない。




「・・・・・送るよ、レイキ」



マコトの言葉に、オレは首を振る。


「・・・・・いい。 自分で、帰れるから」



「・・・っ、でも、レイキ今日結構飲んでただろ・・・・? 城井くんとも約束したし、ちゃんと・・・・」


「大丈夫だよ」


マコトの方は見ずに、オレは通りに戻ろうと足を踏み出した。



とたん。



ふらついて、壁に寄りかかってしまった。


何で・・・ さっきまで、なんともなかったのに・・・・・・



「レイキ。 やっぱ、酔ってんだろ」


マコトがオレの肩に触れる。


「大丈夫、だって!」


オレはマコトの手を振り払った。



やばい。 頭が、ぐらぐらしてきた。



立ってられなくなって、オレはその場にしゃがみ込む。



「大丈夫じゃないだろ。 カオ、真っ青じゃん」


マコトが心配そうなカオで、オレのことを覗き込んできた。



くそ・・・・・ なんであんなに酒、飲んじゃったんだろ・・・・・・・


ああ、そっか・・・・・


あきらと桜庭さんの、仲良い姿、見たくなかったから・・・・・

思わず、飲んじゃったんだよな・・・・・



2人が寄り添って歩いてたのを思い出す。



桜庭さん、すっげー美人だし、あきらには、お似合いだな・・・・・・・



2人のこと思い出しただけで、胸が、苦しくなって。



オレは自分の服の胸元を握りしめる。



「・・・・んで・・・・」


「・・・・・レイキ・・・・?」


「・・・なんで、オレ、男なんだろ・・・・・・・」



ぽろっ。


涙がこぼれたのが分かったけど、止まらない。


ぽろぽろ。


涙がとめどなくあふれてきて。




ふいに、ぎゅって、抱きしめられる感覚があった。



酔った頭だったけど、あきらの腕じゃないのは分かってた。



それでも何かに縋りたくて。



「あきら・・・・・・」



オレは、マコトに抱き着いていた。



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