【R18】愛しのウサギ~可愛い男の子にいいようにされる長身イケメン~

黒夜須(くろやす)

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第10話 家へ

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突然、馴れ馴れしく話しかける人物に姫路は怪訝な顔をした。お金を財布にしまいながら、何も言わずに彼をじっと見た。

「あぁ、ごめんね。俺は星優吾の同僚で、速水祐介(はやみずゆうすけ)っていうんだ。外から君と星、それから男の子が話してるのを見て、君だけ置いて行かれたから何かあったのかと。こんな時間に君みたいな小さな女の子を1人にするなんて……」

祐介は膝をおり、姫路に視線を合わせてゆっくりと話をした。心の底から心配する祐介を姫路は面倒くさいと思った。
幸い、子どもだと思っているようであるからこのまま子どものふりをして乗り切ることにした。

「……。喧嘩しちゃったんです」

姫路は手を軽く握り胸に持ってくると、悲しげに床を見た。

「優吾さんといたのは、お兄ちゃんなんですど……、姫が悪い子だから……。ここで反省してろって」
「なんと……待ってて」

祐介は携帯電話を取り出したので、慌てて姫路は彼の手を抑えて首を振った。

「待って。連絡しないでください。そしたら、姫は……おうちに戻されちゃいます。そしたら……」

(なにか、家庭の事情があるのかな……。だからって俺んちって訳に行かないよねぇ。警察は大事になるし、やはり星に連絡するしか……)

祐介が、携帯を握りしめて迷っていると姫路は彼の手を優しく揺すった。

「自分で、優吾さんに連絡します」
「それがいいね」

祐介は安堵したようで、にこりと笑った。
姫路が、携帯を出すと電話をかけたフリをしてうさの頭に言葉をおくった。

「あ、もしもし? 優吾さん?」
〈うさ? 面倒くさいことになった〉
《なんだよ》

うさの面倒くさそうな声がすぐに送られてきた。

〈ゆーごの同僚とか言う奴に話し掛けられているだよね〉
《それで?》

うさの冷たい声が頭の中に響いた。優吾との時間を邪魔されてイライラしているのを隠そうとしないうさにため息が出た。

〈助けてほしい〉
《はぁ?》
〈コイツ、私とゆーごさん、それにうさが話してる姿みてるんだよ。君らが幼い私を置いて行ったと思っている。このままだと、ゆーごさんに家に連れていかれる。いいの?〉
《はぁ? 最悪。分かった。てめぇの携帯に優吾から電話させる》
〈いや、私から掛ける〉
《分かった。番号は……》

姫路はうさとの頭での会話を切り上げると、祐介に分からないように今度は本当に電話を掛けた。一回のコールで優吾がでた。

「ゆーごさん……あの……」

今まで、頷いて話を聞いているふりをしていた為、言葉発したことで祐介の耳がピクリと動いた。

『話は、うさから聞いている。速水に代わってくれ』
「うん……」

姫路は、頷いて祐介の方を見た。彼が首を傾げると姫路は祐介に携帯電話を渡した。

「あの……、ゆーごさんが」
「俺? うん、わかったよ」

祐介は姫路から携帯電話を受け取ると、耳に当てた。

「あ、うん。俺、あのさ……」

祐介は幼い女の子を1人喫茶店に置いて行った事を注意しようとしたが、相手の言葉を聞いて黙った。

「あ、うん。いや……、でも、女の子だし、俺は一人暮らしだよ。あ、そうだけど……、うーん。わかった。明日は休みだしね」

祐介は何度か頷いて、携帯電話を姫路に差し出した。姫路は携帯電話を受け取ると耳に当てた。

『あー、俺……』

電話相手はさっきまで話していた優吾ではなくうさに代わっていた。

『まぁ、心よんでいただろうから分かるよな。今日のおめぇの宿はソイツちだ』
「あの……、それはご迷惑ではないのですか?」

姫路は祐介の目がある手前、気弱な子どもを演じた。

『なんだ、ソレ。あー、同僚とやらがいるから子どもごっこしてんだったな』

ゲラゲラと馬鹿にしたような声がしたため、姫路はムッとしたが祐介の目が気になりグッと我慢した。

『じゃねーと、同僚はお前を自宅に送るぜ。子どものフリしてんなら一人暮らしのマンションを見られたらマズイんだろ』
「そうですが……」
『あー、いつもの様に種付けすれば?』

姫路は祐介の顔を見た。彼は心配そうな顔して声を掛けたそうにしてるが、姫路が電話中であったため黙って見守っていた。

『しかし、お前メンドイことするよな。うんなことしねぇーで、女を孕ませればいいのに。で、ガキを買い取れば誘拐なんてしねぇーでもいいじゃん』

〈女の身体に興味ないんだよ。それに自分よりでかく威張ってる奴を犯すのがいい。犯されたこと誰にも言えないから後が楽だよ〉

『なんだよ。いきなり、頭に送ってくんな』
〈はぁ、相手、同僚君でもいいけど、優男ぽいし、女とヤるの避妊してそー子ども作るまで時間かかりそうー〉

『あ? 催淫効果があるから、ヤりたい気持ちが先行して上手くいくんじゃね? まぁ、俺には関係ねぇーけどな』
〈だろうね。契約して命繋げたら、もう一族に戻れないしね。まぁ、100年前のことをトラウマにしてるなら一人にしぼるものいいんじゃない。にしても。ゆーごさんのあのギャップ可愛いしね〉

『優吾に手出すんじゃねーよ』
「できませんよ……。わかりました」

姫路はそう言って電話を切り、小さく息を吐くとはいた。

「大丈夫?」

眉を下げた祐介にニコリと姫路は微笑んで、一口も飲んでいなかったコーヒーに手かけると「無理しないでいいよ」と言った。そして、コーヒーを祐介は飲んでしまった。

「大人になりたい気持ちはわかるけど、無理しないでね」

そこで、姫路は電話で優吾が言っていた言葉を思い出した。“飲めないコーヒーをかっこつけて頼んで、我儘いうから喫茶店に置きて来た”という設定であった。

姫路は無理があるだろうと思っていたが、祐介が予想外に信じていたのでその設定で話を進めることにした。

姫路は祐介を“バカ”なのかと思いながら、空になったコーヒーカップを見つめた。

「それじゃ、行こうか。ごめんね。突然、俺んち来ることになって……」
「いえ」

姫路は素直に返事をしながら、本気で自分を家に連れていこうとする祐介を見てため息しか出なかったがその気持ちが伝わらないように笑顔を作った。
鞄を背負って立ち上がり伝票を持とうとするとスッと祐介がそれを取って内容を確認した。

「うーん、大した金額ではないけど君に払わすのはひどいよね」
「お金もらってますから」

眉を寄せる祐介から伝票を取ろうとすると、彼はそれを持ち上げたので姫路は手にすることができなかった。

(自分で払うなんて健気だね)

優しげな祐介の微笑みに姫路は気持ち悪さを感じた。彼から自分への下心がまったく感じなのであった。
姫路は自分の外見が相手にどういう印象を与えているか理解していた。むしろ、そうなるように作っている。この容姿はエサだ。

姫路は地面に足をつけていると、祐介の肩に届かない身長であったためそんなに手をのばして伝票には届かなかった。

「これくらい、俺が払うよ」

(優吾はまったくこんな小さな子どもを置いて何を考えてるんだ)

下心なく純粋に心配する祐介は姫路は気持ち悪くて、仕方なった。
今まであった人間のようにこれからヤることばかりを思い浮かべながら優しくされたら甘えやすかった。
彼の利害を考えない優しさを姫路は気持ち悪く感じた。

一刻も早く、彼から離れたいと思った。

「大丈夫です。返して下さい」

姫路は、祐介の後ろにまわり、ジャンプに見えるように浮き上がると彼の膕(ひかがみ)を自分の膝頭(ひざがしら)で打撃した。すると、祐介はバランスを崩しガクリと膝を落とした。その隙に姫路は伝票を取った。

(どうしたんだ? さっきまで大人しかったのに……。俺の接し方が悪かったかな)

「あの……、君、ご……」

姫路は祐介の言葉を聞かずに、お金を払い外に出た。外は、冷たい風が吹いており姫路が来ている長袖のワンピースでは寒く感じた。

「なんなの……、同僚君気持ちが悪い……」

姫路は祐介が心の底から自分を心配することに、心地悪さを感じた。

(……って)

後ろから、自分のことを心配して不安の色に染まった者が近づいて来るのを感じてその場から逃げた。誰が追ってくるか分かったから結構、本気で走った。

走って、走って、走った。

それでも、追いつかれそうになったので、姫路は仕方なく、一目のない路地に入った。そこで姫路は飛び上がろうとした途端、足を掴まれた。そのまま、足をひかれて掴んだ人物の方に引き寄せらた。

「え……」

彼に抱きしめられて動けなくなった。
姫路の力なら、彼の腕から逃げだすことも容易であった。しかし、彼の中に不安と安堵を感じると身体に力を入れることができなかった。

「……、どうしたの? い……きなり…」

祐介は息をきらせて、必死に声を掛けた。

(俺が、何かしたなら謝るから。勝手にどこかに行かないでくれるかな)

祐介の姫路を心配する感情が言葉と共に流れてきて、姫路はどうしていいか分からなかった。姫路の外見から近づく大人を多くいたが、彼らは皆、自分を性の対象としてた。
子どもだからと馬鹿にされたり、誑かそうとして優しく接したりする者はいた。

考えていることが分かる姫路は容易に彼らを出し抜き、彼ら使い姫路は身分を上げていった。

(ごめんね。そうだよね。こんな、おっさんに家に行くってなったらいやだよね。怖いよね)

「……ごめんね」

優しく、ふあふあと暖かい祐介の気持ちに触れて、姫路は困った。

「やっぱり、星の家にいこうか? それとも君の家へ?」

言葉を選びながら、優しく姫路に声をかけた。姫路にはそれが、彼の本心であることは痛いほどよく分かった。

「あ、貴方の家で……いいです」

姫路が小さい声で言うと、祐介はそっと姫路を地面におろした。姫路は地面に足をつけると、リュックのショルダーハーネスを両手で握った。
本気で心配されるというのも悪くはなく、先ほどの彼への気持ち悪さは薄れた。

(良かった。気持ちが落ち着いたみたいだね)

「ありがとう。えっと、お腹空いたかな? 何を食べたい?」

優しく聞く祐介を姫路は不思議に思った。先ほど、自分は宙に浮ていたのだ。それを言葉にしなくとも心では疑問に思うのが普通だと思っていたが彼は一切ソレにふれてこない。ひたすら姫路に心配をしていた。

姫路にとって違和感しかない人間であった。

「別に……」

姫路が言うと、祐介は頷いて歩きだした。しばらく歩くと祐介は、コンビニに入った。そこで、何かいいか聞かれたが姫路は首を振った。

「別に要りません」
「お腹がいっぱいなのかな?」
「……はい」

小さな声で姫路が言うと、祐介は「そっか」と言ってカゴにおにぎりやパン、それに飲み物をいれた。

(どうしたら、この子の不安を取り除けかな)

祐介は会計の最中も、自宅へ向かう道のりもずっと姫路のことを考えていた。それは全て、姫路に伝わってきて戸惑いぱなしであった。
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