【R18】愛しのウサギ~可愛い男の子にいいようにされる長身イケメン~

黒夜須(くろやす)

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第37話 来客

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空が赤くなった頃、優吾は自宅の最寄り駅の改札を通った。大きな案件が終わり、早く帰ることができたため心が軽かった。

駅の階段を降りると、見覚えのある少女がウロウロしていた。

「速水の妹さん?」

声を掛けると楓は満面の笑みを見せた。優吾はすぐに駆け寄り、なるべく優しい口調で話しかけた。

「どうした? ランドセル背負って学校帰り?」

楓は真っ赤なランドセルのベルトを両手で抑えながら、困った顔して優吾を見上げた。

「お家の鍵忘れちゃったの……。だからお兄ちゃん待ってるの……」

シュンと下を向く楓に優吾は待つように言い祐介に電話をかけた。二度ほど掛けたが出る様子はなかった。

(まだ会社か? )

「速水……、お兄ちゃんは君がここにいること知らないだよね」

楓は小さく頷いた。

「お兄ちゃん、何時になるかわからないみたいだ」
「じゃ、楓、ここで待ってる」

強く頷く楓に、優吾は困った。

「いや、それは……。お父さんとお母さんは?」
「う~ん。いつも遅いよ。だから、楓はいつもご飯1人で食べる」

当たり前に様に話す楓の言葉が胸に突き刺さった。

「お兄ちゃんとは……って、彼も帰宅遅いもんな」
「うん」

頭の中にいくつか案が思い浮かびどれか最善が悩んだ。その間、楓は不安そうな顔して優吾を見ており胸に痛みを感じた。

散々考えた結果、祐介に“妹を預かっている”ことをメールして自宅に連れ行くことにした。うさの反応が気になったが、彼女を1人駅に放置することはできないし警察に連れて行ってことを大きくしたくなかった。

「ほっしーの家は大きね」
「ほっしー?」

優吾は鍵を掛けながら、楓の方も見た。

「うん。星さんだから。楓のことはカエって呼んでいいよ」
「あだ名……」

その呼び方が学生時代によく使われ懐かしさを感じながら扉を開けると、楓に入るように促した。楓は「失礼します」と行って玄関に入ると靴を脱いで揃えた。

「うん。楓はほっしーと仲良くなりたいからね」

このやり取りで楓と姫路の親友契約の件を思い出した。

「親友?」
「そうそう、もうほっしーと楓は親友だね」

楽しそうな楓に、軽い親友だなと思いながら優吾は頷いた。

家に入ると、楓を居間のソファーに案内してから2階に上がり着替えた。
居間に戻りキッチンに入ると食事の支度が途中であった。うさがいないことに疑問を感じながら、キッチンのそれには触れせず、楓にお茶だけ用意した。

家についたことで安心したのか楓は元気になり様々なことは話してくれた。

「あのさ、ほっしーお願いがあるだけど」
「何?」
「正樹さんに会いたい」
「そんなに気に入ったのか」
「うん」

優吾は少し考え、正樹が“子どもが好きだ”と言っていたのを思い出した。

「両親の帰宅は何時になる?」
「う~ん。わかんない。楓が寝た後帰ってきて、起きたら仕事行ってるんだよね」

淡々と話し楓に思わず自分の口を抑えた。自分自身、事故で家族をなくていた為一人で生活する寂しさは痛いほど理解できた。それでもその時は優吾は高校生であった。

彼女は小学生だ。まだ、両親に甘えたい年頃だろう。
独りでいる事が当たり前という態度の彼女に心がチクリとした。

ガチャリと玄関が開く音がして、それからすぐに居間の扉が開いた。

「ただいま。あ? だれ?」

帰宅したうさが目を大きくして、優吾と楓を交互に見た。そして、心をみて状況を把握したらしくニヤリと笑った。

「初めまして、楓。俺はうさって言う。俺もひめリンと同じだ。えーっと、うさリンか?」

うさは楽しそうに浮き上がると、キッチンに入って行った。それを楓は声をあげて大喜びうさの後を追った。
優吾はその状況にキョトンしてた。

「優吾、こいつ俺らのこと知ってる」
「そうなのか?」

立ち上がり、うさと楓のところにいる所へ行き料理の手伝いを始めた。楓はそれをじっと見ていた。

「あぁ、ひめリンって姫路のことだ。なんだか、アニメとごっちゃになってるみてーだけな」

優吾はうさから、レタスを受け取るとそれをちぎり、水のはったボールに入れた。それを楓がじっと見ているので「やる?」と言って渡した。彼女は嬉しそうにキャベツをちぎった。

「楓、ひめリン好き。うさリンはテレビに出てこないけど……。いいやつ?」
「あたりめーだ」

ニヤリとするうさに、楓は大喜びをした。
うさはオーブンにスイッチを入れながら、「おい」と楓に声をかけた。レタスをちぎり終わり、お皿にレタスをトマトを並べながら楓は返事をした。

「お前、優吾の後輩に会いたいんだろ」
「うん。あ、やっぱりうさリンも楓に気持ちわかるんだね」
「まぁーな。いいぜ。優吾、そいつ家に呼べよ」

ニヤニヤが止まらないうさに、優吾は即答できず悩んだ。楓の話を聞いて、正樹を楓に合わせてあげたいと思ったがうさには別の思惑があるように感じた。

「しかし……」
「明日、仕事休みじゃん。コイツ、家族と暮らしているのに一人暮らしみたいな生活してんだろ。寂しいよな」

うさは楓の方をじっと見ると、楓は何かに気づいたように大きく頷いた。そして、少し顎を引いて優吾を見上げた。

「楓、寂しいの……」

うさに何か合図を送られたことには気づいていた。だが、楓は可愛かった。

「わかった」
「本当? なら今、連絡してよ」
「いや、しかし……」

楓に急かされたが、目の前にある盛り付け中のサラダを見て言葉を濁した。すると、楓は「楓がやるー」と言いうさが構わないと頷いた為、優吾はキッチンを離れてソファーに座ると携帯電話を出した。

そんな優吾の後ろ姿をカウンター越しに見ながら、うさは楓に話かけた。

「なんで、優吾が今日早く帰ることを知っていた」
「あ、そこからバレてたの?」
「俺を舐めんなよ」

うさは茹でたジャガイモを網に出すと、皮を剥いた。それを、楓にも手伝う様に言うとジャガイモが熱くて大変そうであったが頑張っていた。

「ひめリンが教えてくれた。兄貴はひめリンとデートだって」
「やっぱりアイツの引き金か」
「楓とひめリンは親友だからね。でも、うさリンはなんで協力してくれるの? 楓が自分の家の鍵を持ってること分かってるでしょ」

楓が1つのジャガイモを剥き終わる頃にはうさは3つの剥いていた。
全て、剥き終わるとうさはそれを小さく切りボールに入れ、つぶしながら楓にバターと砂糖、牛乳を入れさせた。楓は言われた事を上手にこなしていた。

「面白そうだから」
「面白い?」
「あぁ、岡田正樹とか言う男とお前が出会うことで何か起こるかなってな」

うさはハンドミキサーを取り出すと、滑らかになるようにジャガイモを潰した。

「あー、ソイツをモノにしたいのなら手を出すのはお前が成人してからの方がいい」
「なんで?」
「どちらから誘っても、岡田正樹が悪くなるぞ。最悪刑務所だ。だから、兄貴はお前に合わせるのを反対したんだろ」
「……」

マッシュになったジャガイモのを楓に渡して、皿に盛るように指示をした。そして、オーブンから焼けたハンバーグを取り出した。

「……分かった。まずは精神的な繋がりを作ることが大切だよね」
「お前、実年齢偽ってるだろ」

うさはオーブンから出したハンバーグを皿のレタスが置いてあるところに載せた。その皿には楓が載せたマッシュポテトがあった。

「それは、ひめリンとうさリンだよね」
「真実言ってもギャグだと思われるだろ。俺は100歳超えてんだぞ」
「うさリン、じじー」

ケラケラと笑う楓も見て、そういう所は年相応だと思った。
愛情不足で精神面で偏りがあると感じた。それは、兄である祐介もそうなのだろうが彼は大人あるため、うさからそういった部分が見えなかった。

おぼんに、できた物を載せながら楓にご飯を準備するように伝えてテーブルに行ってもらった。サラダとハンバーグを持っていきながらチラリと優吾の方を見た。彼はちょうど電話を切った後であった。
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