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不機嫌全開の無言の先輩騎士の後を追う。
「え……?」
案内されたのは王女の部屋の隣だ。個室で、内装は王家と同じだ。
一介の騎士にありえない待遇。
「ここがお前の部屋だ」先輩騎士の冷たい言葉が響く。
彼の気持ちはわかる。今日入ってきた新人がこの待遇だ。不機嫌にもなる。
「あの……」声を上げようとした時、王女が登場したので黙り、跪いた。先輩騎士も跪き、頭をさげる。
グリード様に部屋を案内させていただきました」
さっきとはまるで違う態度に身分制度の力を強く感じる。
「ありがとう。もう、下がりなさい」
王女の言葉に先輩騎士は速やかにいなくなった。
「わざわざお越しいただいて恐縮です」頭を下げたまま言葉を続ける。「このような素晴らしい部屋をご用意いただき、感謝します。ですが、他の騎士と同じ部屋で構いません」
この状況が周りの騎士との溝をさらに深める。
もう手遅れかもしれない……。
「あら、騎士なんか一緒なんてお優しいですね。騎士はプライドが高いですし、一緒にいると大変でしょ」
当たり前のように、騎士を見下す。
「お心遣いは嬉しいですが、私も一騎士として務めを果たしたいです」正しくは王女に騎士にされた者だが。
「あら、貴方にはもっといい身分をあげますよ」
相変わらず、王女の都合の良いようにしか話を解釈しない。
「これでたくさん、お話できますね。いつでも、私の部屋に来ていいですからね」
近づく王女と、跪いたまま後退りをする。
「ご厚意に感謝します。ですが、お呼びでない限りは伺わないよう心がけます。護衛としての礼儀として」
『護衛』を強調すると、王女は顎に手を当てて優雅に微笑んだ。美しいが氷のような笑みだ。彼女はそのまま去った。
王女は、去るとそれを見計らった様に団長が現れた。
「グリード、大丈夫か?」団長が心配そうに駆け寄った。
団長が名前で呼んでくれたことに少し驚き、嬉しくなる。名前を呼ばれる事で、個を認められている様な感覚になった。
あれ……? 魔王様の名前って。
ふと疑問に感じた。魔王は魔王以外に呼ばれていない。自然と魔王が名前だと思っていたが違うような気がする。
団長はため息をつき「王女殿下に悪気はない。ほんとに良かれと思って行動している。それが厄介なんだ」と言った。
グリードは少し考えながら「王女様は...善意なんですね」と言うが、それを団長は鼻で笑う。
「悪意じゃないが、善意でもないだろ。ただの我儘だ」
容赦なく切り捨てた。
「あの……」遠慮がちにグリードは言った。「他の騎士たちとの関係が難しくなりそうで……。どうすればいいでしょう? 特別扱いは望んでないんです」
必死に訴えると、団長は眉を下げた。
「すまない。私は団長であるが。騎士階級。王家の決定に異議を唱える事はできない。役立たず私を責めて構わない」
頭を下げる団長にグリードは慌てて手を振る。
「いえ、団長を責めるなんて。そんなつもりは全くないんです」
頭を下げる団長に近づく。
「どうか顔を上げてください。団長は素晴らしい方です。皆を束ねて大変なのに、僕のことまで心配してくださって……」
他の騎士に見下されていたから、余計に団長の気持ちが嬉しかった。
不機嫌全開の無言の先輩騎士の後を追う。
「え……?」
案内されたのは王女の部屋の隣だ。個室で、内装は王家と同じだ。
一介の騎士にありえない待遇。
「ここがお前の部屋だ」先輩騎士の冷たい言葉が響く。
彼の気持ちはわかる。今日入ってきた新人がこの待遇だ。不機嫌にもなる。
「あの……」声を上げようとした時、王女が登場したので黙り、跪いた。先輩騎士も跪き、頭をさげる。
グリード様に部屋を案内させていただきました」
さっきとはまるで違う態度に身分制度の力を強く感じる。
「ありがとう。もう、下がりなさい」
王女の言葉に先輩騎士は速やかにいなくなった。
「わざわざお越しいただいて恐縮です」頭を下げたまま言葉を続ける。「このような素晴らしい部屋をご用意いただき、感謝します。ですが、他の騎士と同じ部屋で構いません」
この状況が周りの騎士との溝をさらに深める。
もう手遅れかもしれない……。
「あら、騎士なんか一緒なんてお優しいですね。騎士はプライドが高いですし、一緒にいると大変でしょ」
当たり前のように、騎士を見下す。
「お心遣いは嬉しいですが、私も一騎士として務めを果たしたいです」正しくは王女に騎士にされた者だが。
「あら、貴方にはもっといい身分をあげますよ」
相変わらず、王女の都合の良いようにしか話を解釈しない。
「これでたくさん、お話できますね。いつでも、私の部屋に来ていいですからね」
近づく王女と、跪いたまま後退りをする。
「ご厚意に感謝します。ですが、お呼びでない限りは伺わないよう心がけます。護衛としての礼儀として」
『護衛』を強調すると、王女は顎に手を当てて優雅に微笑んだ。美しいが氷のような笑みだ。彼女はそのまま去った。
王女は、去るとそれを見計らった様に団長が現れた。
「グリード、大丈夫か?」団長が心配そうに駆け寄った。
団長が名前で呼んでくれたことに少し驚き、嬉しくなる。名前を呼ばれる事で、個を認められている様な感覚になった。
あれ……? 魔王様の名前って。
ふと疑問に感じた。魔王は魔王以外に呼ばれていない。自然と魔王が名前だと思っていたが違うような気がする。
団長はため息をつき「王女殿下に悪気はない。ほんとに良かれと思って行動している。それが厄介なんだ」と言った。
グリードは少し考えながら「王女様は...善意なんですね」と言うが、それを団長は鼻で笑う。
「悪意じゃないが、善意でもないだろ。ただの我儘だ」
容赦なく切り捨てた。
「あの……」遠慮がちにグリードは言った。「他の騎士たちとの関係が難しくなりそうで……。どうすればいいでしょう? 特別扱いは望んでないんです」
必死に訴えると、団長は眉を下げた。
「すまない。私は団長であるが。騎士階級。王家の決定に異議を唱える事はできない。役立たず私を責めて構わない」
頭を下げる団長にグリードは慌てて手を振る。
「いえ、団長を責めるなんて。そんなつもりは全くないんです」
頭を下げる団長に近づく。
「どうか顔を上げてください。団長は素晴らしい方です。皆を束ねて大変なのに、僕のことまで心配してくださって……」
他の騎士に見下されていたから、余計に団長の気持ちが嬉しかった。
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