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先輩騎士についていきながら、小声で「グリードです。よろしければ名前で呼んでください。貴方のお名前も教えて頂けますと嬉しいです」と言った。名前で呼ぶ事で、親密度があがる。
「平民風情が」冷たい目で見られる。「ここにいろ」案内されたのは綺麗に整えられた庭園だ。先輩騎士はすぐにいなくなった。
居心地の悪さを感じ。
魔王様……。
「ん?」
花壇の奥に綺麗なドレスが見える。
ドレスの方を見ながら、護衛の姿勢を整える。
「王女様でしょうか」
花壇のそばで立ち、王女の近くにいることを示しつつも距離を保って待機する
「あら、バレてしまいましたか?」王女は微笑む。
立っている姿は美しく、王女という雰囲気がある。
「呼び出してしまいごめんなさいね。でも、お会いしたくて」
優しい笑顔を向ける。
グリードは王女に丁寧に頭を下げる。
「王女様、お呼びとあらば喜んでまいります」緊張しながら更に言葉を続ける。「何かお役に立てることがあれば仰ってください。護衛としてお側に」
『護衛』と言う言葉を強調した。
「何か、お話があるとのことでしょうか」
王女は跪くグリードを見下ろし「騎士たちとは仲良くやっていますか」心配そうに聞いた。「騎士は自尊心が高いので平民出身につめたいのです。私は心配で」
王女は悲しげな瞳をする。その姿は作られたように美しく絵になるが、グリードには完璧すぎて気持ち悪く映った。
「事前に強く伝えてはいますが」
グリードは内心ため息をついた。
王女が特定の平民を贔屓する事が騎士たちは気に入らないと言うのが分からない。
「グリードは特別ですから、なんでも私に言ってください」
可愛らしい微笑みの王女。極悪な笑みを浮かべる魔王とまるで違うのに、魔王の笑みの方が心地良い。
「大丈夫です。少しずつ慣れていきます」これ以上、『余計な事をしないでくれ』と言う思いを込め「お気遣いありがとうございます」と頭を下げた。
「グリードが強い事は知っています。訓練も騎士と仲良くする事も必要ないです」王女はきっぱりと言った。
グリードは驚き、目を大きくした。
強さの話はいいとして、他の騎士との関係をバッサリときる物言いに疑問しかわかない。
騎士団は協力する事が大切だ。
「本当はすぐ王家に迎えたいのですが、平民の貴方をすぐいれられず」王女は悲しい顔をした。「なるべく早く平民から出してあげますから」
優しい物言いだが、当たり前の様に、平民を下に見ている。
悪意を全く感じないのが、厄介だ。彼女の中で当たり前のことなのであろう。
グリードはそんな彼女と距離を置きたかった。
「ありがとうございます」礼を言いながら、言葉を選び口にする。「僕は別に平民であることを恥じていません」
真っ直ぐな目で王女を見る。
「身分より大切なのは、何のために力を使うかだと思います。王女様のご好意は嬉しいですが、仲間との絆も大事にしたいです」
仲間なんていないが、今回は仲間の定義に『騎士団の人々』と定義づけた。
魔王様がいて、民が幸せなら仲間なんて必要ない。
王女は、グリードの言葉に微笑む。「お優しいのですね」少し考え「では、こうしましよう。貴方、どこかの公爵家の養子にします。騎士にしたのが間違えでした」
「……?」
王女が何を言っているのか分からない。
「貴方は私の夫となります。騎士たちとなんて馴れ合う必要がありません」
なぜ、そうなったのか分からない。
「公爵家の養子……?」戸惑いしかない。王女様、ご厚意は嬉しいですが、そんな大げさなことは」
否定しようとしが、王女の顔を見てやめた。必死に言葉を選ぶ。それだけ、脳が溶けそうだ。
「いえ、今の立場で精一杯努めさせてください。突然の身分変更は周りを混乱させるだけです」真摯な眼差しを王女に向けた。「騎士として、まずは王女様の護衛という務めを果たします。それが僕の道です」
王女は首を傾げ、顎に人差し指を当てた。
彼女からの返答にグリードの心臓がバクバクと動いた。
「まぁ、そうですね」納得頂けた事に安堵した。「護衛騎士の方が公爵家令息になるより一緒にいれますわね。グリードの気持ちわかります。配慮しますね」
王女は楽しそうに話した。
「ありがとうございます。王女様」彼女と話すだけで寿命が縮む。
グリードは少し考え、この機会を利用しようと思った。
「もし、よければ城の周辺や王都について教えていただけませんか。任務のためにも、地理を把握しておきたくて」
「あらあら、デートですね。積極的ですね」王女が嬉しそうに笑う「いいですよ」
王女の『デート』という言葉が気になったが触れない事にした。下手に触れてヘビでも出てきたら対処に困る。
王女は丁寧に案内してくれた。城内を熱心に観察した。
「なるほど、ここが中央広場で、あちらが資料室ですね」
しっかりとした防犯対策がされている事を知った。外から崩すのは難しい。ただ、中からなら……。
「王女様、詳しく教えてくださってありがとうございます」
礼をいうと、王女を部屋まで送り騎士宿舎に戻った。
突然ににやけた同室騎士が「流石勇者様」と話しかけてきた。
意味が分からない。
冷たい目をした先輩騎士が「お前の部屋は変更だ」と一言いった。
嫌な予感しかしない。
「平民風情が」冷たい目で見られる。「ここにいろ」案内されたのは綺麗に整えられた庭園だ。先輩騎士はすぐにいなくなった。
居心地の悪さを感じ。
魔王様……。
「ん?」
花壇の奥に綺麗なドレスが見える。
ドレスの方を見ながら、護衛の姿勢を整える。
「王女様でしょうか」
花壇のそばで立ち、王女の近くにいることを示しつつも距離を保って待機する
「あら、バレてしまいましたか?」王女は微笑む。
立っている姿は美しく、王女という雰囲気がある。
「呼び出してしまいごめんなさいね。でも、お会いしたくて」
優しい笑顔を向ける。
グリードは王女に丁寧に頭を下げる。
「王女様、お呼びとあらば喜んでまいります」緊張しながら更に言葉を続ける。「何かお役に立てることがあれば仰ってください。護衛としてお側に」
『護衛』と言う言葉を強調した。
「何か、お話があるとのことでしょうか」
王女は跪くグリードを見下ろし「騎士たちとは仲良くやっていますか」心配そうに聞いた。「騎士は自尊心が高いので平民出身につめたいのです。私は心配で」
王女は悲しげな瞳をする。その姿は作られたように美しく絵になるが、グリードには完璧すぎて気持ち悪く映った。
「事前に強く伝えてはいますが」
グリードは内心ため息をついた。
王女が特定の平民を贔屓する事が騎士たちは気に入らないと言うのが分からない。
「グリードは特別ですから、なんでも私に言ってください」
可愛らしい微笑みの王女。極悪な笑みを浮かべる魔王とまるで違うのに、魔王の笑みの方が心地良い。
「大丈夫です。少しずつ慣れていきます」これ以上、『余計な事をしないでくれ』と言う思いを込め「お気遣いありがとうございます」と頭を下げた。
「グリードが強い事は知っています。訓練も騎士と仲良くする事も必要ないです」王女はきっぱりと言った。
グリードは驚き、目を大きくした。
強さの話はいいとして、他の騎士との関係をバッサリときる物言いに疑問しかわかない。
騎士団は協力する事が大切だ。
「本当はすぐ王家に迎えたいのですが、平民の貴方をすぐいれられず」王女は悲しい顔をした。「なるべく早く平民から出してあげますから」
優しい物言いだが、当たり前の様に、平民を下に見ている。
悪意を全く感じないのが、厄介だ。彼女の中で当たり前のことなのであろう。
グリードはそんな彼女と距離を置きたかった。
「ありがとうございます」礼を言いながら、言葉を選び口にする。「僕は別に平民であることを恥じていません」
真っ直ぐな目で王女を見る。
「身分より大切なのは、何のために力を使うかだと思います。王女様のご好意は嬉しいですが、仲間との絆も大事にしたいです」
仲間なんていないが、今回は仲間の定義に『騎士団の人々』と定義づけた。
魔王様がいて、民が幸せなら仲間なんて必要ない。
王女は、グリードの言葉に微笑む。「お優しいのですね」少し考え「では、こうしましよう。貴方、どこかの公爵家の養子にします。騎士にしたのが間違えでした」
「……?」
王女が何を言っているのか分からない。
「貴方は私の夫となります。騎士たちとなんて馴れ合う必要がありません」
なぜ、そうなったのか分からない。
「公爵家の養子……?」戸惑いしかない。王女様、ご厚意は嬉しいですが、そんな大げさなことは」
否定しようとしが、王女の顔を見てやめた。必死に言葉を選ぶ。それだけ、脳が溶けそうだ。
「いえ、今の立場で精一杯努めさせてください。突然の身分変更は周りを混乱させるだけです」真摯な眼差しを王女に向けた。「騎士として、まずは王女様の護衛という務めを果たします。それが僕の道です」
王女は首を傾げ、顎に人差し指を当てた。
彼女からの返答にグリードの心臓がバクバクと動いた。
「まぁ、そうですね」納得頂けた事に安堵した。「護衛騎士の方が公爵家令息になるより一緒にいれますわね。グリードの気持ちわかります。配慮しますね」
王女は楽しそうに話した。
「ありがとうございます。王女様」彼女と話すだけで寿命が縮む。
グリードは少し考え、この機会を利用しようと思った。
「もし、よければ城の周辺や王都について教えていただけませんか。任務のためにも、地理を把握しておきたくて」
「あらあら、デートですね。積極的ですね」王女が嬉しそうに笑う「いいですよ」
王女の『デート』という言葉が気になったが触れない事にした。下手に触れてヘビでも出てきたら対処に困る。
王女は丁寧に案内してくれた。城内を熱心に観察した。
「なるほど、ここが中央広場で、あちらが資料室ですね」
しっかりとした防犯対策がされている事を知った。外から崩すのは難しい。ただ、中からなら……。
「王女様、詳しく教えてくださってありがとうございます」
礼をいうと、王女を部屋まで送り騎士宿舎に戻った。
突然ににやけた同室騎士が「流石勇者様」と話しかけてきた。
意味が分からない。
冷たい目をした先輩騎士が「お前の部屋は変更だ」と一言いった。
嫌な予感しかしない。
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