【完結】愛しの魔王様~魔王(依存・執着)×勇者(積極的わんこ)~

黒夜須(くろやす)

文字の大きさ
9 / 38

9

しおりを挟む
先輩騎士についていきながら、小声で「グリードです。よろしければ名前で呼んでください。貴方のお名前も教えて頂けますと嬉しいです」と言った。名前で呼ぶ事で、親密度があがる。
「平民風情が」冷たい目で見られる。「ここにいろ」案内されたのは綺麗に整えられた庭園だ。先輩騎士はすぐにいなくなった。
居心地の悪さを感じ。

魔王様……。

「ん?」
花壇の奥に綺麗なドレスが見える。
ドレスの方を見ながら、護衛の姿勢を整える。
「王女様でしょうか」
花壇のそばで立ち、王女の近くにいることを示しつつも距離を保って待機する
「あら、バレてしまいましたか?」王女は微笑む。
立っている姿は美しく、王女という雰囲気がある。
「呼び出してしまいごめんなさいね。でも、お会いしたくて」
優しい笑顔を向ける。
グリードは王女に丁寧に頭を下げる。
「王女様、お呼びとあらば喜んでまいります」緊張しながら更に言葉を続ける。「何かお役に立てることがあれば仰ってください。護衛としてお側に」
『護衛』と言う言葉を強調した。
「何か、お話があるとのことでしょうか」
王女は跪くグリードを見下ろし「騎士たちとは仲良くやっていますか」心配そうに聞いた。「騎士は自尊心が高いので平民出身につめたいのです。私は心配で」
王女は悲しげな瞳をする。その姿は作られたように美しく絵になるが、グリードには完璧すぎて気持ち悪く映った。
「事前に強く伝えてはいますが」
グリードは内心ため息をついた。
王女が特定の平民を贔屓する事が騎士たちは気に入らないと言うのが分からない。
「グリードは特別ですから、なんでも私に言ってください」
可愛らしい微笑みの王女。極悪な笑みを浮かべる魔王とまるで違うのに、魔王の笑みの方が心地良い。
「大丈夫です。少しずつ慣れていきます」これ以上、『余計な事をしないでくれ』と言う思いを込め「お気遣いありがとうございます」と頭を下げた。
「グリードが強い事は知っています。訓練も騎士と仲良くする事も必要ないです」王女はきっぱりと言った。
グリードは驚き、目を大きくした。
強さの話はいいとして、他の騎士との関係をバッサリときる物言いに疑問しかわかない。
騎士団は協力する事が大切だ。
「本当はすぐ王家に迎えたいのですが、平民の貴方をすぐいれられず」王女は悲しい顔をした。「なるべく早く平民から出してあげますから」
優しい物言いだが、当たり前の様に、平民を下に見ている。
悪意を全く感じないのが、厄介だ。彼女の中で当たり前のことなのであろう。
グリードはそんな彼女と距離を置きたかった。
「ありがとうございます」礼を言いながら、言葉を選び口にする。「僕は別に平民であることを恥じていません」
真っ直ぐな目で王女を見る。
「身分より大切なのは、何のために力を使うかだと思います。王女様のご好意は嬉しいですが、仲間との絆も大事にしたいです」
仲間なんていないが、今回は仲間の定義に『騎士団の人々』と定義づけた。
魔王様がいて、民が幸せなら仲間なんて必要ない。
王女は、グリードの言葉に微笑む。「お優しいのですね」少し考え「では、こうしましよう。貴方、どこかの公爵家の養子にします。騎士にしたのが間違えでした」
「……?」
王女が何を言っているのか分からない。
「貴方は私の夫となります。騎士たちとなんて馴れ合う必要がありません」
なぜ、そうなったのか分からない。
「公爵家の養子……?」戸惑いしかない。王女様、ご厚意は嬉しいですが、そんな大げさなことは」
否定しようとしが、王女の顔を見てやめた。必死に言葉を選ぶ。それだけ、脳が溶けそうだ。
「いえ、今の立場で精一杯努めさせてください。突然の身分変更は周りを混乱させるだけです」真摯な眼差しを王女に向けた。「騎士として、まずは王女様の護衛という務めを果たします。それが僕の道です」
王女は首を傾げ、顎に人差し指を当てた。
彼女からの返答にグリードの心臓がバクバクと動いた。
「まぁ、そうですね」納得頂けた事に安堵した。「護衛騎士の方が公爵家令息になるより一緒にいれますわね。グリードの気持ちわかります。配慮しますね」
王女は楽しそうに話した。
「ありがとうございます。王女様」彼女と話すだけで寿命が縮む。
グリードは少し考え、この機会を利用しようと思った。
「もし、よければ城の周辺や王都について教えていただけませんか。任務のためにも、地理を把握しておきたくて」
「あらあら、デートですね。積極的ですね」王女が嬉しそうに笑う「いいですよ」
王女の『デート』という言葉が気になったが触れない事にした。下手に触れてヘビでも出てきたら対処に困る。
王女は丁寧に案内してくれた。城内を熱心に観察した。
「なるほど、ここが中央広場で、あちらが資料室ですね」
しっかりとした防犯対策がされている事を知った。外から崩すのは難しい。ただ、中からなら……。
「王女様、詳しく教えてくださってありがとうございます」
礼をいうと、王女を部屋まで送り騎士宿舎に戻った。
突然ににやけた同室騎士が「流石勇者様」と話しかけてきた。
意味が分からない。
冷たい目をした先輩騎士が「お前の部屋は変更だ」と一言いった。

嫌な予感しかしない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

【短編】淫紋を付けられたただのモブです~なぜか魔王に溺愛されて~

双真満月
恋愛
不憫なメイドと、彼女を溺愛する魔王の話(短編)。 なんちゃってファンタジー、タイトルに反してシリアスです。 ※小説家になろうでも掲載中。 ※一万文字ちょっとの短編、メイド視点と魔王視点両方あり。

冤罪で堕とされた最強騎士、狂信的な男たちに包囲される

マンスーン
BL
​王国最強の聖騎士団長から一転、冤罪で生存率0%の懲罰部隊へと叩き落とされたレオン。 泥にまみれてもなお気高く、圧倒的な強さを振るう彼に、狂った執着を抱く男たちが集結する。

鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる

結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。 冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。 憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。 誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。 鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...