【完結】愛しの魔王様～魔王（依存・執着）×勇者(積極的わんこ)～

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ルドルフを共闘者としての連帯感を覚え民衆に見えるよう肩を軽く叩きこれからの協力を暗に約束した。
次の行動について静かに思案しながら魔王への報告方法を考えていると突然、風が強くなった。
「フハハ」まるで魔王の様にルーシアが、ゆっくりと地面に降り立った。
「――ッ」ルーシアの姿を見た瞬間、心臓が早鐘を打ち顔が紅潮し喜びで体が震えた。しかし、表面上は緊張した表情を作る。
「魔王」ルドルフを含めた民に緊張が走った。
　「勇者殿。魔王が来ました」ルドルフは興奮していた。「革命は成功しました。魔王も倒して、民に平和をもたらしましょう」
ルドルフの言葉に戸惑う。
ルーシアを魔王として戦いを期待する民の視線を感じた。
「ああ」震える声を隠し押し殺しながら双剣を握る手に力を込めルーシアの反応を窺う。
しかし、彼の意図が読めない。
どう行動すべきか苦悩しながらもルーシアの考えを探った。
「皆」ルドルフが大声で叫んだ。「魔王が降臨した。革命は成功した平和まで後、少し」
民の雄叫びが聞こえる。
「勇者様もいる」ルドルフはグリードが持つ双剣に目をやった。「さぁ、いざ」
民もクワや槍など様々な武器を手にしていた。

民の期待と熱狂を感じ、胸が苦しくなったが、ルーシアの余裕の笑みに気づき何か計画があると悟った。
「待て、皆」大声で叫び民の動きを止めようとしたが上手くはいかない。
「今がチャンスです」
「行くぞ」
民は今まで以上に盛り上がっていた。
「魔王に初めて会いましたがすごいオーラですね」ルドルフは興奮ぎみに話す「魔王の被害者が貴族に集中して幸運でした」
ルーシアの被害者を受けていない民が、無抵抗のルーシアを「魔王」と言って斬りつけた。
ルーシアの頬から血が流れた。
グリードは民の行動に驚愕し我を忘れて叫んだ。
「やめろ！」
民の前に飛び出しルーシアを守るように立った。
激しい怒りに震えながら双剣を民に向け構えた。
微笑んでいたグリードの顔色は一気に変化した。冷静さを失い狂気的な目でルーシアを傷付けた民を睨んだ。

ルーシアは目の前に来たグリードを愛おしく見た。

「どういうことだ」
「裏切るのか」
「魔王は人間の敵だ」
種族だけで決めつけ、姿形で身分差別をする民は王家にそっくりであり気持ち悪さを感じた。