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オリバーの気がかり
しおりを挟む上の者に声をかけずに立ち止まるとは不躾である。
2人の行動に怒りを感じているわけではない。ただ、礼儀がなっていないという話だ。伝えなければならないと思い私はくるりと後ろ向くと早足で彼らの元へ向かった。
声をかけようとすると、ルイが立ち止まったまま口を押さえている。何やら考え事をしているようである。それを後ろからアーサーがニヤニヤしなが見ていた。
説明を求めるようにアーサーを見るとそれを気づいたようで口を開いた。
「ルイ第一王子殿下はルカ第二王子殿下の部屋から侍女が飛び出した途端にお立ち止まりになられました。声をかけずに申し訳ありません」
アーサーは優しい笑顔をつくり、私の前に移動すると胸に手をあてお辞儀をした。「そうか」と一言アーサーに返した。
このアーサーの変わり身はいつ見ても面白いと思う。公の場所では王族の序列を重んじる姿勢を見せる。
「ルイ」
私がルイの肩に触れて名前を呼ぶと、口元にあった手を下ろし顔を上げた。それから私たちに囲まれている事に気づいた。
「考え事も良いが場所を選びなさい」
城の規則を忠実に守るルイには珍しい行動であった。そもそも彼は余り物事を考えずにいわれだ事を忠実にこなす部類の人間であった。
「申し訳ありません」
私の顔見て謝罪する。その理由に興味があった。しかし、今ここで長く立ち話をするのは品格を問われる。
「改めてその考え事を聞きたい」
「はい」
ルイはすぐに返事をした。その横にいるアーサーは公の場でよく見るの笑顔を作っているが楽しいという雰囲気が伝わってくる。
おそらく、アーサーは何か知っているのだろう。
アーサーは仕事上は私を摂取として接するため彼は知っていることを全て私に話はしない。それは構わないと思っているし、本来はそうあるべきである。しかし、それが見え隠れすると気分の良いものではない。
私は進行方向に身体を向けると彼らを待たずに進んだ。すると、後からゆっくりと追いかけている足音がした。
衛兵が扉を叩き、開ける事には二人は姿勢を正して私の後ろに佇んでいた。
入室するとルカが慌てて私たちのそばにきて挨拶をする。そんなルカは顔を青ざめ髪が乱れていた。幼い事のルカの姿を思い出す容姿であった。
どうしようかと思っているとアーサーが軽く挨拶するとテーブルに向かったので私もそれに続いた。こういう時、頼りなると思う。席についてからどう切り出すべき考えているうちにアーサーとルイで話を進めてくれた。
助かる。
二人が何を考えているのかわからないが先ほどのサラの件は気にせずにオリビア嬢の誕生パーティーについて話すつもりのようだが、とうやらルカはサラの事を気にしているらしい。
私たちが入室時から青い顔しているが更に青くにて“サラ”と小さな声でつぶやいた。
また、サラが嫌とか言うのであろうか。
しかし、ルカが口にしたのはサラへの謝罪であった。それには驚愕した。アーサーも素直に驚きを言葉にしていたがルイはまた口に手をあて考え事をしている。
さっきから何を考えているのか気なるとこだが、今それを聞くべきではない。
ルカは暗い顔している。アーサーが以前はよくサラが部屋から飛び出した話をしたから姉が亡くなった日を思い出したのであろう。
しかし、サラに対してまともに会話ができないのであるならはオリビア嬢の誕生パーティー参加は難しいのではないかと思う。
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