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解除魔法陣

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 昨夜、最後に私が発動したのは“発動している魔法陣の効果を無効”にするものだ。ルイの話によると外務室では魔法陣が発動されていたらしい。その魔法陣についての説明をルイは叔父とアーサーに求めた。二人は気まずそうに眉を下げている。
 叔父はアーサーを見て頷いた。叔父の真剣な顔して両手をテーブルの上で組む姿はルイそっくりなのが笑えると思った。血が繋がらなくとも似るんだなと感心したが、部屋はそんな事を言える雰囲気ではなかった。とても重い。いつもへらへら笑っているアーサーまで真剣な顔をして説明をはじめた。

「外務室には僕が魔法陣は仕掛けた。魔法陣は二つ。一つはあの部屋を監視するためのものこれはすぐにルイにバレてしまった」

「国王陛下が記録用に紙を持っているのは不自然すぎます。どんな会議でも国王陛下が記録係をやることはありませんよね」

 ルイの指摘にアーサーは苦笑いを浮かべている。その表情はバレることが分かっていた様だ。国王陛下が記録用に紙を持つなんて誰が見ても不自然である。しかし、私は気付かなかった事反省した。
 ルイの口調は強く苛立っているように感じた。この機嫌の悪さは朝からだ。理由を聞いても教えてくれない。
 アーサーはルイの言葉に同意すると更に説明を続けた。

「もう一つはアルバート叔父上の事を忘れさせるものだよ」

 部屋を監視させる魔法陣を使うのはわかるが、なぜ従祖父のアルバート殿下を忘れさせようとするのだろうか。ハリー・ナイトの件で王族の血縁者を何度も確認したがそのたびにアルバート殿下が抜けていたことに今気づいた。昨日のルイがアルバート殿下の名前を言ったから思い出したのだ。
 アーサーは更に説明を続けたので私はアルバート殿下についての疑問の口にしなかった。私がしなくともルイが聞くだろうと思った。

「今回使った二つ魔法陣は性質が異なるものなんだ。監視する魔法陣は発動しても人体には無関係なんだけど、もう一つの忘却の魔法陣は人体に作用するんだよね。忘れさせるのだから当たり前だけどね。持続性はなく、一回発動したらおしまいというものだよ」

 私自身どちらの魔法陣の使ったことがあるので理屈はわかる。ただ、人体に作用する魔法陣はルイのウサギ耳事件以来使っていない。失敗した時、相手がどうなるか分からないため怖くなってしまったのだ。アーサーはよく使えるなと思った。
 そこで気付いた。多分、ルイはアーサーが人体に作用する魔法陣を安易に使用していることに怒っているだろう。ウサギ耳事件はルイにもトラウマになっている。

「本当は忘却の魔法陣を使うつもりはなかった。だけどルイがアルバート叔父上の話をするから使った。しかし、その魔法効果がなかったようでルイが再度アルバート叔父上のことを聞いてきたから驚いたし焦ったよ。だからもう一度忘却の魔法陣を発動したんだ」

 忘却の魔法陣が効果なかったのはルイが“発動している魔法陣の効果を無効する”魔法陣を発動していたからだと思う。
 私の気づかないところで魔法陣よる打ち消しあいが起きていた。その時、たしか私は具合が悪くなった。
 この事は私の中でなんだか引っかかり、もう一度アーサーの説明とその時の自分の行動を考え直してみた。
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