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第一章
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しおりを挟む転生してから1か月が経った。
1度も母親と父親が私に会いに来ることはないのよね。
自分の子供に興味がなさ過ぎるんじゃない?
自分で移動ができない私が会うことが出来るのは、性格の悪いカヤと乳母であるミリーとメイド長だけなんだよね。
乳母だと思ってた女性はこの宮殿のメイド長だった。
私が住んでるのは王宮にある宮殿の1つで、この宮殿には聖女の家族が生活している。
私の母親である聖女には、私の父親の他に4人も夫が居るらしい。
まだ1度も会ったことはないけど、カヤがよく愚痴を言ってるから、私の家族の情報を知ることが出来る。
カヤは私の父親が好きだから、何人も夫がいる私の母親のことが気に入らないみたいなんだよね。
私のことも嫌いなのがこの1か月でよく分かった。
この国では王族以外は基本的に一夫一妻らしいけど、聖女だけは特別に複数の夫を持つことが許されている。
それには深い理由があり、私の母親はこの世界の住人ではない。
聖女召喚されて地球から来た女性だった。
聖女召喚は元の世界に戻ることが出来ない。
私の母親以外にも過去に聖女として召喚された人達が居て、初めて召喚された聖女が、もう家族と会えないと嘆き悲しみ病んでしまったことがあるらしい。
当時の王様がそれに罪悪感を感じて、家族を1人でも多く作れるように、異世界から召喚された聖女は一妻多夫を許可して、今もそれが続いてるみたいなんだよね。
許可されたからって、地球で暮らしてた女性が素直に受け入れられる?
それが普通だった国から来た女性だったのかな?
それとも家族が1人も居ないから、支えてくれる存在を1人でも多く欲しかったとか?
私には理解できないけど、私の母親は夫を複数人持つことに違和感がない人みたいね。
そんな私の母親を、カヤは汚らわしいって毛嫌いしている。
王族以外は一夫一妻が当たり前のカヤからしたら、相手が聖女だろうと許せないでしょうね。
しかも好きな人の妻が男を侍らかしてるなんて、耐えられないかもしれない。
でもカヤは私の大切なミリーを虐めてるから、カヤが嫉妬で苦しんでいようがどうでもいいわ。
それより母親に複数人も夫がいるのだから当たり前だけど、私には父親が違う兄が2人と姉が1人いる。
全員が同じ宮殿で暮らしてるみたいだけど、修羅場になったりしないのかな?
修羅場に巻き込まれるのは嫌なんだけど…………、
………お腹すいた。
『うぎゃぁ~、ゔぁぶぅ~』
「どうしましたか?お腹空きましたか?」
ミリーお腹すいた~
ミリーは私のオムツを確認してから、私がお腹を空かせてると予想をして、胸元を開けさせておっぱいを私の前にだす。
私は夢中で母乳を飲む。
今の私には羞恥心なんてない、羞恥心と空腹だったら、空腹のほうが勝るのよね。
夢中で母乳を飲んでる私をミリーは温かく見守る。
「こんなところで胸なんて出して恥ずかしくないのかしら?孤児院出身の者には恥って概念がないのね~。私なら恥ずかしくてそんな事できないわ~」
この女何なの!?
乳母が赤子に母乳を飲まえる行為の何がイケないのよ!!
母乳を飲ませなかったら、乳母の意味がないじゃない。
「カヤ様お止めください。姫様がビックリしてしまいます。これが私の仕事です。私が仕事をしなかったら、姫様が飢えてしまいます」
最初の頃は嫌味を言われても言い返さなかったミリーが、最近ではちゃんと自分の意見を言うようになった。
カヤはそのことが余計に気に入らないらしくて、色々と嫌味を言ったり、仕事の邪魔をするようになった。
「私に口答えするなんて生意気よ!!あの女の子供がどうなろうが私には関係ないわ!!」
関係あるだろ。
一応はお前も私の専属のメイド何だから、私に何かあったらお前の責任にもなるからな。
こいつ本当にどっか他の部署に異動にならないかな?
ふぅ~、もうお腹いっぱい。
「満足されましたか?」
ミリーはカヤを無視して、私に笑いかけながら私の背中をトントンと叩く。
私はゲップをして、今度は眠気が襲ってくる。
「そいつが寝たら洗濯をやりなさいよね」
「それはカヤ様の仕事ですよね?私は姫様の側を離れるわけにはいきません」
「チッ!!何で私が下女みたいな仕事をしないといけないのよ!!お前はその赤子の面倒を見るだけの楽な仕事をしてるのに!!」
「それが仕事なのだから仕方ありません。カヤ様は姫様に嫌われてますから」
そうなんだよね。
私はカヤが近づいてきた時に、わざと大泣きをするようにしている。
無理やり抱き上げた時は大暴れして、カヤが私を落とすように誘導する。
私を落としたカヤはメイド長からお叱りを受ける。
私のミリーを虐めるからよ!!
ザマァ~
「こんな赤子のご機嫌取りをして馬鹿みたい!!こんな赤子の気分で私がこんな扱いを受けるなんて許せないわ!!」
カヤは憎しみのこもった目で私を見てくる。
あんたにお世話をされるなんて絶対に嫌だから、絶対に止めないから!!
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