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第一章
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しおりを挟むどうやって水の中から脱出するのかと思ったら、アクアが上に移動するのと同時に、私が入ったシャボン玉も自然に浮かんで行く。
わぁ~、面白い!!
アクアが居たら水の中を自由に動けるのかな?
この世界にあるのか分からないけど、地底湖とか海底神殿とか見に行きたい。
神秘的で好きなんだよね。
「シエル様が望むなら何処にでも連れて行って差し上げますよ。水の中の移動なら任せてください。地底湖や海底神殿が好きなら、私の住処も気に入るかもしれませんね」
アクアの住処?
人間が行けるような場所なの?
「人間だけでは無理でしょうね。この世界で一番深い海の海底洞窟を入って行かないと駄目ですからね。人間では魔法を使っても行けないですね」
水の精霊王が住んでるんだから当たり前だけど、とんでもない所に住んでるのね。
そんな所に住んでたら行ったり来たりするの大変じゃないの?
「精霊は特殊な移動方法があるんですよ。私みたいに水の精霊だったら、水から水に移動ができます。だから行きたい場所を指定して、その近くにある水に一瞬で移動が出来るんですよ」
チート過ぎる。
それって私を連れてても出来るの?
「出来ますよ。私は水の精霊王ですからね。契約者を連れての移動は上級精霊から出来るようになりますね。私ぐらいになると契約してなくても出来ますよ」
アクアが自分の成果を自慢してる子供に見える………
自分の有能さを必死でアピールしてる姿が、私よりずっと大人なのに可愛い過ぎる。
私の心の中を読んでいたのか、アクアは顔を真っ赤にして顔を覆う。
動揺していたアクアの顔が急にキリッとする。
「そろそろ地上に出ますよ。説明は私がしますので安心してください。途中で何か意見があったら、私が代わりに代弁しますのでお任せ下さい」
『あ~~ぶぅ~(ありがとう)』
水から出るとシャボン玉はすぐに割れてしまい、私はアクアの腕に抱かれる。
『あぁ~~~~』
水から出て1番に目に入ったのは、涙を流してるミリーだった。
ミリーは優しい人だから、水の中に沈んでいく私を見て不安になったのかもしれない。
少しでもその不安を取り除いて上げたくなり、ミリーに手を伸ばす。
アクアは私の気持ち気付いてくれて、私を抱いたままミリーの前まで行く。
「シエル様の乳母ですね?シエル様を大切に育ててくれてありがとう。神も精霊も貴女に感謝している。これからも私共の愛し子をよろしく頼む」
「勿論です!!シエル様と名付けられたのですね。とても素晴らしいお名前ですね。容姿もお変わりになられて……、それで貴方様はどなた様のでしょうか?」
ミリーって物怖じしないタイプだよね。
アクアが人間じゃないのは見た目から分かるだろうに、アクアから声を掛けたとは言え、普通に会話をするなんて凄い。
「我は水の精霊王だ。神からシエル様を守るように指示された。それとシエル様の保護者達への伝言も預かっている」
アクアが自己紹介をすると、周りは驚愕の表情になり、お母さんとお父さん以外の人は、慌てて地面に膝をつき最敬礼の姿勢をとる。
私の親が情けない。
何で今も呆然と立ったままで居るの?
驚いて行動に移すのが遅れるのは理解出来るけど、周りが最敬礼してるのに、いまだに立ったままで居るのは失礼じゃないかな?
王様や王太子も最敬礼してるのに、2人は王様達よりも偉い立場だと思ってるのかな?
アクアはチラッと2人を見て、眉間にシワが寄る。
イケメンなのに眉間にシワができたら勿体ない。
必死に手を伸ばして、アクアの眉間を撫でる。
「シエル様?」
『だぁ~あ~(駄目だよ)』
アクアは一瞬デレっとした顔をしてから、すぐに真顔に戻して周りを見渡す。
「大切な話があるので楽な姿勢に戻ってほしい。シエル様の姿を見たら分かるだろうが、シエル様は神の愛し子と認められた。そして私と契約をしている。神からシエルと名付けられた」
愛し子は見た目で分かるんだっけ?
これからは生きづらくなるんだろうな。
愛し子ってこの国での地位は、どの位置になるんだろう?
王様より下?
それとも同等の身分?
「王と同等の身分になりますよ。王が愛し子に命令できないようにそうなっております」
アクアが私の疑問に小声でコソッと答えてくれる。
王様と同等の身分なんだ。
何か嫌な予感しかしない。
碌でもない親が利用してきそう。
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