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第一章
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しおりを挟む軽く頭痛に襲われる
何でだろう?
さっきまでは何ともなかったのに、リリヤの発言に疑問に思った途端に頭痛に襲われるなんて………
「イリーナ?顔色が悪いけどどうしたんだ?」
「セミュンお兄様心配してくれてありがとうございます。ちょっと頭が痛いって思っただけなので大丈夫ですわ。本当にちょっとだけなので」
セミュンお兄様に心配かけないように笑顔で問題ないと言うけど、セミュンお兄様は全く信じてくれなくて心配そうに私の顔を覗き込んでくる
「セミュンどうかしたの?」
「イリーナの体調が悪そうだから軽く自己紹介だけして、イリーナを休ませてあげたいんだけど」
「それは大変!?本当に顔色が悪いわね。イリーナは気を遣っちゃう所があるから、自分から言い出せなかったのね」
「ごめんなさい」
お母様が心配そうに私の近くに来て、私の顔を見て心配そうな顔をする
「謝らなくていいのよ。誰にだって体調が悪いときはあるわ。リリヤ紹介するわね。この子は私の娘のイリーナよ。リリヤと同い年の12歳になるわ」
「イリーナですわ。貴女と私達家族の初めての顔合わせなのにごめんなさい」
「謝らないでください!?伯母様の言う通りで体調が悪くなるのは誰にでも有ることなので」
良かった優しい子みたいで安心したわ
もしも気を悪くしてたら、一緒に暮らすことになるのに今後気まずくなるものね
「次に息子のセミュンと私の夫のイワンよ」
「俺は君の4歳上になる。俺と君は学園生活が被るわけでもないし、家の中でも俺は跡取りとして忙しいから話す機会もあまりないと思う。妹と仲良くしてくれたら嬉しい」
「勿論です!!でもお兄さんとも仲良くしたいな~、だって一緒に暮らすのに他人行儀なんて寂しいじゃないですか~」
リリヤは甘えた声を出して、セミュンお兄様の腕に抱きついて上目遣いをする
リリヤはセミュンお兄様に惚れたのかしら?
「男の俺と仲良くするより、母上やイリーナと仲良くした方がいい。君はこの家で学園を卒業するまで暮らすけど、卒業したら出て行くことは決まってるだろ?家族でもない男と必要以上に親しくしてたら、周りからあまり良い印象を持たれないぞ」
「酷い、私はただ……、家族を亡くして辛いから、セミュンお兄様と家族みたいになりたいだけなのに」
「はぁ~~~、そのお兄様呼びもやめてもらえるか?俺は君のお兄さんになるつもりはない。君も貴族だったんだから分かるだろ?君が我が家の養子に入ることは出来ない、それなのに公爵家である我が家が、貴族の暗黙のルールを破ってるなんて勘違いされたら困るんだよ」
お兄様はそう言って、腕に抱き着いたままのリリヤを引き離そうとするけど、リリヤはお兄様から手を離さないまま、悲しそうに涙を流す
何か面倒臭そうな子が我が家にやってきたな
両親を亡くして可哀想だけど、貴族の世界は足の引っ張り合いが当たり前の世界だから、付け入れられるようなことは避けるのは仕方ないわよね
お兄様の発言は決して間違ってないと思う
我が家の跡取りとして、危険を少しでも排除しようとするのは当たり前の行動よね
「セミュン、リリヤは家族を亡くしたばかりで不安なのよ。だからもう少し優しくしてあげて」
「母上のお願いでもそれは聞けません。別に俺は彼女を虐めたり無視したりするつもりはありません。我が家の居候として適切な距離を取りたいと言ってるだけです」
「セミュン………」
「オリガそれぐらいで止めときなさい。セミュンはこの家の跡取りとして間違ったことは言ってない。彼女が分別ある行動をしないと恥をかくのは彼女だ。12歳って年齢は無知でいることを許される年齢ではない」
このままだとリリヤが原因で家族の気持ちがバラバラになるかもしれない
そんなの絶対に嫌!!
「私はこの家で歓迎されてないんですね」
「そんなことないわ!!貴女は私の大切な姪よ。リリヤの心の傷が癒えるまでで良いから、リリヤを家族として接してほしいの」
お母様は叔母様の味方になれなくて色々後悔したから、リリヤのことを見捨てることはできないのかもしれないわね
「リリヤが外でセミュンお兄様に馴れ馴れしく接しないのであれば問題ないと思います。だけどそれが出来ないのなら私も賛成できません」
私が話し出すとリリヤに一瞬睨まれた気がするけど、すぐに悲しそうな顔に変わる
「イリーナさんまでそんな冷たいことを言うの?」
「悪く思わないでください。セミュンお兄様は今は大事な時期なんです。セミュンお兄様は学園に通いながら婚約者を探してるので、家族でもないのに親しい女性が身近に居ると思われたら、セミュンお兄様の婚約者探しに影響があります」
学園に入学してから婚約者を探すのが一般的になっている
数年前までは小さい頃から親が決めた人と結婚するのが当たり前だったけど、女性も学園に通うようになってからは、学園で家柄に申し分ない人を自分たちで探すのが主流になった
今の流れになったのにも理由がある
女性も学園に通うようになって男女の出会いが増えたことで、婚約者を裏切り浮気をするものが増え、そのせいで婚約破棄が増えたのが原因なのよね
お母様もセミュンお兄様の婚約に影響をきたすことに気がついたみたいで、ハッとして表情をしている
「そうね………、セミュンは今が大事な時期だったわね。私はもう少しで息子の人生を台無しにするところだったわ」
お母様は私にありがとうと言って、私をギュッと抱きしめてくれた
お母様の肩越しにリリヤと目が合う、リリヤは怖い顔をして私を睨み付けてきた
リリヤに目が離せずにいると、激しい頭痛に襲われて私の意識が薄れていくのがわかった
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