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第一章
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しおりを挟むセミュンお兄様と話してると、お母様とお父様が慌ただしく部屋に入ってきた
「イリーナ!!心配したわよ」
お母様は私をギュッと抱きしめながら声を掛けてくる
普段はお淑やかで慌てたりしない人だから、私のことでこんなに取り乱してくれる姿を見ると嬉しい気持ちになるわね
「心配したんだぞ。倒れるほど体調が悪かったんなら早く言いなさい」
お父様はそう言って私の頭を撫でる
普段は仕事が忙しくて滅多に家に居ないのに、心配してこの場に居てくれることが嬉しい
「お父様ありがとう。心配かけてごめんなさい。でも仕事は良いの?お父様が仕事に行かないとユーリ様が困るでしょ?」
「宰相補佐は私の他にも居るから問題ない。私一人が抜けたぐらいで困るようでは問題だからな。私は宰相補佐であって宰相ではないのだから問題ないさ」
お父様を見てると、真面目なのか不真面目なのかよく分からなくなるのよね
今度会った時にユーリ様に謝ろう
私のせいで仕事が大変なことになってることは間違いないでしょうしね
「それより大丈夫なのか?急に意識がなくなったのに、主治医は原因がわからないなどと無責任なことを言っていたから、私はお前が心配なんだよ。もしもイリーナに何かあったら」
「今は何の不調も無いので大丈夫です。医者だからって何でも分かるわけないんですから、先生を責めたりしないでください。多分、環境が色々変わりそうでストレスが溜まってしまったんだと思います。家だけが気をぬける場所だったので」
公爵家の娘である私は、外では完璧な貴族令嬢の仮面を被らないとならない
絶対に誰かに弱みなんて見せられないから、他人と同居することにストレスに感じてたことに間違いはないから、この言い訳をしてもおかしくないわよね
流石にお父様達に前世の記憶が戻ったからなんて言ったら、頭がおかしくなったって思われかねないもの
「イリーナは繊細だからな。外でももう少し力を抜いてもいいと思うぞ?何か失敗しても私が守ってやるさ」
「お父様は私に甘すぎますわ。女の世界は少しの失敗でもずっと言われ続けますから、失敗なんて許されませんよ。お父様に庇われたら、それはそれで1人では何も出来ないって馬鹿にされるだけですよ」
男性は例え失敗しても、次の機会に前回の失敗を上回るほどの成果を残したら、何も言われなくなるみたいだけど、女性の場合それは無いのよね。
1度した失敗をネチネチと何度も言われる、上手く出来るようになっても、昔は酷かったのに今は見違えるようですわねって厭味ったらしく言われるのよね
「確かに女の世界は大変そうだよな。女性は男に見られてないって勘違いしてるけど、意外とそういう場面って見掛けるし、性格悪いって思ったら仲間内で話が回るからな」
そうなんだ
私も気を付けないといけないわね
「イリーナの年代はわかりやすいからまだ良いわよ。私達の年代は褒められてるって思ったら、遠回しに嫌味を言われてることは良くあるわ」
「そうなんですか?私はお母様たちのそういう場面をあまり見ないから、大人になったら性格が丸くなってなくなると思ってました」
たまに見掛けることはあるけど、そういう人は周りから避けられてて、いつの間にか社交界に来なくなるイメージがある
「あるわよ。例えばよく使われるのは、『娘さんや息子さんは人格者で素晴らしいですわね。誰を見習ったらあんな素晴らしく育つのかしら?』とかかしらね」
「それの何が嫌味なんですか?他人の子供を褒めてるようにしか見えないですけど?」
「確かに子供のことは褒めてるわよ。だけど誰を見習ったらって所が嫌味なのよ、遠回りに親である貴女はお手本にはならないですよねってことなのよ」
あぁ~!!
確かにそうだ。
私なら気付かずに子供が褒められてるって喜んでそう
もしもそれで得意気になってたら、自分が居ない場所とかで馬鹿にされるわね
大人の世界って面倒臭い
前世で生活していた日本でも、本音と建前が当たり前の生活だったけど、私は苦手だったのよね
苦手な相手とは極力関わらずに避けたかったし、周りから浮かないために興味もないのに興味のあるふりとかも苦手だった
だから集団行動も苦手だったのよね
でも1人で過ごすことが平気な性格でもなかった
はぁ~、この世界では日本で生きてた頃より大変な生活が待ってるのよね
前世では一般庶民だったから嫌なことを避けても問題なかった、だけど今の私は公爵家の娘だから、出来ないことや苦手なことをそのままにするのは許されない
私の恥は公爵家の恥に繫がる
無知でいることは許されない、怠けることも許されない
公爵令嬢って立場は脇役で居ることを許されない、常に社交界の中心人物で居ないといけない
社交界で中心人物になるためには、頭の回転が早くないといけない
どんな会話でもついて行けるように、沢山の知識を頭に詰め込む必要があるのよね
今後のことを考えると、気分がどんどん沈んでいく
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