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第一章
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しおりを挟むお父様とお兄様は泣いてる私に付き添い、私の部屋まで一緒についてきてくれた。
「イリーナには、俺と父上がずっと味方で居るから安心しろ。父上にお願いがあるんだけど、あの女を半月も居させるなんて無理だ。このままではイリーナが余計に傷付くだけだ」
「そうだな。オリガを向こうの実家に帰すのは、あの子がルドルフ学園に入れてからのつもりだったが、我が子を傷付けるだけの今のオリガをこの家に置いとくのは難しい。別棟で暮らすように言ったけど、完全に会わないようにするのは難しい」
確かにそうかもしれない。
別棟と本邸はそこまで離れてない。
会おうと思えば待ち伏せだって出来る。
「最短でどれぐらいで追い出せるんですか?」
「うーん、書類とか用意させて書かせることを考えると、3日は必要かもしれないな。完全に離縁するのはもっと時間が掛かるかもしれないが、書類さえ書かせれば何時でも追い出せる。オリガとあの子のことは向こうに任せよう。オリガが居なくなったら、あの子を我が家に居候させる理由はないからな」
良かった~
これ以上はリリヤの我儘に付き合う必要がなくなる。
お母様と離れるのは辛いけど、いつかは親離れしないといけないのだから、ちょっと早くその時が来たと思えばいいわ。
「でも母上の実家はあの女を引き取るのを凄く嫌がってましたよね?すんなり事が進むでしょうか?」
「そんなの我々には関係ない。お前たちはあの娘と血の繋がりはあるが、サフィナ公爵家としては全く関わりはない人物なのだから、面倒を見る必要性はまったくない。あとはあの家の者たちで決めることだ。引き取るのが嫌ならルドルフ学園に入れればいい話だ。1番は修道院に入れてくれれば良いんだけどな」
確かにお父様の言う通りね。
ルドルフ学園なら最終的には出てきてしまうけど、決まりの厳しい修道院なら余程のことがない限り、修道院で一生を過ごすことになる。
リリヤみたいな人は、親戚って理由だけで図々しく絡んできそうだから、修道院に入ってくれたほうが安心するわね。
そういえばルドルフ学園ってどんな場所なのかしら?
私が知ってるのは規律が厳しいってことだけなのよね?
「お父様に聞きたいことがあるんですけど、ルドルフ学園ってどんな場所なんですか?学園なのだから入学年齢が決まってるはずなのに、何で入学する年齢じゃないのに、子供を預けることが出来るんですか?」
今まではそれが普通だから気にならなかったけど、普通に考えたら不思議よね?
入学前に預けても卒業年齢が変わるわけではないみたいですし?
「あそこは特殊なんだよ。修道院が経営してる学園なんだよ。だから入学前は学園に居るって言うより、修道院にお世話になってるんだよ。だから卒業後も問題行動するようなら、そのまま修道院に入れられるものもいる」
そうだったんだ。
知らなかったわ。
私が知らなかっただけで一般常識なのかしら?
「今はそんなことより、イリーナの婚約の事を話そう。さっきも話したが婚約者候補の辞退は問題ない。辞退の話は私と陛下だけで話したから、もしかしたら後から王太子殿下が何か言ってくるかもしれない。もしも何かあったらすぐに言いなさい」
「はい。でも王太子様も私のことを嫌ってるから、何も言ってこないと思いますけど?」
「馬鹿だな。ミハイル様みたいな自尊心が高い相手は、例え嫌いな相手でも相手の方が自分を拒否したって結果が許せないんだよ。だから絡んでくると思うぞ」
それは面倒臭いな。
嫌いなら私のことは放置してくれると良いんだけど
「そういえば辞退した人たちが絡まれてるの見たことがありますわね。王太子様は候補者全員が自分のことを好きだって、勘違いしてるところがあるんですよね。自分に1度でも好意を持ったものは、ずっと自分を好きなんだと勘違いしてるんでしょうか?」
それってかなりの自惚れよね。
本当に何で前の私はあんな人を、盲目的に惚れ込んでたのかしら?
絶対に趣味が悪いわよね。
「一番いいのはイリーナが他のものと婚約することなんだけどな。流石に王太子殿下とはいえ、婚約者がいる相手に絡むのは印象が悪くなるから、普通に考えたらしないはずだ」
あの王太子様に一般常識があるかしら?
絶対に気にせず絡んでくる気がする。
王太子様が周りの評価を気にするとは思えない、だって気にするなら普段の態度から気を付けるようになるわよね。
「取り敢えずは様子を見るしかないな。私は仕事があるから戻るよ。二人は何かあったらすぐに私に言いなさい。余計なことは考えないで言い」
「うん。あまり無理しないで下さいね」
お父様は嬉しそうにしながら、私の頭を撫でて部屋から出た。
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