【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?

みちこ

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第三章

11

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 リリヤside

 あの糞ババァ!!

 ゲームにも出て来ない脇役の中の脇役のクセに私の邪魔しないでよ!!

 あと少しであの女を悪役に仕立てることが出来たのに、中途半端で終わったじゃない!!

 あの女の隣に居た庶民の脇役も邪魔だったわね。

 ゲームであの女の周りにいたのは高位貴族の令嬢だけだったから、優秀だけど下の身分の者を見下してるって、あまり評判が良くなかったのに何でゲーム通りに行動しないのよ!!

 このままだと身分が低いせいで従姉妹から冷たくされてるって、ミハイルに泣きつけないじゃない。

 私より身分が下の女と仲良くしてるから矛盾してることになる。

 …………でもゲームでは全く下位貴族と関わって無いのにおかしいよね?

 私が知らないだけで高位貴族とか?

 でも貴族には見えないのよね?

 これからどうしようかな~

 本当ならゲームでは入学式に遅れて行くんだけど

 一緒に住んでるイリーナに置いていかれて、予備の馬車がないから歩いて学園まで行かないといけなくて、本当なら大遅刻をしてしまうのよね。

 ゲームでは遅刻してもイリーナのせいで遅刻したようなものだから、攻略対象から同情されるんだけど、流石に一緒に住んでないから遅刻は不味いわよね。

 だらしないって思われるだけ

 だらしない女なんて絶対に思われたくない!!

 早く来ないとイケないなら、イリーナの評判を落とそうって探してたのに、何で特進クラスに居るのよ!!

 何でこの世界のイリーナはゲームと違う行動ばかりするの!!

 やっぱり転生者なの?

 でも一緒に住んでいた頃はそんな感じはしなかったんだよね。

 ミハイルの婚約者候補を辞退していたけど、2人はゲームの時よりも仲悪いのは有名だし、転生者の有力候補はイリーナよりも、セミュンとイワンの方が怪しいのよね。

 全く私に靡かなかったし、どちらかと言うと嫌われていた気がする。

 ゲームではあそこまで嫌われてなかった気がするんだけど?

 絶対にバグが起きてる!!

 うーん、ゲームではミハイルは入学式に参加してないんだよね。

 外でサボってる時に、ヒロインが遅刻して学園内で迷子になってる時に出会う、不安で涙目のヒロインに惹かれてこの会場まで案内してくれるのよね。

 今からでも出会いイベント起こしたほうが良いかな?

 ストーリーが進まなかったら困るし、ミハイルにイリーナの悪評を言いたいし~

 うん!!

 そうしよう

 外に行こうと歩きだすと、さっき私の邪魔をした糞ババァが立ち塞がる。

「何処に行くつもりですか?もうすぐ式が始まります。また問題を起こされたら困ります」

 本当に邪魔!!

 脇役のクセにヒロインの邪魔してるんじゃないわよ!!

「トイレに行きたいんです!!邪魔しないでください。漏れたら先生のせいですよ」

「なら私もついていきます」

「人がすぐ近くに居るのにトイレなんてし辛いです!!すぐに帰ってくるので1人で行かせてください」

「はぁ~、すぐに帰ってきてくださいね」

 チッ、本当に邪魔くさい。

 まぁ、良いわ。

 ミハイル様が私を待ってるわ!!

 軽い足取りで会場を出ると、前から来た人と打つかってしまった。

「痛っ!?」

「痛いのはこっちよ!!私に痛い思いをさせるなんて誰なの!!」

 あっ!?

 あの女と一緒にいた生意気な女!!

「イリーナお姉様に言われて嫌がらせをしてきたのね。イリーナお姉様と仲良さそうだったけど、何処の家の子なの?伯爵家?それとも侯爵家?」

「私は貴族ではありません。商家の生まれです」

「えっ!?有り得ないわ。イリーナお姉様は貴族以外は見下してるのに、何で貴女はイリーナお姉様と仲良くしてるの?何か脅されてるの?」

 貴族以外を嫌ってるなんて本人から聞いたこと無いけど、ゲームでは庶民とは関わってないのだから嫌いに決まってる。

 イリーナとこの女の仲を壊して、オマケにこの話を聞いてる人達にも悪印象を与える事が出来るわ。

 私って頭いい!!

「イリーナは身分で態度を変えたりしないわ。初めて会った私に友達になって欲しいって言ってくれたもの。イリーナを悪く言わないで!!」

「イリーナお姉様に騙されてるのね。きっとイリーナお姉様は、貴女を使って自分の評判をあげようとしてるのよ。もしも辛くなったら私を頼ってね」

「イリーナはそんな人ではない。私はイリーナを信じてるもの」

 チッ!!

 庶民のクセに生意気なのよ。

 貴族である私に意見を言うなんて身の程知らずね。

 いつか痛い目に遭わせてやるわ。

「辛い目に遭わないと良いね。頑張って」

 現実が見えてない女を心の中で嘲笑いながら、私はミハイルが居る場所に向かう。
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