そんなに私の婚約者が欲しいならあげるわ。その代わり貴女の婚約者を貰うから

みちこ

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 お父様は本気でエミリーが侯爵家の夫人になれると思ってるの?

 もしも本気でなれると思ってるなら、私はお父様のことを心の底から失望するわ。

 子爵家の娘が侯爵家に嫁ぐなんて本来ならあり得ない、余程の優秀な人材か、恋愛結婚のどちらかしかない。

 子爵の娘が嫁げるのは、よくて伯爵家ぐらいよね。

 侯爵家は伯爵家の次に高い地位になってるけど、伯爵家と侯爵家の間にはかなりの差がある。

 子爵が伯爵に陞爵されることはたまにあるけど、伯爵から侯爵に陞爵されることは滅多にない。

 でも伯爵だって子爵と比べたら凄い、伯爵家に嫁ぐ令嬢だって評判の良い令嬢だけ、間違ってもエミリーみたいな問題児ではない。

「そんなにエミリーを侯爵家に嫁がせたかったなら、甘やかさないで教育するべきですわ。今からでも一般常識を身に付けさせるべきですわ」

 今からやって評判が変わるかは微妙ですけど、全くやらないよりはマシよね。

 私がレオンと結婚するためには、エミリーに自滅して貰う必要があるけど、問題児過ぎるのも私にとっては困る、身内に問題児が居るのは心証が悪い。

 おじ様やおば様は気にしないかもしれないけど、世間やレオンの親戚がいい顔をしないはず。

 加減が難しいわね。

「エミリーにそんな可哀想なことが出来るわけ無いだろ。あの子はあのままで良いんだ。天真爛漫でちょっと馬鹿なぐらいが愛される」

「だからそれでは伯爵家や侯爵家では受け入れられないと言ってるんです。お父様はエミリーを愛妾にでもさせるつもりですか?愛人や子供の出来ない夫婦のところに、側室としてなら迎え入れられるかもしれませんわね」

「お前はなんて酷いことを言うんだ!!お前は妹が可愛くないのか!!エミリーを日陰の存在にする理由がないだろ!!」

 あんな妹が可愛いわけないじゃない。

 それに貴族の妻が愛嬌だけで選ばれるわけがない、良くて愛人や側室なら愛嬌だけで選ばられるかもしれないけど、正妻として選ぶ女性が家の指揮も取れない馬鹿を選ぶわけがない。

「だから今のエミリーでは、絶対に正妻として選ばれないと言ってるんです。百歩譲って男爵家にならそれで選ばれるかもしれません。でも伯爵家はそれでは選ばれないんですよ!!」

「エミリーなら絶対に大丈夫だ」

 何処からそんな自信が来るのよ。

「いい加減にしてください。伯爵家に嫁ぐ女性は大抵は伯爵家や侯爵家の令嬢ばかりです。子爵家の令嬢が選ばれるには、優秀なのをアピールするか、お金に困ってる伯爵家に大金で結婚させるかですわ!!」

 伯爵家と侯爵家だけでどれだけの令嬢がいると思ってるのよ。

 子爵家に回ってくるのはとても稀なケースなのに、落ちこぼれのエミリーを選ぶわけないじゃない。

 お金もない、知性もないのに選ばれるわけがない。

「お前とエルガー家の次男の婚約が正式に決まったら、エルガー家がエミリーに複数人の婚約者候補を紹介してくれることになってる。お金も手に入り、エミリーに素晴らしい婚約者ができる」

 私はエミリーが幸せになるための駒なのね。

 この人から愛されてないのは分かっていた、でもこれはあんまりじゃないかしら?

 愛する娘には最高の嫁ぎ先を用意して、私には女癖の悪い男と結婚させる。

 この人が屑でよかったわ。

 何の躊躇もなく地獄に落とせる。

「私とエルガー家の次男との結婚は絶対なのですね」

「絶対だ。お前ならあの男を真っ当にすることだって出来るだろ。そしたら何の欠点もない最高な男になる。皆が羨むことになるんだ」

 あの男が真っ当な人間になるわけないじゃない。

 女好きは一生女好きよ。

 あんな男を教育するなんて時間の無駄だわ。

「あちらが私の条件を受け入れるなら、私もこの婚約を受け入れますわ」

「お前は伯爵家に意見を言うつもりか!!」

「私は理不尽なことを条件に出すつもりはありませんわ。我が家が不利益にならないように条件をつけるんです」

 あんな無責任な男を引き取るんだから、条件をつけるのは当たり前じゃない。

「どんな条件を付けるつもりだ」

「そうですね。1つ目は浮気をしない。これは婚約してる間も同じ条件ですわ。結婚前だからと言う言い訳は通用しません。ただし相手女性が絶対に妊娠できないように手術するならその方だけ認めますわ」

 そんな方は居るとは思えませんが、もしも居るなら真実の愛で結ばれて素晴らしいですわね。

「それは厳しすぎるんじゃないか?」

「厳しくありませんわ。今現在も女性との噂が絶えない人なんですから、それぐらい約束してもらえないと困りますわ。あちこちに種をばら撒かれて、我が家の血が流れてもいない子供が現れて、自分も養えってふざけた事を言うものが現れたら困りますわ」

 いつ現れてもおかしくないと思うのよね。

 お父様も想像したみたいで顔を顰めている。

「それともう1つありますわ。これが1番重要な条件ですけど、もしもエルガー家の次男の子供が現れた時に、その子供を養うのはエルガー家でお願いするつもりです。我が家からは一切お金を払うつもりはありません」

「流石に子供は作ってないだろ?」

「分かりませんわよ。噂だけでもかなりの数の女性と関係を持ってますわ。避妊は確実ではありません。子供が出来なくなるように手術してるなら、子供ができる可能性はないですけど、そんな女性は滅多に居ないはずですわ」

 エルガー家の次男の相手をしてる女性がどんな人達かは知らないけど、女性側も遊び感覚で相手してるならちゃんと避妊をしてると思うけど、もしも本気で好きになってる人が居るなら、子供を作ろうとしてる可能性もある。

 お金目当ても居るかもしれないけど、伯爵家の次男を選ぶ人は滅多に居ないでしょうね。

 次男では継げるものがないですから、自分自身の力で出世するしかない。

 でもエルガー家の次男は努力が嫌いな人だから、絶対に出世が出来るタイプだとは思えない。

 就職の準備をしてるのかも怪しいわよね。
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