そんなに私の婚約者が欲しいならあげるわ。その代わり貴女の婚約者を貰うから

みちこ

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 お父様は不快そうに顔を顰める。

 このまま話を有耶無耶になんかさせないわ。

 今、決まり事を作っても守られるかは疑問だけど、何も決めないよりは良いわよね。

「どうするつもりなんですか?もしもエミリーとエルガー家の次男が惹かれ合って、秘密で恋人関係になったらどうするつもりなんですか?」

「だからそんな事はあり得ない!!あの子は優しい子なんだから、姉の婚約者に手を出すわけ無いだろ」

「だからもしもの話をしてるんです!!お父様はエミリーをこの家の当主にするつもりはないみたいですけど、他の人からしたら私とエミリーは双子なのだから、どちらが当主になってもおかしくないと考えるはずですわ」

 実際はエミリーが落ちこぼれ過ぎて無理な話だけど、私が親から関心を持たれてなくて、逆にエミリーは親から愛情たっぷり育てられてるのは、貴族の中では有名な話なのよね。

 だから中には、エミリーを当主にするんじゃないかって考えてる人もいる。

 エミリーも当主になりたがってますしね。

「それでもこの家の跡取りはお前だ」

「でもエルガー家がそう思うかは別ですよね?もしもエミリーに惹かれたりして、エミリーと婚約したいって言われたらどうするんですか?あの男は見た目だけは良いみたいですから、エミリーも好意を向けられたら惹かれるかもしれませんわ」

 エルガー家の次男は女好きだから、私よりもエミリーを選ぶ可能性が高いと思うのよね。

 私は絶対にあの男に媚びたりしないですし、極力接触も控えるつもりですけど、エミリーは男性に甘えるのが慣れてますし、貞操観念も低い気がするのよね。

 遊び人の男からしたら、私とエミリーだったら、エミリーを選びそうな気がする。

 あの方の普段の遊び相手を考えると、生娘や真面目な相手を好んでるようには見えないですもの。

「エミリーには無理だ。あの子が当主になれるわけない」

「でもあの子は当主になることを諦めてないですよ。もしかしたら当主になる為に私の婚約者に近づくかもしれません」

「何故、当主になるために近づく必要がある?」

「分かりませんか?エルガー家は我が家より爵位は上ですし。この婚約はエルガーの次男が、我が家の跡取りの婿になるってことを条件に、多額の援助をしてもらうんですよね?」

「そうだ。婚約者が決まらずにこのままでは庶民になってしまう次男を心配した、エルガー家の当主がこの話を持ちかけてきた」

 息子が庶民になることを心配してるのは事実でしょうけど、1番の目的は厄介払いじゃないかしら?

 エルガー家の次男が問題を起こせば起こすほど、エルガー家が泥をかぶることになる。

 早く家から追い出したいと思っていてもおかしくない。

 お金だけを渡して、家から追い出しても使い終わったら戻って来てしまうかもしれない。

 それなら仮の家を用意すれば良い。

 お金に困ってて、娘しかいない我が家がそれに選ばれたんでしょうね。

「エルガー家の次男が女性と浮気したなら、それを理由に婚約破棄をすれば良いですけど、もしもその相手がエミリーだったらそれは難しいことぐらいは、お父様だって理解してますよね?」

 私は被害者ではあるけど、浮気相手がエミリーだったら、エルガー家と我が家は両方が加害者になってしまう。

 そしたら相手に強く出るのは難しいはず。

「そんな事はあり得ない。あの子がお前の婚約者に手を出すわけがない」

「現実を見てください!!学園ではあの子が原因で、婚約破棄をしてる人達が複数人いるんです!!クラスが離れてる私のところにまで、その話が回ってるんですよ!!」

 あの子のせいで私は一時期、学園に通うのが苦痛になっていた。

 双子の姉ってだけで同じような人物だと思われて、苦情を言っても何の反省もしないエミリーのせいで、私が被害者の女性から八つ当たりされることも何度もあった。

 生徒会長のリオン王子が私を生徒役員に選んでくれたから、私の環境は良くなったけど、もしも選ばれてなかったら、私は今も辛い目に遭っていたかもしれない。

 リオン王子は偏見を持たずに私のことを調べてくれて、私なら生徒役員に入れても問題ないって、生徒会の皆に断言してくれた。

 生徒会役員に選ばれたから、副会長をしてるレオンとも出会えたのよね。

 リオン王子には感謝してもしきれないわ。

「あの子には悪気はなかったんだ。純粋に友達として仲良くしてただけなのに、男たちの方が好きになってしまい、あの子を理由に婚約破棄をしてしまったんだ」

「本当にそんな理由なら、我が家が慰謝料を払うことはなかったですわよね?あの子が近付く男は何故全員が特定の女性が居るんでしょうね?それも偶然ですか?」

 我が家が困窮してる原因の1つが、あの子の慰謝料が理由なのよね。

 私達が学園に通うようになってから、あの子が原因での慰謝料が一気に増えた。

 我が家の困窮にも拍車が掛かったのよね。
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