そんなに私の婚約者が欲しいならあげるわ。その代わり貴女の婚約者を貰うから

みちこ

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 ジェシカに会うために今日は何時もより早めに家を出たのに、何故か私はエミリーと一緒に馬車に乗っている。

 いつもは別々に乗るのに何を考えてるのかしら?

 エミリーはニヤニヤしながら、高そうな髪飾りを無言で見せびらかしてくる。

 また無駄遣いしたの?

 エルガー家から援助金として、かなりの金額が支給されてから、お母様とエミリーは無駄遣いに拍車が掛かったわよね。

 私を生贄にして手に入れたお金を湯水の如く使うなんて信じられない。

 いずれ婚約破棄するつもりだとはいえ、ここまでされるとイラッとくる。

「また無駄遣いしましたの?エルガー家から援助金して貰ってるとはいえ、これはずっとではありませんのよ?」

「女を磨くには必要な経費でしょ?それに私はマクミラン侯爵夫人になるんだよ?相応しい格好をしないと」

 あんたがレオンのお嫁さんになれるわけないでしょ!!

 引っ叩いて怒鳴りつけたい。

 でも今は我慢しないと、私とレオンの関係が知られたら、エミリーはミカエル様ではなく、レオンを狙うに決まってる。

「まだ正式に決まってないのだからその発言は止めたほうが良いわよ。マクミラン家は私個人を希望してるのであって、シルフォード家の娘を希望してるわけじゃないわ」

「メアリーで良いなら私でも良いはずだもん!!同じ子爵令嬢で年齢も同じだから問題ないはずだよ。メアリーが選ばれたのだって、生徒会で一緒にいるから私より親しいはずってことで選ばれただけだもん!!絶対にそうよ」

 …………私とエミリーが同じわけないじゃない。

 屈辱なんですけど!!

 何もせずに好き勝手生きてるエミリーと、家を継ぐために今まで努力してきた私が同じわけないじゃない!!

 エミリーも頑張ってきたならこんなことは思わなかっただろうけど、エミリーはいつも楽な方を選んできた。

「私とエミリーが同じ理由ないでしょ。マクミラン家が私を選んだのには何か理由があるはずよ。じゃなかったら子爵家の娘を選ぶわけないじゃない。我が家が困窮してるのは有名なんだから」

 お父様達は隠してるつもりみたいだけど、あんな生活をしてたら困窮してるのはバレバレよ。

 何も商売もしてない我が家が、あんな贅沢な暮らしをして困窮しないわけがないんだから、その証拠にエルガー家にお金を条件に問題児を押し付けられてますし。

「酷い!!何でそんなことばかり言うの!!」

「酷いのはどっち?私を生贄にして手に入れたお金を何でエミリーが無駄遣いしてるのよ。本来なら貴女に使う権利なんてないはずでしょ?何も努力してない貴女が使うなんておかしいわよ」

 親はこの子に甘いから好き勝手しても許してるけど、私は我慢できない。

 そんなにお金を使いたいなら自分で稼ぐか、裕福な家に嫁げばいいのよ。

 まともに社交も子供の教育も出来ないこの子が嫁げるのは、立派な跡取りが居るお年寄りの後妻とかでしょうけどね。

 まともな家なら貴族の妻として、役割を果たせそうにないエミリーを欲しがる人はいない。

 この子を欲しがるとしたら、息子にもう家を継がせて、残りの人生を謳歌してる御老人ぐらいでしょうね。

 そういう人なら見た目だけは良いエミリーを引き取ってくれるはず。

 当主を交代してるなら社交に力を入れる必要はない。

 お父様とお母様はちゃんと娘を理解してるかしら?

 今のエミリーでは、まともな嫁ぎ先はない。

 役にも経たない妻を欲しがる貴族なんて居ない。

 育て方を失敗したお父様達のせいよね。

 ある意味私のことだって育て方を失敗している。

 私は親を尊敬することもなく、恨みだけが積み重なっている。

 親に親孝行をしようなんて一切思ってない。

「無駄遣いなんてしてないもん!!」

「じゃあ今つけてるそれは何なの?そんな物を持ってなかったわよね?」

 エミリーの髪に飾ってある髪飾りは小さいダイヤがいっぱいついたもので、普段のエミリーなら買ってすぐに自慢するはず、だからつい最近買ったものだと分かる。

「これはミカエル様が買ってくれたんだもん。私が可愛いからプレゼントしてくれたの~~~、メアリーの婚約者なのにごめんね?ミカエル様はメアリーより私のほうが好きみた~~い」

 馬鹿だとは思ってたけど、ここまで考え無しの馬鹿だとは思ってなかったわ。

 堂々と浮気宣言かしら?

 お父様から聞かされてないの?

 説明してるのを私も最初の方だけだけどちゃんと聞いてたから、お父様が説明してるのは間違いないけど、理解できなかったのかしら?
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