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第1章 救出篇
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しおりを挟む引き続きニコラスside
「義兄さん!?どちらに行くつもりですか!!許可もなく無断で入るなど、例え公爵家当主とは言え無礼です!!」
「レベッカの部屋に行かせてもらう、拒否権は無いと思え。お前みたいな男にレベッカとエレーナを任せることは出来ない、レベッカを連れて帰らせてもらう」
「レベッカは私の妻だ!!そんな勝手が許されるわけが無い!!」
ロバートが俺の行く手を邪魔しようとするけど、すぐに父上とジェイソンが俺と男の間に入り邪魔をする
「ロバート、これ以上罪を重たくしたくなければ抵抗をやめろ。俺の兄である陛下から許可はおりている。君と君の愛人は監禁罪、暴行罪で捕縛させてもらう」
「違う!!俺は何も悪くない!!」
騎士達に捕縛される男を横目に俺は階段をのぼり、レベッカが監禁されてる部屋に乗り込んだ
部屋にはレベッカと知らない女性とエレーナより少し年下の少女がいた
おそらくこの2人があの男の愛人と愛人の娘だろ
「あんた誰よ!!」
子供は自分の立場を理解していないみたいで、俺を睨みつけて今にも飛び掛ってきそうな勢いだ
危険と判断した騎士が俺と子供の間に立ち俺を守る体勢になった
「アンナやめなさい!!あなた達これ以上入ってきたらこの女がどうなるか分からないわよ!!」
愛人は娘を自分の後ろに下がらせて、抵抗するように持ってたナイフをレベッカに近づけた
「無駄なことはやめろ、もしもレベッカに傷1つでも付けたら罪が重くなるだけだぞ。俺達はお前達を逃がすことは絶対にない、諦めて素直に捕縛されろ」
「何で今さらバレるのよ!!例えあの人と結婚出来なくても、贅沢な暮らしが出来るならと我慢してたのに!!」
愛人は力が抜けたように座り込みナイフを床に落とした
「お母様!!何で諦めるの!!立ち向かえばいいのよ。この女を殺したって問題ないわよ!!この女のせいで私たちとお父様は本当の家族になれなかったのよ!!」
「おいっ、勘違いするなよ。この生活を望んだのはあの男だ。あの男にとってお前達は今の贅沢な暮らしを手離してまで欲しい存在ではない、あの男ならお金とお前達2人を天秤にかけた時、確実にお金の方を取るだろうな」
「そんなはずないわ!!お父様は私達の方が大切なはずよ!!私とお母様はエレーナとこの女と違って、お父様から愛されてるもの」
「本当に愛してるならすぐにレベッカと離縁してお前の母親と結婚するはずだ。だけど良かったなすぐにお前の願いは叶うぞ。レベッカとあの男は離縁するから、これからは仲良く3人で家族ごっこをすればいい、今までみたいな贅沢な暮らしは出来なくなるだろうけどな」
今まで贅沢な暮らしをしていたものが、今さら生活基準を落とせるとは思えないけどな
今までレベッカとエレーナを苦しめてきたんだ自業自得だろ
「さぁ、レベッカを離してもらおうか。これ以上、抵抗するのなら容赦しない。レベッカに傷1つでも付けたら公爵家を敵にまわすと思え」
あの男の愛人は部屋になだれ込んできた騎士たちを見て、もう無理だと理解したのか素直にレベッカを離した
「ニコラス兄様、迷惑かけてごめんなさい。エレーナは何処にいるの?無事なのよね!?」
「レベッカ落ち着きなさい。エレーナは無事だ。現在は学校で保護している。エレーナの近くにはティモシーがついてるから心配はない」
「ティモシーがそばに居るなら安心ね。エレーナが私達の状況を知らせてくれたの?」
「そうだよ。人には見せたくないだろう傷まで見せて、お前を助けて欲しいってお願いしてきたんだ。あの子は強い子だな」
女の子なら自分の体に傷があるなど知られたくないことだろう、だけど自分の傷を見せることが、今の現状を1番理解してもらえると考えたんだろうな
「あの子には長い間、悪い事をしてしまったわ。私があんな男を信じたばかりにあの子はしなくていい苦労をさせてしまった。母親らしいこともしてあげられてない。あの男と結婚した事は後悔してるけど、エレーナを産むことが出来たからその事だけは感謝するわ。あの子がいたから私は耐えられた、もしもあの子がいなかったら私は心が壊れていたかもしれない」
確かに昔のままのレベッカだったら、現実を受け入れきれず壊れていたかもしれないな。
この結果は俺たちも悪かったんだろうな
我が家は男家系でなかなか女は生まれない、何十年ぶりに生まれた女の子がレベッカだった
レベッカは俺や両親だけではなく、親戚一同からも蝶よ花よと大切に育てられて、レベッカの周りには過保護の者しかいなかった。
俺を含めて周りの者は、レベッカから悪意あるものや貴族特有のゴタゴタから引き離して、綺麗なものだけ見せていた。
そのせいでレベッカは高位貴族にしては、有り得ないくらい無知な人間に育ってしまった
その結果が今なんだよな。
レベッカの娘であるエレーナは、俺達がやってきた過ちの犠牲者だな
「エレーナに母親らしいことしてやれてなかったって思うなら、これから沢山愛してやればいい。エレーナはまだ12歳だからな。まだまだ親からの愛情が必要な年齢だろ」
「まだ間に合うかしら?あの子は私を許してくれるかしら?」
「あの子は優しいから許してくれるさ。もしも許してくれなかったら、許して貰えるまで謝って、レベッカがどれだけあの子を愛してるか伝えてやれ。きっとあの子は親の愛情に飢えてるだろうからな」
レベッカは涙を流しながら無言で頷いた
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