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第一章 カプリコーンと魔術師(マジシャン)の卵
第六話 木霊女装疑惑勃発!
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刑事さんは、気を取り直して続ける。
どちらの目撃証言がより正確なのだろうか?
二人の目撃証言を比べてみる事にした。
「もう本名が出たし、隠す必要もないよね。
魚崎圭介さんは、午後九時ちょっと前に公園を出たら、七十メートルくらい前方にいた女性が、自宅に入ろうとした所を目撃した。
スーパーに行く通り道だし、ちょっとスーツ姿の似合う女性だったので注目して見ていた所、突然大きな女性が物陰から現れたそうだ。
その大きな女性は、被害者の女性に体当たりし、離れた瞬間に何か光る物を落としたそうだ。
魚崎圭介さんは、恐くなって走って交番に駆け込んだ。
後の調査で分かった事だが、被害者女性はナイフで刺殺されており、そこから落とした物はナイフではないかと推測された。
魚崎圭介さんは、時計を持ってはいなかったが、公園を出る時に、公園の時計を確認して、午後九時ちょっと前を指していたと証言している。
女性徒と魚崎さんの距離は、かなり離れているので、二人ともお互いを認識できなかったようだ。
殺人現場の目撃により、恐怖と焦りもあった事だろう。
何か、不審に思った所はあるかな?」
貞先生が刑事の質問に速答する。
どうやら、貞先生の死角内で手を繋いでいるにもかかわらず、第六感でオレと遠野さんの関係が分かったようだ。
その怒りはオレに向けられる。
鬼のような顔でオレの顔を凝視していた。
「ええ、分かったのは、木霊君が女装壁のある変態野郎だという事ですね。
女性徒は、比較的距離が近かったため、木霊君を男性と認識したようですが、魚崎さんは、それを大きな女性と勘違いしていたのでしょう。
つまり犯人は、木霊君であり、女生徒は顔から性別を判断した。
しかし、魚崎さんは、格好から性別を判断したため、このような矛盾が生じてしまったのでしょう。
殺人動機はおそらく、被害者女性が木霊君の知り合いであり、女装壁を知ってしまったために、口封じとして殺したのでしょう。
全く、恐ろしい世の中だわ!」
貞先生の怒りの矛先は、オレに襲いかかる。
オレを社会的に抹殺し、高校生同士のラブラブカップルを別れさせる算段なのだ。
別に知り合ったばかりだから、そこまでラブラブでもないけど……。
オレだって、立場が逆なら別れさせようとするだろう。
それほどまでに、独身者がラブラブカップルを見せ付けられるのはイライラするのだ。
オレは貞先生の推理に反論する。
そうしなければ、貞先生の発言によって留置場に連れて行かれる事になるだろう。
逮捕されるのは、正確な調査をした上で決まる事だから、オレが釈放されるのはそれほど遅くはないだろう。
しかし、殺人犯だと疑われた時点で、学校を辞めさせられる危険は高い。
戻って来たら退学だったという生徒は、少なからずいるはずだ。
「オレは女装壁なんてありませんよ!
それに、女生徒は門から出て来た所を、オレがぶつかったと言っているんですよ。
それに対し、魚崎さんは、家に入っていく所を体当たりしたと言っているんですよ。
この矛盾はどう説明するんですか?」
貞先生は、冷酷な表情で言う。
「まあ、魚崎さんがボケ始めていたという事で……。
それに、ぶつかった後で二人の存在を気にし始めるから、正確に覚えているかどうかは不確定よね?
ナイフを落として気が付いたというから、その前の行動は不鮮明なはずよ!
残念だったわね、木霊君!」
刑事さんは、オレをフォローしてくれた。
おそらくオレ達と会う前に、鏡野真里とかいう女生徒から正確な情報を聞いていたのだろう。
どこの部分から、男性と判断できたかも聞いていたのだ。
「一応、女生徒から、どんな特徴で男子生徒と分かったかを聞いておいた。
彼女は、犯人の顔は分からなかったが、制服からこの高校の男子生徒だと分かったらしい。
という事で、女生徒は男子学生服を着ていたから、この学校の男子生徒が怪しいと知らせて来たんだよ。
木霊君の女装壁疑惑は無いよ。
まあ、プライベートでどうかまでは知らないけどね!」
「ちっ!」
貞先生が舌打ちした。
それを聞き、生徒指導室は静まりかえる。
もしも、刑事さんが貞先生に好意を持っていたら、ドン引きの行動だっただろう。
もう少し言動に注意した方が、結婚もし易いだろうに……。
しばらくして、遠野さんが沈黙を破った。
「あの、公園の時計の事ですけど、実はあれ五分ほど遅れているんですけど……」
それを聞き、刑事さんは驚いて叫ぶ。
公園をよく利用していた人なら知っている情報だった。
ホームレスは、腕時計などしていない。
その為に、公園の時計のズレを知らなかったのだろう。
「何だって! それじゃあ、犯行時刻にズレが生じて来るじゃないか。
木霊君がぶつかった後に、また別の真犯人が、被害者を刺した可能性が出て来たぞ!」
貞先生は、オレの方を見て言う。
「待ってください、刑事さん。
遠野さんが木霊君を見て、憐みを感じてそういう虚言を言っている可能性もあるわ。
それに、仮に犯行時刻が違っても、木霊君が犯行を行った可能性は十分あるのよ!」
女の嫉妬は怖い。
喰い付いたら離さないピラニアのように些細な事でもガンガン喰い付いてくる。
彼女の何がそうさせるのだろうか?
「そうだな。
まずは、公園の時計について、部下に調査してもらう。
ちょっと、外で電話をしてきますよ」
刑事さんはそう言って、生徒指導室から出て行った。
オレは思う、刑事さん部屋を行かないでと……。
オレ達三人だけだと、話す事もなく時間が長く感じるのだ。
遠野さんと二人っきりなら、それほど緊張もしないのだが……。
どちらの目撃証言がより正確なのだろうか?
二人の目撃証言を比べてみる事にした。
「もう本名が出たし、隠す必要もないよね。
魚崎圭介さんは、午後九時ちょっと前に公園を出たら、七十メートルくらい前方にいた女性が、自宅に入ろうとした所を目撃した。
スーパーに行く通り道だし、ちょっとスーツ姿の似合う女性だったので注目して見ていた所、突然大きな女性が物陰から現れたそうだ。
その大きな女性は、被害者の女性に体当たりし、離れた瞬間に何か光る物を落としたそうだ。
魚崎圭介さんは、恐くなって走って交番に駆け込んだ。
後の調査で分かった事だが、被害者女性はナイフで刺殺されており、そこから落とした物はナイフではないかと推測された。
魚崎圭介さんは、時計を持ってはいなかったが、公園を出る時に、公園の時計を確認して、午後九時ちょっと前を指していたと証言している。
女性徒と魚崎さんの距離は、かなり離れているので、二人ともお互いを認識できなかったようだ。
殺人現場の目撃により、恐怖と焦りもあった事だろう。
何か、不審に思った所はあるかな?」
貞先生が刑事の質問に速答する。
どうやら、貞先生の死角内で手を繋いでいるにもかかわらず、第六感でオレと遠野さんの関係が分かったようだ。
その怒りはオレに向けられる。
鬼のような顔でオレの顔を凝視していた。
「ええ、分かったのは、木霊君が女装壁のある変態野郎だという事ですね。
女性徒は、比較的距離が近かったため、木霊君を男性と認識したようですが、魚崎さんは、それを大きな女性と勘違いしていたのでしょう。
つまり犯人は、木霊君であり、女生徒は顔から性別を判断した。
しかし、魚崎さんは、格好から性別を判断したため、このような矛盾が生じてしまったのでしょう。
殺人動機はおそらく、被害者女性が木霊君の知り合いであり、女装壁を知ってしまったために、口封じとして殺したのでしょう。
全く、恐ろしい世の中だわ!」
貞先生の怒りの矛先は、オレに襲いかかる。
オレを社会的に抹殺し、高校生同士のラブラブカップルを別れさせる算段なのだ。
別に知り合ったばかりだから、そこまでラブラブでもないけど……。
オレだって、立場が逆なら別れさせようとするだろう。
それほどまでに、独身者がラブラブカップルを見せ付けられるのはイライラするのだ。
オレは貞先生の推理に反論する。
そうしなければ、貞先生の発言によって留置場に連れて行かれる事になるだろう。
逮捕されるのは、正確な調査をした上で決まる事だから、オレが釈放されるのはそれほど遅くはないだろう。
しかし、殺人犯だと疑われた時点で、学校を辞めさせられる危険は高い。
戻って来たら退学だったという生徒は、少なからずいるはずだ。
「オレは女装壁なんてありませんよ!
それに、女生徒は門から出て来た所を、オレがぶつかったと言っているんですよ。
それに対し、魚崎さんは、家に入っていく所を体当たりしたと言っているんですよ。
この矛盾はどう説明するんですか?」
貞先生は、冷酷な表情で言う。
「まあ、魚崎さんがボケ始めていたという事で……。
それに、ぶつかった後で二人の存在を気にし始めるから、正確に覚えているかどうかは不確定よね?
ナイフを落として気が付いたというから、その前の行動は不鮮明なはずよ!
残念だったわね、木霊君!」
刑事さんは、オレをフォローしてくれた。
おそらくオレ達と会う前に、鏡野真里とかいう女生徒から正確な情報を聞いていたのだろう。
どこの部分から、男性と判断できたかも聞いていたのだ。
「一応、女生徒から、どんな特徴で男子生徒と分かったかを聞いておいた。
彼女は、犯人の顔は分からなかったが、制服からこの高校の男子生徒だと分かったらしい。
という事で、女生徒は男子学生服を着ていたから、この学校の男子生徒が怪しいと知らせて来たんだよ。
木霊君の女装壁疑惑は無いよ。
まあ、プライベートでどうかまでは知らないけどね!」
「ちっ!」
貞先生が舌打ちした。
それを聞き、生徒指導室は静まりかえる。
もしも、刑事さんが貞先生に好意を持っていたら、ドン引きの行動だっただろう。
もう少し言動に注意した方が、結婚もし易いだろうに……。
しばらくして、遠野さんが沈黙を破った。
「あの、公園の時計の事ですけど、実はあれ五分ほど遅れているんですけど……」
それを聞き、刑事さんは驚いて叫ぶ。
公園をよく利用していた人なら知っている情報だった。
ホームレスは、腕時計などしていない。
その為に、公園の時計のズレを知らなかったのだろう。
「何だって! それじゃあ、犯行時刻にズレが生じて来るじゃないか。
木霊君がぶつかった後に、また別の真犯人が、被害者を刺した可能性が出て来たぞ!」
貞先生は、オレの方を見て言う。
「待ってください、刑事さん。
遠野さんが木霊君を見て、憐みを感じてそういう虚言を言っている可能性もあるわ。
それに、仮に犯行時刻が違っても、木霊君が犯行を行った可能性は十分あるのよ!」
女の嫉妬は怖い。
喰い付いたら離さないピラニアのように些細な事でもガンガン喰い付いてくる。
彼女の何がそうさせるのだろうか?
「そうだな。
まずは、公園の時計について、部下に調査してもらう。
ちょっと、外で電話をしてきますよ」
刑事さんはそう言って、生徒指導室から出て行った。
オレは思う、刑事さん部屋を行かないでと……。
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