【オススメネット小説】幻獣少女えるふ&幻獣になったオレ

猫パンチ

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第一章 カプリコーンと魔術師(マジシャン)の卵

第八話 カプリコーンの足跡

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 刑事さんは、まず被害者の身長を教えてくれる。
どうやら、刑事さん的には、オレは犯人から除外されたようだ。
動機もないので、警察の秘密事項もちょっとだけ教えてくれる。
とりあえず真犯人を特定できれば、貞先生も納得するだろう。

「被害者女性は、八木聖子。
年齢は三十二歳、身長百五十センチ。
スーツの似合う経営者で、男性からも人気があったようだ。
しかし、仕事優先タイプのため、あまり交友関係はうまくいかず、更に、不動産トラブルを抱えていたそうだ。
なので、殺害される動機は、不動産トラブルか、男女間のトラブルとみている。
一応、木霊君も含め、動機もあり、アリバイもない人物の資料を集めてみた。
参考にしてくれ」

刑事はそう言って、資料を見せてくれる。
どうやら刑事さんが独自に調べていた資料であり、ホワイトボードに追加されていった。
容疑者は、三人にまで絞られているようだ。
オレも含まれているが、当然犯人ではないので除外する。
その資料には、こう書いてあった。

酒牧羊子、三十五歳で、身長百七十センチ。
仕事は、公務員である。
八木聖子から不動産を高値で売り付けられており、恨みを持っていた可能性がある。

星野慎也、三十一歳で、身長百六十センチ。
仕事は、八木聖子の会社の社員である。
八木聖子と付き合っていたが、数日前に八木聖子から一方的に別れ話をされ、破局。

 貞麗子、二十六歳で、身長百七十センチ。
仕事は、幻住高校の教師。
八木聖子とは、家が近く、ゴミ出しや車の駐車などの理由で、ご近所トラブルが絶えなかった。
貞麗子の彼氏であった警察官の南田猛は、お金目当てにより八木聖子と付き合いだし、数日前に貞麗子と別れ話を切り出した。
アリバイは微妙。

 轟木霊、十五歳で、身長百六十五センチ。
幻住高校に通う高校生。
八木聖子の家が、彼の通学路上にあり、顔見知り程度の知り合い。
動機はないものの、事件犯行時刻に現場周辺にいた疑いあり。
女子高生が、彼と女性がぶつかった所を目撃し、光る物を落としたと証言。
しかし、公園の時計が遅れていた事により、彼の犯行ではない可能性が高い。
ただし、犯人を目撃している可能性が高い。

本当は調査資料にはもっと人の名前があったが、オレがしっかり見たのはこの四つの名前だけだった。
刑事さんが怪しい人物を自分でピックアップしていたから、この四つだけ記憶していたのだ。
オレ達はその資料を見ながら言う。

「この貞麗子って、貞先生じゃないですか? 
何気に動機もありそうですし……」

貞先生は、オレの意見を猛烈に抗議する。

「ち、違うわよ! この調書は、真実を書いていないわ。
南田猛から振られたんじゃなくて、私から振ったのよ!」

「え? でも、私が貞先生を慰めに、ケーキを一緒に食べていた時は、振られたって、言って泣いていましたよね?」

遠野さんは、言ってはいけない貞先生のプライベートを暴露する。
貞先生は思い出し泣き出すが、この調書は捏造だった。
あまりにも貞先生が事件妨害をするため、刑事さんが気を利かせ、残り二つを足したのだ。
自分が容疑者でないと思っていた時は煩かったが、容疑者になった途端に静かになった。

(ナイス、刑事さん! )

オレは親指を立て、合図を送った。
刑事さんもそれに反応して、オレに合図を送る。
わずかばかりの友情が芽生えていた。
貞先生に知られてしまえば、刑事さんがボコボコにされる危険もあったが、貞先生は気が付かずにダメージを受け続けていた。

「そうよ……。南田猛から振ったのよ。
将来は、やっぱり金のある美人が良いとか言われてね。
君は可愛いけど、酒癖も悪いし、気も強い。
僕がいなくてもやっていけるさ、とか言われてね! うわああああ……」

泣きまくる貞先生に、遠野さんは言う。

「あの、貞先生には悪いんですけど、殺人犯として疑われていますよ。
先にそっちを解決しないとまずいです」

遠野さんにそう言われ、オレは不審に思う。
それも刑事さんの仕掛けた罠だったのだ。
この刑事さんも相当のドSだな!

「え? 貞先生は犯行当時、交番にいたんだろ。
アリバイ成立じゃないか!」

「いえ、女生徒が来た時、交番のお巡りさんをぶん殴って逃げたらしいので、その後の行動は分かりません。
去り際に、殺してやると言っていたそうですから……」

「もう、教師の態度じゃないよ。
それじゃあ、疑われても仕方ないね」

みんなも危険な言動や態度は控えようね。
事件が起こった時、疑われちゃうぞ!
遠野さんとオレの会話を聞き、貞先生は泣きながらお願いする。
刑事さんの罠にはまり、精神力はへし折られたようだ。

「もうダメ! 
私は、推理する気力も、木霊君を犯人にする熱意も湧かないわ。
遠野さん、私の無実を証明して!」

「はい、轟木霊(とどろきこだま)も貞先生も両方救います。
私は、二人とも信じていますから!」

貞先生がオレの方を見て、笑いながら言う。

「ふっ、信じる事って大切なのね……」

そう言い残し、貞先生は眠り込んだ。
相当疲労が溜まっていたようだ。
おそらく、失恋してから眠ることができなかったのだろう。
オレ達は、貞先生をソファーに寝かし、捜査を続行する。
貞先生が目を覚ました時、もっと生徒の事を思ってくれる先生になる事を、オレは願っていた。
刑事さんは、貞先生が眠ったのを確認すると、残ったオレと遠野さんを見て言い出す。

「しかし、どうする? 
まだ貞先生の犯行じゃないと決まったわけじゃないし、木霊君でも犯行の可能性はある。
何か、犯人を特定できるような証拠でもない限り、事件は解決しないんだが……」

オレはそう言われてもどうする事も出来なかった。
貞先生の暴走一つ止められないのだ。
今のオレは無力に等しい。
そう思って黙っていると、遠野さんがオレにお願いする。

「大丈夫です。私には、もう犯人が分かっていますから。
ただ、証拠がありません。
轟木霊(とどろきこだま)、あなたがぶつかった女性の特徴を教えてくれませんか? 
そこから、何か突破口ができるかもしれませんから……」

遠野さんはそう言って、スケッチブックを取り出す。
どうやら、オレの記憶から似顔絵を作成するようだ。
そういえば遠野さんは、アルバイトでキャラクターのデザインもしているんだったよな。
絵を描くのも彼女の得意分野のはずだ。
初めて見る刑事さんは驚いて訊く。

「遠野さんは、絵も描けるのかい? 
それに、犯人が分かったというのも本当かい?」

「はい。絵は、私の趣味ですし、得意分野でもあります。
事件の真相は、だいたい分かりました。
後は、犯人を追い詰める証拠です。
轟木霊(とどろきこだま)、あなたが知っている女性の特徴を言ってください。
どんな細かい事でも結構ですよ!」

遠野はそう言い、ぶつかった女性の絵を書き始める。
オレは記憶を頼りに、ぶつかった女性の事を話し始めた。
うろ覚えだったが、記憶を思い出しながらなんとか完成させる。
遠野さんの絵が完成した時、オレは重要な事を思い出した。
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