【オススメネット小説】幻獣少女えるふ&幻獣になったオレ

猫パンチ

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第二章 妖星少女とギガ―ス

第二章のプロローグ

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オレの名前は轟木霊(とどろきこだま)。
幻住高校に通う一年C組(カプリコーン組)の生徒だ。
高校生活も数日が過ぎ、何事も無く金曜日を迎えようとしていた。
土曜日か、日曜日には、隣の席の女の子・遠野えるふ(とおのえるふ)を自宅に呼ばないといけないと思っていた。

オレの母親は、女の子が好きらしいのだが、生まれて来た妹・轟水霊(とどろきみずち)の性格は、機械いじりを趣味にするとても女の子とは言えない性格だ。
もちろん大切に可愛がっているが、女の子らしい女の子という欲求も溜まっているらしい。
オレの兄も居るが、彼女等作らず魔法(マジック)の修業に明け暮れている。
はっきり言って、二人とも技術が凄く、お母さんは蚊帳の外だ。
次元の違う話題により、二人が集中している時は関わらないようにしていた。
親としては嬉しい変化だが、母親としては寂しい思いを抱えているのだろう。

彼女ができて疎ましく思うことはない。
むしろ、オレの母親が、オレの彼女と仲良くなることを望んでいるようだ。
女子高生が来る事によって、オレの母親も気分的に若返るらしい。
まあ、今の女子高生の知識を得れる数少ない機会なのだ。
積極的に求めているのだろう。

オレの兄貴はホモではないが、女子に関心はない。
自分の夢を求めているだけに、彼女を作る余裕もないそうだ。
妹はもっと人間的に重症だった。
同級生は全員愚か者と見ており、機械科学の大学教授と交流があるらしい。
五十代くらいの教授達の中に入り、知識を吸収しているらしい。
当然にように、オレのことさえもバカにして来る。

母親の事は大切にしているが、それほど話し合う事も少ない。
この二人の兄妹により、オレに期待が集まるのだった。
比較的自分と合うオレのところに関心が向くのは当然の事である。
お母さん的には、髪の毛を可愛くしたり、可愛い衣装を着せたりしたいらしいのだが、遠野さんと会わせて大丈夫だろうか? 

性格的には問題ないと思うが、彼女には秘密がある。
髪の毛をいじると、幻獣に変身してしまうというのだ。
どの程度変わるのかまでは良く知らないが、髪型をポニーテールにすると、有名な幻獣『エルフ』になってしまった。
耳が尖って、髪の色と目の色が赤くなるだけだが、頭脳は上がっているという。

これ以外にも、いろいろあるらしく彼女は人と接するのを嫌っていた。
オレは偶然にもそれを知り、付き合い始める事になった(監視目的らしいが……)。
新しい携帯電話(スマートフォン)を買ってもらう条件として、女の子を家に連れて来る必要がある。
なんとかうまく会わせられないものだろうか? 
 
そんな事を模索していると、適当に仲良くなった男子・酒牧宴(さかまきうたげ)が近付いてきた。
彼はいわゆる美少女マニアであり、学年に一人はいるという美少女ランキングの創始者である。

自ら努力をして、男子に投票制度を設け、誰が可愛い女子かを集計して回るのだ。
男子からは一目置かれているが、女子からは嫌われるという素晴らしい仕事を自ら買って出てくれる。
そして、恋の相談などもしてくれるという男友達にとってはありがたい存在なのだ。
どうやら第一回美少女投票の結果が集計で来たらしく、オレに教えてくれる。
スマートフォンを買って盛り上がっている時期だったから、かなり早い段階で回答したらしく気に入られたようだ。

オレが投票した女の子は、遠野えるふ。
まあ、隣の席だし、それなりに仲良くなったから投票しておいた。
他の女の子の名前もうろ覚えだしな。
どうやら一年の各クラス統計はできたらしく、オレに教えてくれるらしい。

「このクラスの一位は、遠野えるふさんだったよ。
まあ、普通に可愛いし、名前も覚え易い。
声をかける生徒はお前以外いないみたいだけど、なかなか人気はあるみたいだな!」

「ほう……。嬉しいような、イライラするような結果だな。
隠れファンがいるのか……」

「まあ、まだ性格とか、成績とか分かってないからな。
来月頃にはそれなりに談志と女子と知り合い始めているだろうから、結果も接戦になるだろうけどな。
ちなみに、他のクラスの可愛い女子も知りたいか?」

「参考程度には……」

「よし! まずはA組(アメミット組)・天草夏美(あまくさなつみ)。
成績はトップクラスらしく、運動神経もかなり良い。
見た目は幼い感じが漂っているが、かなりのしっかり者。
社会人になったお兄さんに支えられて生活しているという薄幸の美少女だ。
両親は不慮の事故で小さい時に亡くなり、お兄さんと一緒に孤児院で生活していたが、お兄さんが定期的に収入を得るようになった為、この幻住高校に入学して来たという。

休日はお兄さんの仕事の手伝いをしているらしい。
噂では、孤児院の跡継ぎ候補として将来も有望視されているらしい。
孤児院だから母親代わりが跡継ぎにふさわしいという事で、女の子ばかり候補になっているらしいけどな」

「A組(アメミット組)か……。
成績優秀者が多いクラスって評判だよな。
個性は少ないけど、将来は安定した職業に就く奴が多いとか……。
公務員とか、弁護士、医者とか……」

「ああ、将来養ってもらうんだったら、A組(アメミット組)の子と付き合った方が良いらしいな」

酒牧宴の資料には、バッチリ写真が張ってあった。
それ見てオレは顔を知る事ができた。

(天草夏美ちゃんか……。
セミロングが似合う美少女だな。
礼儀もありそうだし、気品も漂っている感じだ。
ぶりっ子そうだけど……)

オレは他の女子も気になり訊いてみる。
やはり可愛い女子に興味が湧くのは、この時期から死ぬまで続くのだ。

「他にはどんな女子がいるの?」

実際、興味は尽きない。
遠野さんや天草さんのように仕事をしている生徒も多数いる。
情報は多ければ多いほど、アルバイト探しがし易いという利点がある。
情報の有無によっては、足りない成績を補う可能性もあるのだ。

「B組(バックべアー組)のトップは、鏡野真梨(かがみのまり)だな。
成績は知らんが、運動神経が断トツで良い。
おそらく幻住学校全体で見てもトップクラスの運動神経だろう。
髪型はショートカットで、スタイルはバレー選手並みのムチムチボディーだ。
アルバイトはいくつも掛け持ちしていて、アルバイトを捜しているなら最初に声をかけるべき相手だ。

まあ、未経験でもそれなりの時給で仕事先を紹介してくれるらしいぞ! 
アルバイト時間は深夜や早朝、休日らしいから部活動も出来る。
だから運動部の助人候補ナンバーワンだ。
性格は曲者らしいが、将来オリンピックに参加できる逸材としてピックアップしている企業もあるらしい。
残念ながら写真は無いけどな……」

そういう酒牧の胸には、靴跡がしっかり残っていた。
痴漢と勘違いされて撃退されたのだろうか? 
まあ、B組(バックべアー組)の女子ならそのくらいは標準装備されているはずだ。
ちなみに、B組(バックべアー組)は、成績はあまり良くないが、運動神経が良い生徒が揃っている。
体育祭では優勝候補の一角だ。

優勝はほとんどB組関連(2年はべヒ―モス組・3年はバハムート組)だけどな。
アルバイトの鬼と運動部のオンパレードだ。
特に、運動神経が良い選手や優秀な働き手となりそうな生徒は、有名企業への就職が決まると言われている。
それは3年になったら関係する話だろうけどな。
早めに注目している企業もいる。
アルバイトの延長線上で、機械的に就職させる有名企業もいるのだ。
主な理由は、実際に働いて優秀だったり、スポーツの広告塔になってもらうらしい。

 C組(カプリコーン組)は、成績も運動神経も普通か並以下だが、特殊技能を備えた生徒が多くいる。
趣味が仕事に変わり、学生で社長という生徒も珍しくない。
漫画家だったり、小説家だったり、伝統技術を持っている生徒だ。
その分、失敗例もたくさんあり、進学できない生徒も多い。
それなりに就職先も努力しているようだが、それでも狭き門になりつつある。
普通に勉強を頑張って、A組に移動する生徒も多いらしい。
将来性もかなり不安定だ。

 D組(デュラハン組)は、それ以外の生徒が多くいる。
進学できない生徒が多いためか、それとも隠れた才能を持っている生徒がいるためか、デンジャラス集団と呼ばれている。
犯罪者並みの技術ばかりが揃っているだけに、教師も注意して見ているのだ。
だいたいが警察関係の仕事に就くが、中には本当に犯罪者になる人物もいる。
蔑まれている節もあり、逆境によって得た技術は恐ろしい物がある。
教師陣も彼らの技術を善用させる為に奮闘しているのだ。
まあ、1年はそれほど警戒する必要もない。
問題なのは、1、2年後だろう。

 酒牧宴は、最後に幻住高校ベスト美女候補を教えてくれた。
すでに性格も成績も知られており、経済力も優秀な人材は1年生ではあり得ない。
1年生はあくまで潜在能力を持っているにすぎない。
本当の怪物は2、3年生の中にいるのだ。

「トップ美少女は、おそらく3年C組(ケルベロス組)・犬神今日子(いぬがみきょうこ)さんだろう。
家柄は、知る人ぞ知る犬神家の名家だ。
中国地方では、『犬神家を敵にして明日の命無し』とまで言われている。
彼女はその名家出身でありながら、父親と対立し、この幻住高校へ入学して来た。
これだけならただの家出娘だが、独自の才能によって会社を設立させた。

芸能プロダクション『ケルベロス』を設立し、自らもモデル、歌手、女優として活動している実力は本物だ。
取り巻きの3年・犬塚秋子(いぬづかあきこ)と犬山公子(いぬやまきみこ)を引き連れて、今日も地道に活動中だ。
成績もトップクラスらしいし、運動神経もスタイルも抜群! 
幻住高校が誇る美女と言っても差し支えがないだろう。
オレは今からその美女を見に行く。
お前も来るか?」

「トップ美少女か……」

「ああ、将来性・成績・スタイル、トリプルSの持ち主だ。
更に、性格はドS。
危険な香りに学校全体の男共は吸い寄せられているという」

「超ドS級の美少女か。オレも行かねばなるまい!」

オレと酒牧は、危険な香りのする美女に会いに行くため、教室を出ようとする。
全てのクラスの能力をバランス良く得ている怪物美女だ。
成績も優秀で、スタイルと運動神経も良く、驚異的な技術も持っている。
一歩間違えば、超凶悪な犯罪者にさえなり得るのだ。
全体的に見て、技術力が優れている為にC組(ケルベロス組)に所属している。
しかし、成績自体は学校トップクラスなのだ。
これは、一度見てみたい怪物美女だろう!

「どこに行くの? トイレ?」

オレは教室の扉の前で、遠野さんに声をかけられた。
付き合っている(監視されている)ため、オレの行動が気になるのだろうか? 
ちょくちょくオレの近くに座って、話を聞いていたようだ。
女子に聞かれたくない話は、聞かれないように努力していたが、やはり気になるらしい。
それとも、オレと酒牧の会話をバッチリ聞いていたのだろうか? 
とにかく弁明しなければならない。
そう考えていると、酒牧が口を滑らせる。

「学校トップクラスのお姉様美女に会いに行くのだ!」

「美女? 何で? 休み時間もあんまりないよ?」

遠野さんは無邪気にそう訊いてきた。
男同士ならば、美女に会いに行く・休み時間の短い時間を狙う、この二つだけで推理できる物だが、女子には理解できないようだ。
まあ、理解されても困るのだが……。
そう、短い時間に接触を持ち、恋愛関係にまで持っていくのが狙いだ!
長い休み時間は、大量の生徒が彼女の周りに押しかけているが、短い時間なら人数は少ない。
会う約束を取り付けるのも場合によっては可能なのだ!
オレと酒牧はアイコンタクトをし、互いに置かれている状況を一瞬で理解した。

(今、美女である犬神今日子に会いに行くのはまずい! 
折角遠野さんから話しかけて来たのだから、オレは何とか誤魔化してみる。
酒牧は、超ドSのお姉様美女に会いに行け! 
オレに構うな!)

酒牧はオレのアイコンタクトを理解したのか、オレに合図を送る。
わずか数秒だが、男同士ならばできる奇跡だった。

(ああ、俺は先に行く! 
後で報告はするから、お前も遠野さんと話をしてやれ! 
まだ幼いが、潜在能力だけなら犬神今日子お姉様とも互角に渡り合える逸材だ! 
頑張れよ!)

酒牧は教室を出て、超ドSの美女を目指して旅立って行った。
かなりの死闘が予想される。
上手くいけば彼女として付き合えるが、そう容易い相手ではない。
遠野さんは、オレの回答を期待して、オレの顔を見る。
さすがに、自分からあまり近づかないタイプの女子が、オレに近付いて来るのは、嬉しくもあり、緊張もする。

超ドS級の美女には敵わないだろうが、遠野さんも可愛さ(清楚系)だけならS級に匹敵するはずだ。
名前が覚えやすいという理由で高評価なのかもしれないが、曲がりなりにもトップクラスの実力の持ち主。
それが自ら近付いて来るというのは、かなり心を揺さ振られる。
男というのは、自分から近付いて来る女の子に弱いのだ。
それが美少女なら、破壊力は計り知れない物になる。

何とか彼女の好意を持続させたいと願う。
美女を見たいが為に会いに行くとは、口が裂けても言えないのだ。
せめて、別の理由を付属させなければ、彼女の好意は目で見える様に低下するだろう。
男として、それは避けたかった。

一旦、好意を持った女子からの軽蔑の眼差しは、ナイフで心臓を抉られるほどの破壊力を持っているのだ。
十五歳という若い肉体では、そのダメージを受け切る事ができない。
何とか遠野さんの好意を失わず、美女うんぬんの遣り取りを終了させなければならない。

「隣のB組(バックべアー組)に、鏡野真梨っていう美少女がいるらしいんだ。
そいつは、アルバイトの斡旋もしているようだから、話だけでも訊いてみようと思って会いに行くんだ」

「ふーん、鏡野真梨さんか……。じゃあ、私も会いに行きたい!」

「ええ! 珍しいね。遠野さんが人に会いたがるなんて……」

「うん! 貞先生と同居しているって噂だし、貞先生と仲が良いって事は、私とも仲良くなれるかもしれない。会って見たい!」

「そうか……」

貞先生と仲が良い。
この情報からあまり近付きたくないタイプかも、とオレは予想した。
しかし、遠野さんのように無理矢理連れ回されている可能性もある。
まともな奴であってくれと願いながら、隣の教室に向かって行く事にした。
酒牧の写真が撮れなかった所からすると、すでにまともな美少女でない事は容易に判断できるのだが……。
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