【オススメネット小説】幻獣少女えるふ&幻獣になったオレ

猫パンチ

文字の大きさ
19 / 93
第二章 妖星少女とギガ―ス

第七話 ギガ―スの投げ技

しおりを挟む
 オレ達四人は、被害者が飛んで来たと思われる場所に移動する。
被害者が飛んで来た場所は竹藪になっており、敷地の外はT字路になっていた。
車通は少ないが、日に何台かは通るようだ。
しかし、街灯は少なく、すぐには気付かなかった。
暗闇なら道路がある事さえ分からない。

「うーん、ここから猛スピードで被害者を撥ねたとしたら……、あんなに飛ぶ事は無いな。せめて五、六メートル飛んで竹藪に激突するはずだ。
君達がいた場所は、竹藪から十メートルは離れている。
車の事故で十五メートルも飛ぶのは、時速百キロ以上を超えないといけないから、この道では無理だろう」

野村警部は轢き逃げを疑うが、この道は狭く道路交通も良くはない。
たとえ朝とはいえ、百キロ以上のスピードを出すのは無理だろう。
それに、急ブレーキで止まったような痕も無い。
もしも朝方に時速百キロで走るような車があったら、オレ達が気付いているはずだ。
ひき逃げの可能性はほとんど無い。
オレ達は次の可能性を考慮する。

しかし、遠野さんはギガ―スの足跡を一人で捜していた。
まあ、事件捜査で犯人の足跡を調べるのは基本中の基本だが、素人ではそれも難しい。
遠野さんは鑑識の人と話しながら、足跡の分析結果を待つ事にした。

「ダメですね……。ギガ―スと思われる巨大な男の足跡はありません。
あるのは、被害者の足跡とその彼女と思われる女性の足跡だけです。
ただ、竹藪を切ったと思われる被害者の靴が多いのは分かるんですが、女性の靴も竹藪周辺に多いんです。

後、住職の足跡もちらほらありますね。
最後に気になるのは、最近打ち付けられたような杭があります。
後は、関係無いのでしょうが、今朝できたばかりのタケノコがあるくらいですけど……」

「そうですか……。ギガ―スはいなさそうですね。
じゃあ、怪しい竹藪でも調べてみますか? 
たぶん、そこに事件の真相があるはずですけど……」

遠野さんはギガ―スがいないと知って、やる気を無くしたようだ。
しかし、エルフモードのおかげか、二十分ほどでだいたいのトリックが分かったようだ。果たして、犯人はどのようにして人を飛ばしたのだろうか?

 朝になって太陽が昇ると、それまで見えなかったものが見えて来る。
遠野さんの言う通り竹藪を調べると、犯人が使ったと思われるトリックが露わになっていた。
しかし、素人のオレからしてみたら、全く気が付かない。

「なんか、ハンモックがぶら下がっていますね。
おそらく、これが被害者をあそこまで飛ばしたトリックでしょうね」

「なるほど、犯人はハンモックと竹の反動を使って、被害者を吹っ飛ばしたというわけか。これなら誰でも犯行は可能になる。
遠野君、木霊君、鏡野君は、一応アリバイ成立としてみると、怪しいのは住職だな! 

被害者の近くにいた事になるし、夜に仕掛けをしておき、朝にトイレに行くなどして抜け出せば、わずかな時間で犯行は可能になる。
家族も寝ていたから、住職の行動を良くは覚えていないだろうしな。
ちょっと動機を調べてみるか……」

鑑識さんと野村警部がそう言っていると、遠野さんがもう一人の怪しい人物を教える。

「被害者の彼女と言われる人も怪しいです。
動機とアリバイを調べてみない事には……」

「そうだね。でも、被害者の彼女は犯人じゃないと思うよ。
彼女はコンビニのアルバイトをしていたそうだし、ちゃんとモニターに映っている。
彼女の務めているコンビニからここまで来るのに、車で一時間ほどかかる。
彼女のアリバイは完璧だよ!」

野村警部はそう言い放ったが、遠野さんは最後の力を振り絞り、最後のトリックを暴いてくれた。
回復したわずかな精神力も、エルフモードを維持するのは大変のようだ。
遠野さんの髪の毛はほとんど黒く変色し、エルフモードを持続するのは難しい状況になっている。

「ちょっと見難いですが、ハンモックとは別に、小さい輪の付いた紐があるのが分かりますよね。
そして、ハンモックは杭のような物で固定されていた。
タケノコの急成長を利用し、朝に誰もいなくても杭が外れるようにセットされていたんです。
つまり、犯行は夜の内に仕掛けられていたことになります。
もしも、夜に被害者と会っていたというのなら、彼女も犯人の可能性があります!」

遠野さんはそう言ってから、逃げるようにオレの近くに張り付いた。
野村警部が、遠野さんに補足の推理を求めると、こう言い出した。

「すいません。ギガ―スの犯行じゃないので、事件の興味が無くなりました。
後は、刑事さん達で犯人を捕まえてください」

「ちょっと、あれだけ事件を推理してくれたんだから、犯人逮捕まで協力してよ。
ほら、俺の方からも警察に掛け合って、金一封が出るようにするからさ……」

野村警部のその一言を、鏡野真梨が聞き付けた。
恐るべき反応で警部に詰め寄る。

「金か? ウチらにも出るんか? どれくらいや?」

「いや、まあ代表者としてなら出せると思うけど……」

「ホンマか!」

遠野さんは消極的な意見を述べる。
伏し目がちであまり嬉しくなさそうだ。
遠野さんはギガ―スが居無くて飽きたと言っていたが、実際にはもう限界のようだ。
ポニーテールにもかかわらず、髪の毛が黒色になり、ちょっと消極的な態度を見せている。精神力が尽きた証拠だった。
しばらく休ませないと、事件を解決する推理力も出ないのだろう。

「金一封って、そんなに金額は無いんですよ。
そりゃあ、警察官は出世に有利でしょうけど。
一般人は、新聞記事に載って有名になる程度で、そんなにメリットないし……」

消極的になる遠野さんに対し、鏡野はいつものように金にがめつく積極的だ。

「ええやん! もしかしたら、女子高生探偵として有名になれるかもしれへんで! 
更に、そういう勲章は後々就職にもええ印象を与えるもんやで! 
ウチ、有名になりたいわ!」

鏡野真梨はそう言って、積極的な意見を述べる。
心配しなくても、お前はもう警察にマークされているよ。
オレはそう突っ込みつつも、黙って聞いていた。

「私、そんなに目立ちたくないし……」

「ああ、もう!」

遠野さんの消極的な意見を聞いていた鏡野だったが、内気な態度にイライラし始める。

「さっきまでの推理していたカッコええ遠野さんはどこに行ったんや! 
あんなすいすいと事件を解決しとったくせに!」

鏡野真梨は遠野さんに詰め寄る。
さながらヤンキーが絡んで来るようで、突然されたら怖いと感じて、オレは黙って見守っていた。
遠野さんは小動物のように、言葉を出せず震えている。
あまりにも可哀想で見ていられず、オレが助ける事にする。
果たして、キレ気味の鏡野真梨に言葉は通じるのだろうか? 
オレは決死の介入に挑む。

「遠野さんには、オレと一緒に開発した技があって、髪の色と瞳の色が変わって、身体能力が向上するんだ。
ただ、今は精神力が無くなったから元に戻っているけどな。
ポニーテールを解いて、しばらくすれば推理力のあるエルフモードになれるはずだ。
鏡野は、髪の色や眼の色が変わった事にも、身体的変化も気が付いていないようだがな……」

鏡野真梨は驚いたように遠野さんを見つめる。

「ホンマか? そんなに変わったか? 
全然分からへんわ。
せやけど、そういう事なら仕方ないわ。
しばらく待つわ。でも、すごいな。
うまくいけば、あんた友達仰山できるようになるで! ホンマ!」

遠野さんは顔付きが変わった。そして尋ねる。

「本当に? 本当に友達がたくさんできる?」

「ああ、できるで! 困った時に友達を助ける。それだけで、友達だらけやで!」

鏡野の目には、お金儲けを企むような目だったが、オレは黙って見ている。

(お前も友達が増えると良いな。今は、事件を解決できる仲間を大切にしろ!)

野村警部もそれを聞き、二人の話し合いに加わる。
どうやら遠野さんの推理能力を買っているようだ。

「そうだ。ずっと推理できるようになれば、社会でも活躍できるぞ。
まずは、この事件を解決してみようか?」

野村警部の目にも、出世を企むような目だったが、遠野さんに友達が増えるなら良いかと思い、オレも協力する事にした。
遠野さんがエルフモードになれるまでどのくらいかかるか分からないが、とりあえず精神力が回復するまでオレが遠野さんを守る事にする。

オレは、遠野さんの黒髪ポニーテール姿にドキドキする。
そう、オレは黒髪ポニーテールの女の子が好みだったのだ。
ほどよく疲れている表情がまたオレの心をドキドキさせる。
もったいないと思いつつも、エルフモードを止めるために遠野さんのポニーテールを解く。
オレが遠野さんの後ろに周り、髪の毛を解くと、遠野さんがオレに笑って語り掛ける。

「ありがとう」

そう言ってオレの胸に倒れ込んで来た。
遠野さんは精神力が尽き、自分を支える力が無くなっていただけだが、思わぬ不意打ちにドッキリした。
柔らかい身体をオレが包み込む。
遠野さんの髪の匂いを嗅いでいると、鏡野真梨がオレを見て尋ねる。

「どないしたんや? さっきから動きが怪しいで……」

挙動不審を見抜かれたようだが、鏡野真梨は金儲けの事に集中しているようで、それ以上は訊いて来なかった。
オレは、遠野さんを背負って行動する事にした。
意識はあるようだが、身体が疲れて動けないと言う。
オーガモードとエルフモードを何度も使ったため、疲労が出ているようだった。

遠野さんのオッパイが当たり、気持ちが良い。
しかし、今はにやけている場合などではない。
遠野さんが回復するまでオレが彼女を支えないと……。
でも、やっぱりオッパイは気持ちが良いのだが……。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

ビキニに恋した男

廣瀬純七
SF
ビキニを着たい男がビキニが似合う女性の体になる話

​『イージス艦長、インパール最前線へ。――牟田口廉也に転生した俺は、地獄の餓死作戦を「鉄壁の兵站要塞」に変える』

月神世一
SF
​【あらすじ】 ​「補給がなければ、戦場に立つ資格すらない」 ​ 坂上真一(さかがみ しんいち)、50歳。  かつてイージス艦長として鉄壁の防空網を指揮し、現在は海上自衛隊で次世代艦の兵站システムを設計する男。  背中には若き日の過ちである「仁王」の刺青を隠し持ち、北辰一刀流の達人でもある彼は、ある日、勤務中に仮眠をとる。 ​ 目が覚めると、そこは湿気と熱気に満ちた1944年のビルマだった。  鏡に映っていたのは、小太りで口髭の男――歴史の教科書で見た、あの「牟田口廉也」。 ​ しかも時期は、日本陸軍史上最悪の汚点とされる「インパール作戦」決行の直前。  部下たちは「必勝の精神論」を叫び、無謀な突撃を今か今かと待っている。 ​ (……ふざけるな。俺に、部下を餓死させろと言うのか?) ​ 現代の知識と、冷徹な計算、そして海自仕込みのロジスティクス能力。  すべてを駆使して、坂上(中身)は歴史への介入を開始する。  精神論を振りかざすふりをして上層部を欺き、現地改修で兵器を強化し、密かに撤退路を整備する。 ​ これは、「史上最も無能な指揮官」の皮を被った「現代の有能な指揮官」が、確定した敗北の運命をねじ伏せ、数万の命を救うために戦う、逆転の戦記ドラマ。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。 「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…

処理中です...