【オススメネット小説】幻獣少女えるふ&幻獣になったオレ

猫パンチ

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第六章 ドライアド怒りの一撃!

第六話 ドライアド逆転の一撃

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 オレは心配そうに遠野さんを見守る。
間一髪のところで、犯人を取り逃がしたのだ。
もう十分ほど早ければ、見物人の車の確認をする事ができただろうが、その時間は無くなっていた。

すると、追加の案内放送が鳴り響いた。

「本日は、特別なプレゼントが百名様に用意しております。
喫茶店『ドライアド』のドリンク無料券と天草夏美さんの作った特別ケーキ『ナツミンのオレンジパラダイス』の無料引換券です。

花火終了後、インフォメーションセンター前にお集まりください。
先着百名様にプレゼントをお配りしております」

案内係の放送後、メアリーの声が流れていた。
放送事故だろうか?

「あわわわ、駄目だ、割引チケットから手が離れない。
みんな、今日のプレゼントは無かった事にしてくれ! 
僕が責任を持って処分するから」

「ふざけるな! ナツミンのケーキをよこせ」

「何か、普通のチケットの上に、手書きでケーキ付って書いてあるな。
本当に、ナツミンのケーキも付いているんだろうな!」

「このモテないキモオタ共め! ナツミンのケーキは僕の物だ! 
ナツミンはメアリーちゃんにメロメロなんだよ!」

「うるせー! さっさとプレゼントの割引券を渡せ!」

「ゴフッ! ああ、僕のケーキが……」

なんか、新たな事件が発生しているような気がするけど、これでしばらくは見物人達を足止めする事ができる。
その間に、駐車場の車を確認すれば、殺人に使われた凶器を回収し、犯人特定の証拠にする事ができる。

 遠野さんは、伏野さんに語り掛ける。

「今、私の友人に回収してもらっています。
ハンドメイドのボウガンは、一部の部品だけでは証拠にならないけど、八割回収できれば犯人を特定する証拠になり得ます。

解体する時には、時間をかけないようにするために、手袋は取っていたでしょうからね。犯人の指紋は残っているはずです。
その指紋が、犯人を特定する証拠ですよ!」

伏野さんは、焦った表情をしながら黙っていた。
怒りを無理矢理抑えている感じだ。

オレは、遠野さんに危害が及ばない様に注意して見ていた。
染井刑事は、状況が全く理解していないらしく、携帯電話で遊んでいる。

 しばらくすると、鏡野真梨からの連絡があった。
花火の打ち上げが終わってから、二十分ほど経過していたが、見物人はまだ大勢残っているようだ。

「エリー、駐車場の車の上に、積み木の様な部品が置いてあったで! 
一台の自動車に一パーツだけやが、場所は密集して置いてあったわ。

駐車場の自動車を全て確認したけど、だいぶパーツが集まったわ。
ビニール袋に入れて、そっちに持って行くで!」

「ありがとう。御苦労様(ごくろうさま)」

遠野さんは携帯電話をしまうと、伏野さんに言う。

「どうやら、証拠を回収できたようです。これで犯人が特定できますよ。
もしも、あなたが犯人なら自首をお勧めしますけど……」

遠野さんがそう勧めると、伏野さんは諦めたように笑って言う。

「ふー、やはり完全犯罪は起こせませんな。分かりました。自首します」

「動機というのは、不動産関係でしょうか?」

「いいえ、彼が私の彼女に手を出した事が原因です。

不動産関係のトラブルというのは、裏社会の人に抹殺された様に見せかけるためのフェイクですよ。
あっさり見抜かれてしまいましたけどね……」

「そうですか。では、染井刑事が連れて行きますから。指示に従ってください」

伏野さんは不思議そうな顔で尋ねる。

「あなたは逮捕しないんですか? 出世するチャンスでしょうに……」

遠野さんは一瞬戸惑い、オレの方を見る。

「いえ、私は警察官じゃないので……。黙っていてすいません」

「ほう、すごいですな。できれば、あなたの名前をお聞きしたい!」

「はあ、逆恨みとかは嫌なので、言いたくないんですけど……」

「じゃあ、職業だけでも……」

「高校生ですよ、ただの……」

伏野さんは思い出したように言う。

「私の姉も過失致死罪で捕まっているんですよ。
殺す気は無かったけど、殺人を犯してしまったようで……。

その時に聞いた話ですが、警察と一緒に女子高生が捜査に加わっていたと……。
もしかして、同じ女子高生かな? 
いや、詮索はしないようにしましょう」

「そうして下さると助かります」

伏野さんはしばらく公園を散歩し、近くの屋台でお酒を買って飲んでいた。
染井刑事は、車を持っておらず、自転車で来たらしい。

同僚の刑事さんがパトカーで来るまでしばらく待つという事だ。
遠野さんは、証拠品を染井刑事に渡し、励ましの言葉をかける。

「これで少しは手柄を立てた事になるでしょう。まあ、死なないように頑張ってください」

遠野さんは疲れたのか、髪型をロングヘアーに戻し、エルフモードを解除した。
浴衣姿には、髪を束ねていた方が見栄えが良いが、疲労を溜めない様にする事が先決だ。遠野さんはオレにこう言う。

「すいません。家まで運んでもらっても良いですか? 眠気が急にきました……」

「ああ、オレがおんぶするよ」

遠野さんは、幻獣化のエルフモードを使い過ぎて限界になると、急激に眠くなるのだ。
今日は疲れていたし、短時間の幻獣化でもきつかったのだろう。

オレは遠野さんを背負い、家まで帰る事にする。
まあ、遠野さんのオッパイが当たり、オレとしては嬉しいのだ。

 オレと遠野さんが帰ろうとすると、染井刑事が挨拶をする。

「今日は助かったよ。
実際、突然犯人が自首して来たようだけど、証拠を回収してもらって助かった。
遠野さんはどうしたんだ?」

「ああ、疲れて寝ているだけです。じゃあ、失礼します!」

オレが染井刑事に挨拶して別れると、染井刑事が小声でとんでもない事をつぶやいた。

「遠野えるふちゃんか……。惚れた!」

こうして、染井刑事は痴漢刑事から出世し、ストーカー刑事として生まれ変わった。
特定の女性を付け回して来るから質が悪いぞ! 
オレは遠くにいたからそれを知らなかった。

オレと遠野さんのデートはまだ終わっていない。
帰ってから遠野さんをマッサージし、天草夏美さんと一緒に三人で眠る事になっている。オレは、天草夏美さんの事を考えていた。

「天草夏美ちゃんか。そういえば、ケーキ百人分も作らなきゃいけないなんて大変だな。大丈夫かな? 特別なイベントなんて聞いてないけど……」

実は、鏡野真梨が持っていたのは普通のドリンク無料券だけだった。
鏡野真梨は名刺代わりに割引チケット百枚程度を常備している。

しかし、それでは喰い付きが悪いからと、鏡野が勝手に追加したのだ。
天草夏美さんは数時間後に知る事になるのだが、今月の売り上げ自体は大幅に上がったという。

ちなみに、ケーキの代金は、染井刑事が自腹で払う事になっていた。
まあ、事件は無事に解決したし良かったのだろう。
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