31 / 85
風邪
しおりを挟む
さて。今日からいよいよ、中間テストが始まる。中間テストは今日と明日の二日間に分けて行われる。よし、頑張るぞ。
「朱里、大丈夫? 顔真っ赤だよ。熱でもあるんじゃない?」
なんとかテストを乗りきり、ぐったりと机に伏していると、彩月ちゃんが心配そうに声をかけてくれた。
「あはは、テスト頑張りすぎたからかな」
昨日、雨に降られたのと、テストの為に徹夜をしている。テストで徹夜してもそう頭の中に入らないってわかってるのに、どうしてもしちゃうんだよね。もしかしたら、そのせいで体がだるいのかもしれない。
「とりあえず、保健室いってきなよ」
「うん、そうする」
明日もテストがあるし、今日は早めに帰った方がいいかもしれない。ふらふらする体で何とか、保健室に行き、熱を測る。
熱は、38℃だった。うーん、風邪だ。完璧にやらかしたな。とりあえず、家に帰る。保健室の先生には、保護者に迎えに来てもらった方がいい、といわれたけれど、お義母さんには迷惑をかけたくない。
「ただいまー」
家に帰ると、玄関に鍵がかかっていた。車もないし、お義母さん出掛けてるんだろうな。やっぱり、連絡しなくてよかった。そう思いながら、鍵を開け、家の中に入る。
「えーっと、薬は……」
確か、市販薬がこの辺りにと、台所をごそごそと探す。
「あ、あった!」
薬を見つけたので、とりあえず、水で流し込み、ふらふらしながら二階に上がる。
と、
「あれ」
もう自室は目の前だと言うのに、急に力が抜けた。その場にへたりこんでしまう。これは、熱が上がってきちゃったかな、と、どこか遠くで思いながら、私は意識を失った。
「……り、朱里!?」
誰かが身体を揺さぶっている。おでこにあてられた手がひんやりとしていて、気持ちいい。
「ひどい熱だ。すぐに運ばないと」
「……ゆう、くん?」
何とか瞼をうすく開けると、優くんが心配そうな顔をしていた。
「朱里、立てる?」
「ううん」
身体に力が入らない。そういうと、優くんは私を抱き上げた。
そして、そのまま私の部屋に入り、私をベッドに横たえる。
「とりあえず、氷枕と──」
「……いかないで、ゆうくん」
優くんの制服のシャツを掴む。優くん、いかないで、私をおいていかないで。
「わかったよ。朱里の傍にいる」
そう苦笑して、私の頭を優しく撫でる。すると、何だか眠くなってきた。私がゆっくりと瞬きをすると、優くんは優しく、おやすみ、と言ってくれた。なんだか、いい夢が見られそうだ。そう思いながら、目を閉じた。
「うーん、よく寝た」
欠伸をしながら、身体を起こすと、身体が重いことに気づく。ん? と思って、布団に目を落とすと、お兄ちゃんが、伏せていた。
えっ!? なんでお兄ちゃんが私の部屋に!? 二階に上がってから全く記憶がない。看病してくれたのだろうか。
そういえば、左手が暖かい。そう思って、左手に視線をやると、
「!?!?」
お兄ちゃんと手を繋いでいた。えっ! うそっ!? お兄ちゃんが自分から手を繋ぐとは思えないから、私がせがんだんだろうか。そんな、熱で心細いなんて、今時高校生になって、そんな。
あまりの恥ずかしさに、熱は下がったはずなのに、顔が真っ赤になるのを感じる。
せめてもの証拠隠滅を図ろうとして、握った手を離そうとするも、お兄ちゃんにがっちり握られていて、抜け出せない。お兄ちゃん、案外力強いよね。
そうこうしている間に、お兄ちゃんも目を覚ました。
「あかり……? 顔が真っ赤だよ。まだ、熱があるんじゃ──」
「だっ、だだだ大丈夫! 大丈夫だから!」
「そう?」
「お、お兄ちゃん、そういえば、私桃缶が食べたいなぁ、なんて」
「わかった、とってくるよ」
「ありがとう! お兄ちゃん」
さりげなく離された手にほっとするような、残念なような。ち、違う。全然、残念じゃないから!
誰かに聞かれてるわけでもないのに、言い訳をしながら、目を閉じた。
「朱里、大丈夫? 顔真っ赤だよ。熱でもあるんじゃない?」
なんとかテストを乗りきり、ぐったりと机に伏していると、彩月ちゃんが心配そうに声をかけてくれた。
「あはは、テスト頑張りすぎたからかな」
昨日、雨に降られたのと、テストの為に徹夜をしている。テストで徹夜してもそう頭の中に入らないってわかってるのに、どうしてもしちゃうんだよね。もしかしたら、そのせいで体がだるいのかもしれない。
「とりあえず、保健室いってきなよ」
「うん、そうする」
明日もテストがあるし、今日は早めに帰った方がいいかもしれない。ふらふらする体で何とか、保健室に行き、熱を測る。
熱は、38℃だった。うーん、風邪だ。完璧にやらかしたな。とりあえず、家に帰る。保健室の先生には、保護者に迎えに来てもらった方がいい、といわれたけれど、お義母さんには迷惑をかけたくない。
「ただいまー」
家に帰ると、玄関に鍵がかかっていた。車もないし、お義母さん出掛けてるんだろうな。やっぱり、連絡しなくてよかった。そう思いながら、鍵を開け、家の中に入る。
「えーっと、薬は……」
確か、市販薬がこの辺りにと、台所をごそごそと探す。
「あ、あった!」
薬を見つけたので、とりあえず、水で流し込み、ふらふらしながら二階に上がる。
と、
「あれ」
もう自室は目の前だと言うのに、急に力が抜けた。その場にへたりこんでしまう。これは、熱が上がってきちゃったかな、と、どこか遠くで思いながら、私は意識を失った。
「……り、朱里!?」
誰かが身体を揺さぶっている。おでこにあてられた手がひんやりとしていて、気持ちいい。
「ひどい熱だ。すぐに運ばないと」
「……ゆう、くん?」
何とか瞼をうすく開けると、優くんが心配そうな顔をしていた。
「朱里、立てる?」
「ううん」
身体に力が入らない。そういうと、優くんは私を抱き上げた。
そして、そのまま私の部屋に入り、私をベッドに横たえる。
「とりあえず、氷枕と──」
「……いかないで、ゆうくん」
優くんの制服のシャツを掴む。優くん、いかないで、私をおいていかないで。
「わかったよ。朱里の傍にいる」
そう苦笑して、私の頭を優しく撫でる。すると、何だか眠くなってきた。私がゆっくりと瞬きをすると、優くんは優しく、おやすみ、と言ってくれた。なんだか、いい夢が見られそうだ。そう思いながら、目を閉じた。
「うーん、よく寝た」
欠伸をしながら、身体を起こすと、身体が重いことに気づく。ん? と思って、布団に目を落とすと、お兄ちゃんが、伏せていた。
えっ!? なんでお兄ちゃんが私の部屋に!? 二階に上がってから全く記憶がない。看病してくれたのだろうか。
そういえば、左手が暖かい。そう思って、左手に視線をやると、
「!?!?」
お兄ちゃんと手を繋いでいた。えっ! うそっ!? お兄ちゃんが自分から手を繋ぐとは思えないから、私がせがんだんだろうか。そんな、熱で心細いなんて、今時高校生になって、そんな。
あまりの恥ずかしさに、熱は下がったはずなのに、顔が真っ赤になるのを感じる。
せめてもの証拠隠滅を図ろうとして、握った手を離そうとするも、お兄ちゃんにがっちり握られていて、抜け出せない。お兄ちゃん、案外力強いよね。
そうこうしている間に、お兄ちゃんも目を覚ました。
「あかり……? 顔が真っ赤だよ。まだ、熱があるんじゃ──」
「だっ、だだだ大丈夫! 大丈夫だから!」
「そう?」
「お、お兄ちゃん、そういえば、私桃缶が食べたいなぁ、なんて」
「わかった、とってくるよ」
「ありがとう! お兄ちゃん」
さりげなく離された手にほっとするような、残念なような。ち、違う。全然、残念じゃないから!
誰かに聞かれてるわけでもないのに、言い訳をしながら、目を閉じた。
12
あなたにおすすめの小説
幽霊じゃありません!足だってありますから‼
かな
恋愛
私はトバルズ国の公爵令嬢アーリス・イソラ。8歳の時に木の根に引っかかって頭をぶつけたことにより、前世に流行った乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまったことに気づいた。だが、婚約破棄しても国外追放か修道院行きという緩い断罪だった為、自立する為のスキルを学びつつ、国外追放後のスローライフを夢見ていた。
断罪イベントを終えた数日後、目覚めたら幽霊と騒がれてしまい困惑することに…。えっ?私、生きてますけど
※ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください(*・ω・)*_ _)ペコリ
※遅筆なので、ゆっくり更新になるかもしれません。
せっかく傾国級の美人に生まれたのですから、ホントにやらなきゃ損ですよ?
志波 連
恋愛
病弱な父親とまだ学生の弟を抱えた没落寸前のオースティン伯爵家令嬢であるルシアに縁談が来た。相手は学生時代、一方的に憧れていた上級生であるエルランド伯爵家の嫡男ルイス。
父の看病と伯爵家業務で忙しく、結婚は諦めていたルシアだったが、結婚すれば多額の資金援助を受けられるという条件に、嫁ぐ決意を固める。
多忙を理由に顔合わせにも婚約式にも出てこないルイス。不信感を抱くが、弟のためには絶対に援助が必要だと考えるルシアは、黙って全てを受け入れた。
オースティン伯爵の健康状態を考慮して半年後に結婚式をあげることになり、ルイスが住んでいるエルランド伯爵家のタウンハウスに同居するためにやってきたルシア。
それでも帰ってこない夫に泣くことも怒ることも縋ることもせず、非道な夫を庇い続けるルシアの姿に深く同情した使用人たちは遂に立ち上がる。
この作品は小説家になろう及びpixivでも掲載しています
ホットランキング1位!ありがとうございます!皆様のおかげです!感謝します!
姉の厄介さは叔母譲りでしたが、嘘のようにあっさりと私の人生からいなくなりました
珠宮さくら
恋愛
イヴォンヌ・ロカンクールは、自分宛てに届いたものを勝手に開けてしまう姉に悩まされていた。
それも、イヴォンヌの婚約者からの贈り物で、それを阻止しようとする使用人たちが悪戦苦闘しているのを心配して、諦めるしかなくなっていた。
それが日常となってしまい、イヴォンヌの心が疲弊していく一方となっていたところで、そこから目まぐるしく変化していくとは思いもしなかった。
婚約を破棄して気づけば私は悪役令嬢でした。
hikari
恋愛
妹に婚約者を奪われて狼狽していたら、自分はある乙女ゲームの悪役令嬢に転生していた事に気づく。
妹のナタリーがヒロイン。両親は妹の味方。唯一の味方が弟のルイでした。
しかも、何をしてもダメ出しをする間抜けな平民のダメンズに言い寄られ、しつこくされています。私に分相応なのはこの平民のダメンズなの!?
悪役令嬢ものは初めてです。
今作はギャグがメイン
せっかく転生したのにモブにすらなれない……はずが溺愛ルートなんて信じられません
嘉月
恋愛
隣国の貴族令嬢である主人公は交換留学生としてやってきた学園でイケメン達と恋に落ちていく。
人気の乙女ゲーム「秘密のエルドラド」のメイン攻略キャラは王立学園の生徒会長にして王弟、氷の殿下こと、クライブ・フォン・ガウンデール。
転生したのはそのゲームの世界なのに……私はモブですらないらしい。
せめて学園の生徒1くらいにはなりたかったけど、どうしようもないので地に足つけてしっかり生きていくつもりです。
少しだけ改題しました。ご迷惑をお掛けしますがよろしくお願いします。
侯爵令嬢はざまぁ展開より溺愛ルートを選びたい
花月
恋愛
内気なソフィア=ドレスデン侯爵令嬢の婚約者は美貌のナイジェル=エヴァンス公爵閣下だったが、王宮の中庭で美しいセリーヌ嬢を抱きしめているところに遭遇してしまう。
ナイジェル様から婚約破棄を告げられた瞬間、大聖堂の鐘の音と共に身体に異変が――。
あら?目の前にいるのはわたし…?「お前は誰だ!?」叫んだわたしの姿の中身は一体…?
ま、まさかのナイジェル様?何故こんな展開になってしまったの??
そして婚約破棄はどうなるの???
ほんの数時間の魔法――一夜だけの入れ替わりに色々詰め込んだ、ちぐはぐラブコメ。
【完結】第一王子と侍従令嬢の将来の夢
かずえ
恋愛
第一王子は、常に毒を盛られ、すっかり生きることに疲れていた。子爵令嬢は目が悪く、日常生活にも支障が出るほどであったが、育児放棄され、とにかく日々を送ることに必死だった。
12歳で出会った二人は、大人になることを目標に、協力しあう契約を交わす。
【改稿版】婚約破棄は私から
どくりんご
恋愛
ある日、婚約者である殿下が妹へ愛を語っている所を目撃したニナ。ここが乙女ゲームの世界であり、自分が悪役令嬢、妹がヒロインだということを知っていたけれど、好きな人が妹に愛を語る所を見ていると流石にショックを受けた。
乙女ゲームである死亡エンドは絶対に嫌だし、殿下から婚約破棄を告げられるのも嫌だ。そんな辛いことは耐えられない!
婚約破棄は私から!
※大幅な修正が入っています。登場人物の立ち位置変更など。
◆3/20 恋愛ランキング、人気ランキング7位
◆3/20 HOT6位
短編&拙い私の作品でここまでいけるなんて…!読んでくれた皆さん、感謝感激雨あられです〜!!(´;ω;`)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる