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文化祭 そのに
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「お兄ちゃん、次は、ステージ見に行こう!」
「わかったよ」
ぐいぐいと手を引っ張る私にお兄ちゃんは、苦笑する。確かもうじき演劇部のステージ発表があるはずだ。演目は、大定番、ロミオとジュリエット。対立する家の二人が惹かれあうなんともロマンチックで悲しいお話だ。
体育館に行くと、流石は演劇部で、多くの人が集まっていた。何とか、人との人との隙間から、劇を見ることができた。演劇部の演技は、私たちの寸劇とは比べ物にならないくらい真に迫っており、最後のシーンは泣いてしまった。
思わずハンカチで涙をぬぐっていると、ふと、お兄ちゃんの様子が気にかかった。お兄ちゃんは、幕が降りた舞台をじっと見つめていた。
「お兄ちゃん……?」
「ああ、いや、ごめん。羨ましいなと思って」
「羨ましい?」
確かにロミオとジュリエットのような劇的な恋は人を惹き付ける。お兄ちゃんもそんな恋がしたいということだろうか。そう思っていると、ぽつりとお兄ちゃんはいった。
「ロミオは好きな人に真っ直ぐ思いを伝えられて、羨ましい。僕は誤魔化すことしかできないから」
そういったあと、お兄ちゃんは思わずと言った様子で口を押さえた。きっと、言うつもりのなかったことだったのだろう。でも、私はしっかりばっちり聞いてしまった。
やっぱり、お兄ちゃんは好きな人がいるんだ。それも、気持ちを伝えちゃいけないような。あのショートカットのクラスメイトの人だよね。同じクラスだから、安易に言えない、とか、そんなところだろうか。
でも、負けない。私だって、お兄ちゃんのことが好きだから。私を好きになって貰えるように頑張るんだ。
お兄ちゃんの言葉は聞こえなかったふりをして、お兄ちゃんの手をとった。
「お兄ちゃん、次は展示を見に行こう!」
展示スペースには、美術の時間で描いた絵や美術部の絵、写真部の撮った写真などが飾られている。
「うわぁ、綺麗」
「ほんとだ」
どの絵もどの写真も好きだったけれど、一枚の絵にふと目が止まった。
「海だ。そういえば、最近行ってないなぁ」
夕焼けが沈む頃の海はオレンジ色の光がきらきらと反射して綺麗に描かれていた。昔はよく、家族皆で海に行ったんだよね。
「朱里は、シーグラス集めるの好きだったよね」
「うん。今も大事にとってるよ」
お兄ちゃんは、大きくて綺麗な色のシーグラスを見つけるのが得意で、見つけては私にくれていた。
「……今度一緒にいく?」
「泳げないけど、いいの?」
「シーグラスを探すだけなら、秋でも大丈夫だよ」
確かに。海といえば夏のイメージだったけど、夏じゃなくても海に行ってもいいよね。っというか、お兄ちゃんからのお出掛けのお誘いだ。めちゃくちゃ嬉しい。
「そうだね、行きたい」
「じゃあ、来週末にいこうか」
「うん!」
やった、なに着ていこうかな。今から来週が楽しみだ。
そんな感じで、文化祭の一日目は楽しく終わった。
さて、二日目。今日は午前中が自由時間で、午後からはお兄ちゃんも私もクラスの出し物のお手伝いがあるため、あまり時間がない。
屋台の食べ物は目ぼしいものは昨日あらかた食べたので、お昼御飯はお義母さんに頼んで、お弁当を作って貰った。
というわけで、いっぱい色んなものを見て回るぞ。
「お兄ちゃんは、どこか行きたい場所とかない?」
お兄ちゃんに聞くとお兄ちゃんは、うーん、と悩んだ後、一つ提案した。
「そういえば、天文部が、プラネタリウムをやってるって聞いたから少し興味がある、かも」
「じゃあ、行こう」
プラネタリウムかぁ。実は私、プラネタリウムに行ったことがないんだよね。どんな、感じなんだろう。どきどきしながら、天文部の部室をくぐる。
段ボールで半円状のドームが作ってあり、その中に星が投影されていた。あまりの綺麗さに息を飲む。プラネタリウムって、こんな感じなんだ。
結局、プラネタリウムに見とれているうちに、午前は終わってしまった。
「綺麗だったね」
「うん、行ってよかった。付き合ってくれて、ありがとう、朱里」
「ううん、それよりも文化祭私ばっかり楽しんじゃってごめんね」
お兄ちゃんも楽しませたいって、思ってたのに結局、私ばっかり楽しんじゃった。そういうと、お兄ちゃんはきょとんとした顔をした。
「僕も、楽しかったよ」
「それは、プラネタリウムは楽しめたかもしれないけど……」
「ううん、プラネタリウムだけじゃなくて。朱里と文化祭一緒に回れて楽しかった」
「ありがとう、お兄ちゃん」
お兄ちゃんの言葉が気遣いからでたのだとしても、嬉しかった。
「じゃあ、午後はお互い頑張ろうね」
「うん」
手を振ってお兄ちゃんと別れて、私のクラスへ。
「朱里が来た、ってことは、交代だね」
「うん。彩月ちゃん、小塚くんと楽しんできてね」
私と彩月ちゃんはお化け屋敷の受付係だった。彩月ちゃんは二日目の午前中担当だったのだ。
出入口の係の子と相談しながら、お客さんを教室の中に入れていく。時々悲鳴が聞こえるから、お客さんたちが楽しんでくれていることがわかって楽しい。
「かんぱーい!」
学校の近所のファミレスにクラスメイトと集まり、ドリンクバーのジュースで乾杯をする。
「合唱コンクール一位だったね!」
「俺の美声のおかげかな」
「鈴木は、調子に乗りすぎ!」
そう、合唱コンクールは、見事私たちのクラスが、一位だった。皆でその健闘を称えあい、ジュースを飲む。その後もわいわいと皆で騒ぎつつ、一日が終わった。
こうして、文化祭は二日とも平和に幕を閉じたのだった。
「わかったよ」
ぐいぐいと手を引っ張る私にお兄ちゃんは、苦笑する。確かもうじき演劇部のステージ発表があるはずだ。演目は、大定番、ロミオとジュリエット。対立する家の二人が惹かれあうなんともロマンチックで悲しいお話だ。
体育館に行くと、流石は演劇部で、多くの人が集まっていた。何とか、人との人との隙間から、劇を見ることができた。演劇部の演技は、私たちの寸劇とは比べ物にならないくらい真に迫っており、最後のシーンは泣いてしまった。
思わずハンカチで涙をぬぐっていると、ふと、お兄ちゃんの様子が気にかかった。お兄ちゃんは、幕が降りた舞台をじっと見つめていた。
「お兄ちゃん……?」
「ああ、いや、ごめん。羨ましいなと思って」
「羨ましい?」
確かにロミオとジュリエットのような劇的な恋は人を惹き付ける。お兄ちゃんもそんな恋がしたいということだろうか。そう思っていると、ぽつりとお兄ちゃんはいった。
「ロミオは好きな人に真っ直ぐ思いを伝えられて、羨ましい。僕は誤魔化すことしかできないから」
そういったあと、お兄ちゃんは思わずと言った様子で口を押さえた。きっと、言うつもりのなかったことだったのだろう。でも、私はしっかりばっちり聞いてしまった。
やっぱり、お兄ちゃんは好きな人がいるんだ。それも、気持ちを伝えちゃいけないような。あのショートカットのクラスメイトの人だよね。同じクラスだから、安易に言えない、とか、そんなところだろうか。
でも、負けない。私だって、お兄ちゃんのことが好きだから。私を好きになって貰えるように頑張るんだ。
お兄ちゃんの言葉は聞こえなかったふりをして、お兄ちゃんの手をとった。
「お兄ちゃん、次は展示を見に行こう!」
展示スペースには、美術の時間で描いた絵や美術部の絵、写真部の撮った写真などが飾られている。
「うわぁ、綺麗」
「ほんとだ」
どの絵もどの写真も好きだったけれど、一枚の絵にふと目が止まった。
「海だ。そういえば、最近行ってないなぁ」
夕焼けが沈む頃の海はオレンジ色の光がきらきらと反射して綺麗に描かれていた。昔はよく、家族皆で海に行ったんだよね。
「朱里は、シーグラス集めるの好きだったよね」
「うん。今も大事にとってるよ」
お兄ちゃんは、大きくて綺麗な色のシーグラスを見つけるのが得意で、見つけては私にくれていた。
「……今度一緒にいく?」
「泳げないけど、いいの?」
「シーグラスを探すだけなら、秋でも大丈夫だよ」
確かに。海といえば夏のイメージだったけど、夏じゃなくても海に行ってもいいよね。っというか、お兄ちゃんからのお出掛けのお誘いだ。めちゃくちゃ嬉しい。
「そうだね、行きたい」
「じゃあ、来週末にいこうか」
「うん!」
やった、なに着ていこうかな。今から来週が楽しみだ。
そんな感じで、文化祭の一日目は楽しく終わった。
さて、二日目。今日は午前中が自由時間で、午後からはお兄ちゃんも私もクラスの出し物のお手伝いがあるため、あまり時間がない。
屋台の食べ物は目ぼしいものは昨日あらかた食べたので、お昼御飯はお義母さんに頼んで、お弁当を作って貰った。
というわけで、いっぱい色んなものを見て回るぞ。
「お兄ちゃんは、どこか行きたい場所とかない?」
お兄ちゃんに聞くとお兄ちゃんは、うーん、と悩んだ後、一つ提案した。
「そういえば、天文部が、プラネタリウムをやってるって聞いたから少し興味がある、かも」
「じゃあ、行こう」
プラネタリウムかぁ。実は私、プラネタリウムに行ったことがないんだよね。どんな、感じなんだろう。どきどきしながら、天文部の部室をくぐる。
段ボールで半円状のドームが作ってあり、その中に星が投影されていた。あまりの綺麗さに息を飲む。プラネタリウムって、こんな感じなんだ。
結局、プラネタリウムに見とれているうちに、午前は終わってしまった。
「綺麗だったね」
「うん、行ってよかった。付き合ってくれて、ありがとう、朱里」
「ううん、それよりも文化祭私ばっかり楽しんじゃってごめんね」
お兄ちゃんも楽しませたいって、思ってたのに結局、私ばっかり楽しんじゃった。そういうと、お兄ちゃんはきょとんとした顔をした。
「僕も、楽しかったよ」
「それは、プラネタリウムは楽しめたかもしれないけど……」
「ううん、プラネタリウムだけじゃなくて。朱里と文化祭一緒に回れて楽しかった」
「ありがとう、お兄ちゃん」
お兄ちゃんの言葉が気遣いからでたのだとしても、嬉しかった。
「じゃあ、午後はお互い頑張ろうね」
「うん」
手を振ってお兄ちゃんと別れて、私のクラスへ。
「朱里が来た、ってことは、交代だね」
「うん。彩月ちゃん、小塚くんと楽しんできてね」
私と彩月ちゃんはお化け屋敷の受付係だった。彩月ちゃんは二日目の午前中担当だったのだ。
出入口の係の子と相談しながら、お客さんを教室の中に入れていく。時々悲鳴が聞こえるから、お客さんたちが楽しんでくれていることがわかって楽しい。
「かんぱーい!」
学校の近所のファミレスにクラスメイトと集まり、ドリンクバーのジュースで乾杯をする。
「合唱コンクール一位だったね!」
「俺の美声のおかげかな」
「鈴木は、調子に乗りすぎ!」
そう、合唱コンクールは、見事私たちのクラスが、一位だった。皆でその健闘を称えあい、ジュースを飲む。その後もわいわいと皆で騒ぎつつ、一日が終わった。
こうして、文化祭は二日とも平和に幕を閉じたのだった。
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