特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

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私の意味

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「……ここは」
アンドリューが馬を止めたのは、城門の前だった。まさか、家名を名乗っていなかったが、アンドリューは貴族だったのだろうか。それとも、不法移民として、私をつき出すつもりだとか?

 私が混乱しているうちに、エスコートされて馬からおり、アンドリューは衛兵に馬を引き渡した。

 「パトリックをよろしくたのむ」
「はっ!」
白馬は衛兵に引かれていってしまった。それを見送っていると、アンドリューに手を引かれた。

 「俺たちは、こっちだ」

 アンドリューは勝手知ったるようにずんずんと城内を進んでいく。その様子を見て、そう言えば。と思い出す。

 私は、社交の時期に丁度巫女候補として、神殿に上がっていたから、実際にお会いしたことはなかったけれど。隣国の王弟殿下は、赤髪にとても見目麗しい顔をしているらしい、と聞いた。

 いや、でも、まさか。

 隣国の王弟ともあろうお方が、私のようななんの意味ももたない、なにもできない私を欲する理由がない。

 心ではそう思っているのに、衛兵に咎められずに、城の中枢へとアンドリューは進んでいくので、絶対に違うと思いきれないでいた。

 そして──。


 一際重厚な扉の前についたとき、アンドリューはついに、私に被せていたローブを外した。そして、私に囁く。

 「悪いが、なかに入ったら礼をしてくれ。そして、俺が中で何を言っても、頷いてくれ。説明は、後でする」
「わかりました」

 私が頷くと、アンドリューは衛兵に、
「兄上に、俺が来たと伝えてくれ」
と言うと、すぐに取り次がれ、扉のなかに入ることとなった。

 扉のなかにはいってすぐに、アンドリューと共に頭を深く下げる。

 「面を上げろ」
という声にしたがい、顔をあげると、目の前にいた人物は、冠をして、豪華絢爛な椅子に座っていた。

 それだけで、相手は誰だか予想がついた。たらりと、背中を冷たい汗が流れる。

 「陛下におかれましては、たいへ──」
 「今は私とお前たちだけだ。堅苦しい前置きは必要ない。放蕩者の愚弟が、今度は何のようだ」

 陛下! やはり、目の前の人物は、隣国の王だった。そして、愚弟ということはやはり、アンドリューは──。

 アンドリューは、硬直する私とは対照的に、肩をすくめて笑ったあと、私の腰を引き寄せた。

 「俺の妻となるべき人を見つけたので、結婚のお許しを頂きに参りました」
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