特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

文字の大きさ
5 / 19

面倒ごと

しおりを挟む
 「ほう……、どこのご令嬢だ」
頬杖をつきながら、王はアンドリューに尋ねる。

 「どこでもよろしいじゃありませんか。口を開けば、やれ身を固めろ、やれ結婚はいいぞ、と俺に再三結婚しろとおっしゃったのは、兄上でしょう。重要なのは、どこの誰かではなく、俺が彼女を妻にしたい、と望んだこと」

 アンドリューが自信満々にそういうと、王はため息をつきながら、私たちを見つめた。

 「それで、お前たちは愛しあっているのか? まさか、愚弟に無理矢理つれてこられたのでは、あるまいな」
「まさか。俺たちは愛しあっていますよ」

 実際は連れてこられたという点では、その通りなのだけれども、アンドリューに言われた通り、頷く。

 「それとも、恋愛結婚をされた兄上が、愛する俺たちを引き裂くおつもりですか?」
 すると、王は再びため息をついて、私たちを追い払うように手を振った。

 「もういい。わかった、結婚を認めよう」
「ありがとうございます、兄上」

 ■ □ ■

 玉座の間から退出する、二人を見届けて、私は深く息をはく。
「あれほど、結婚はしないといっていた愚弟が、急に結婚したいとぬかすからには、どんな娘かと思ったが……」

 まさか、隣国の巫女候補だった娘とは。娘の腕に、力を封じる腕輪がつけられていたことに、アンドリューは気付いているのだろうか。

 「いないだろうな」

 あれは、とにかくあの娘を囲いこみたいという目をしていた。娘の緊張して、訳がわからないといった表情から、大方、互いの素性も知らぬまま、ここにつれてきたのだろう。

 おそらく、アンドリューの一目惚れか。

 「惚れたなら、しっかりと守ってもらいたいものだ」

 愚弟とは、いえ血の繋がった弟だ。その恋が実るように応援したい、と思うのが兄心だろう。だが、ただの巫女候補と、ただの男なら関係ないが、問題は、アンドリューがただの男ではなく、また、普通の王族でもない点だ。

 「ひとまず、あの娘の力について調べさせるか」

 私は、面倒ごとにまた一つため息をついた。
しおりを挟む
感想 22

あなたにおすすめの小説

私、お母様の言うとおりにお見合いをしただけですわ。

いさき遊雨
恋愛
お母様にお見合いの定石?を教わり、初めてのお見合いに臨んだ私にその方は言いました。 「僕には想い合う相手いる!」 初めてのお見合いのお相手には、真実に愛する人がいるそうです。 小説家になろうさまにも登録しています。

可愛らしい人

はるきりょう
恋愛
「でも、ライアン様には、エレナ様がいらっしゃるのでは?」 「ああ、エレナね。よく勘違いされるんだけど、エレナとは婚約者でも何でもないんだ。ただの幼馴染み」 「それにあいつはひとりで生きていけるから」 女性ながらに剣術を学ぶエレナは可愛げがないという理由で、ほとんど婚約者同然の幼馴染から捨てられる。 けれど、 「エレナ嬢」 「なんでしょうか?」 「今日の夜会のパートナーはお決まりですか?」  その言葉でパートナー同伴の夜会に招待されていたことを思い出した。いつものとおりライアンと一緒に行くと思っていたので参加の返事を出していたのだ。 「……いいえ」  当日の欠席は著しく評価を下げる。今後、家庭教師として仕事をしていきたいと考えるのであれば、父親か兄に頼んででも行った方がいいだろう。 「よければ僕と一緒に行きませんか?」

婚約破棄の日の夜に

夕景あき
恋愛
公爵令嬢ロージーは卒業パーティの日、金髪碧眼の第一王子に婚約破棄を言い渡された。第一王子の腕には、平民のティアラ嬢が抱かれていた。 ロージーが身に覚えのない罪で、第一王子に糾弾されたその時、守ってくれたのは第二王子だった。 そんな婚約破棄騒動があった日の夜に、どんでん返しが待っていた·····

双子の姉に聴覚を奪われました。

浅見
恋愛
『あなたが馬鹿なお人よしで本当によかった!』 双子の王女エリシアは、姉ディアナに騙されて聴覚を失い、塔に幽閉されてしまう。 さらに皇太子との婚約も破棄され、あらたな婚約者には姉が選ばれた――はずなのに。 三年後、エリシアを迎えに現れたのは、他ならぬ皇太子その人だった。

この離婚は契約違反です【一話完結】

鏑木 うりこ
恋愛
突然離婚を言い渡されたディーネは静かに消えるのでした。

売られたケンカは高く買いましょう《完結》

アーエル
恋愛
オーラシア・ルーブンバッハ。 それが今の私の名前です。 半年後には結婚して、オーラシア・リッツンとなる予定……はありません。 ケンカを売ってきたあなたがたには徹底的に仕返しさせていただくだけです。 他社でも公開中 結構グロいであろう内容があります。 ご注意ください。 ☆構成 本章:9話 (うん、性格と口が悪い。けど理由あり) 番外編1:4話 (まあまあ残酷。一部救いあり) 番外編2:5話 (めっちゃ残酷。めっちゃ胸くそ悪い。作者救う気一切なし)

この恋を忘れたとしても

喜楽直人
恋愛
卒業式の前日。寮の部屋を片付けていた私は、作り付けの机の引き出しの奥に見覚えのない小箱を見つける。 ベルベットのその小箱の中には綺麗な紅玉石のペンダントが入っていた。

結婚式をボイコットした王女

椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。 しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。 ※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※ 1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。 1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)

処理中です...