特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

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巫女の腕輪

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アンドリューと、設定のすりあわせをしたあと。

 私は、ひとまず、アンドリューの婚約者として城で過ごすこととなり、アンドリューの隣の部屋を与えられることになった。

 「とても広いわ」
部屋に入って驚いたのは、何よりもその広さだ。流石は、王弟殿下の婚約者──最終的には配偶者用に作られた部屋だ。

 私が侯爵令嬢だったころの自室の二倍はあるだろう。──と、そんなことを考えていると、扉がノックされる。

 「はい」
「失礼いたします。本日付で、セリーヌ様のお世話をさせていただきます、ラニーニャと申します」

そういって、入ってきたのは、髪をひとつに纏めた、優しそうな女性だった。

 「セリーヌです。よろしくお願いします、ラニーニャさん」
「どうぞ、ラニーニャとお呼びください」
「わかりました」

 私が、アンドリューと愛してあっている(設定)以外、何の身分も持たないとおそらく知っているだろうに、ラニーニャは、嫌な顔ひとつせず、私の世話をしてくれた。

 ラニーニャとは、上手くやっていけそうだ。そのことに、安堵しながら、私は、眠りについた。


 ■ □ ■


 部下がもってきた書類を眺めながら、私は、呼び出した愚弟に尋ねる。
 「それで、なぜ私が、お前を呼び出したかわかるか?」
私が尋ねるとアンドリューは、首をかしげた。
「俺とせ、セリーヌの結婚はお許しいただけたのでは?」

 はぁ、と深くため息をつく。どうやら、まだ彼女の素性を聞き出せていないようだった。
「いいか、アンドリュー。彼女は、隣国サンサカの巫女候補だった女性だ」
「……なるほど、だから国境の森にいたのか」

 アンドリューは一人で納得しているようだが、それどころではない。

 「巫女の力は、腕輪によって封じられているようたが──」
「俺の〈魔法〉なら、それを外して彼女を自由にできますね。まさか、兄上そのために?」

「逆だ。お前が、彼女を妻にと望み、守りとおしたいのなら、『絶対』に、彼女の腕輪を外すな」
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