特別になれなかった私が、最愛のあなたの寵妃になるまで

夕立悠理

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本来の能力

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「どういう、ことです?」
「ただの巫女候補なら、問題なく、お前との婚姻も許してやれるし、腕輪を外しても問題ない」
「つまり、彼女はただの巫女候補ではないと?」

 顔を曇らせたアンドリューに、頷く。そして、仕事の早い部下に部下に捜査させた資料を見せた。

 「……? ただ、とてつもなく可愛らしいだけで、普通の巫女候補に見えますが」
「いいから、最後までページをめくれ」


 「……! これは、」
アンドリューが顔色を変える。ようやく、アンドリューも思い至ったらしい。
「彼女の力は、『植物の成長を助ける』となっているし、彼女自身もそう思っているだろう。だか、おそらく、本来の能力は──」


 ■ □ ■

 「んん」
欠伸をしながら、目を覚ます。気づけばもう、朝だった。昨夜は思った以上にぐっすり眠れたらしい。まだ覚醒しきっていない頭でぼんやりとしていると、扉が控えめにノックされた。

 入ってきたのはラニーニャだ。

 「お目覚めですか、セリーヌ様」
「はい。おはようございます、ラニーニャ」
ラニーニャに手伝ってもらい、身だしなみを整える。

 「……この服は?」
昨日着ていたものとは違う、装飾品がついた豪華な服に戸惑っていると、ラニーニャが微笑ましそうに、教えてくれた。

 「王弟殿下からの贈り物です」
「そう、ですか」
確かに昨日着ていた服は、王弟の婚約者としては、みすぼらしいものであったし、有り難く思いながら、袖を通す。

 「ちなみに、あと60着ほどあります」
「そんなに!?」
流石に昨日の今日で用意がよすぎないだろうか。二ヶ月は毎日違う服で生活ができてしまう。

 それとも、王族とは、そういうものなのだろうか。
「クローゼットにしまっておきましたので、後でゆっくりご覧ください」
「え、ええ。ありがとうございます」

 なんだか、見るのが恐ろしい、ような。
 そんなことを考えているうちに、ラニーニャは、私の髪を整えてくれ、人前に出られる格好になった。

 「セリーヌ様、そのドレス大変よくお似合いです。王弟殿下のご寵愛のほどがよくわかりますね」
「そう、でしょうか」

 以前は侯爵令嬢であったものの、巫女候補のときは、簡素な服ばかりまとっていたので、ドレスは、少し落ち着かなかった。

 「では、王弟殿下に朝の挨拶に参りましょうか」
「えっ!?」

 アンドリューだって、忙しいだろうし、いくら隣の部屋だからって、そんな気軽に会いに行くのは──。
「ああ、そうでした。セリーヌ様は隣国のご出身でありましたね。我が国では、婚姻を三ヶ月後に控えた婚約者は可能な限り、朝晩の挨拶をすることが習わしとなっています」
「そうなのですね」

 そんな習わしがあったなんて、知らなかった。

 早速、隣の部屋の扉をノックする。すると、扉はひとりでに開いた。アンドリューの魔法だろう。
「おはようございます、アンドリュー様」
「ああ、おはよう──!?」

 丁度お茶を飲んでいたらしい、アンドリューは私の姿を見ると、猛烈に咳き込んだ。

 「大丈夫ですか!?」
あわてて駆け寄ろうとすると、手で制される。

「あ、ああ。大丈夫だ。そんなことより、そのドレスとても似合っている」
「ありがとうございます。このドレスもそうですが、それ以外にも沢山のドレスをご用意くださり──」
深く礼をすると、アンドリューは当たり前だと、笑った。

 「貴女の生活のすべてを保障する、と約束したからな」

 そうはいっても、アンドリューは実際に私を愛しているわけではない。私は、ただの防波堤だ。それなのに、気遣ってくれる心が嬉しかった。

 ──と、そこで、アンドリューは人払いをした。
「アンドリュー様?」
「俺たちは、三ヶ月後結婚するわけだが、お互いのことを何も知らない。よければ、今日は、貴女の過去を聞かせては貰えないだろうか」
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